第5話 浮気.....じゃないよね?

☆星空瞬サイド☆


アイツは何を隠している。

思いながら俺は考え込んでみる。

だが答えは浮かばない。

悪い方向にしか考えが及ばない。


「くだらないな.....クソめ」


陽毬には、大丈夫、と言われたが。

やはり気になるものは気になる。

思いながら俺は眉を顰める。

こんな疑いをかけないといけないとか早乙女さんが泣くぞ。

考えながら俺は早乙女さんの写真を思い出す。


「.....」


そして再び考え込む。

アイツ何か隠しているにしても。

浮気とはどうも考えれないんだよな.....。

かつてあった流星の出血する程に早乙女さんの位牌を磨く事件の件を考えて、だ。

大切にしている筈なんだよな自らの身体とか。


「.....何かがおかしいな」


俺はそういう結論を出し。

周りを見渡す。

それから流星の写真を見る。

流星.....絶対に何か隠しているけど。

悪い意味じゃないよな。


「アイツに何が起こっているか.....だな」


俺は顎に手を添えて考える。

それから机の中に入っているネックレスを取り出す。

それは.....凝固した血が付いたカナダコイン。

つまり金のコインだ。

だけど今は真っ黒に染まっている。


それを俺は胸に添えながら考え込む。

そして祈りを込める様にする。

母さん。力を貸してくれ、という感じで。

それから数秒間考える。


「.....そうだな。やっぱり信じてみるか」


そんな事を呟きながら俺は窓から外を見る。

それから唇を噛んでからメープル金貨を仕舞う。

そして俺は立ち上がってから下に降りて行ってみると。

そこに.....流星がやつれた顔で居た。

だが俺を見てビックリしてはにかむ様にする。


「どうしたの?瞬」

「.....いや。何もないよ。水が飲みたくなってね」

「そ、そっか」

「.....ああ」

「.....」


流星は俺の姿をビクビクしながら見つつ。

そのまま台所で準備をする。

その姿に俺は盛大に溜息を吐きながらコップを置く。

水を飲んでから、だ。

そして流星を見据える。


「.....流星。.....何か隠してないか?」

「.....え、え?何を?」

「.....いや。お前が疚しい事を隠しているんじゃ無いかって思ってな」

「私はいつも通り.....だよ」

「今曝け出さないと全て。後悔するぞ」


そんな事は.....、と言いながら流星は、何でもないよ、と笑顔になってそのまま話さなかった。

それから流星は、ちょっと勉強してくるね、と2階に上がって行く。


俺はその姿の背を見ながら。

眉を顰める。

あれは何かを隠しているな。


「何だ一体。.....何を隠しているんだ。流星」


そう考えながら俺は流星の部屋を見る。

そして溜息を盛大に吐いてからその場から離れる。

まるで全身の二酸化炭素を全て吐き出した様なそんな感覚だ。

それから俺も自室に戻って勉強を始める。


☆星空流星サイド☆


号泣していた。

涙が止まらない。

怖い.....お兄ちゃんに。

瞬に嫌われたらもう終わりだ私は。

思いながら私は身体の痛みを感じる。


「.....」


鞠が暴力を振るった部分が腫れている。

つまり私に暴力をした時の傷が。

何とか隠しているのだが。

私はその痛みで涙も出てくる。


「.....馬鹿だな。私。鞠に叩かれ蹴られ。でもそれで.....満足を満たしてくれるなら」


陽毬さんに手を出さない条件で。

そして私の家族に手を出さない条件で。

私は鞠から.....暴力を受ける。

ストレス発散の道具だ。


「.....」


言葉の暴力がエスカレートして今に至っている。

私が陽毬さんが最悪な状況に置かれているのを知ったのは.....偶然だった。

陽毬さんの家に行って知ったのだ。

だから私は.....守るって。

陽毬さんを強く守るって決めたのだ。


「.....だから私は終わるまで待てば良い。私が.....犠牲になれば」


そう呟きながら私はゆっくり立ち上がる。

それから机に向かった。

そしてそのまま暴力を受け続ければ。

いつか希望が。


そう思っていた矢先だった。

陽毬さんから電話がかかってくる。

私はビクッとしながら電話に出てみる。

すると、何をしているの.....?流星ちゃん.....、と消え入りそうな声がしてくる。


『ねえ。何をしているの?』

「.....陽毬さん?何の話ですか?何もして無いですよ。私」

『嘘は止めて。.....何をしているの?』

「.....」


汗が止まらない。

私は首を振ってから笑顔で話す。

何ですか?それって、と聞く様に。


すると陽毬さんは、何か悪い事をしてないよね?、という感じで聞いてきた。

青ざめてオーバーヒートした。

汗が止まらなくなってきた.....のだが。


「あはは冗談を。それって気のせいじゃ?」

『流星ちゃん。私と貴方の仲でしょう?姉妹みたいな関係だったじゃない。.....話して。お願い。本当の事を』

「.....」


どうしたら良いのだろうか。

そんな事を考えながら私は目の前を見る。

視界が歪んでいた。

あれ?、と思ったのだが。

真珠の様な大粒の涙が頬を伝った.....。

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