第3話 コーヒー

☆星空瞬サイド☆


俺が最低なのか?世界が最低なのか?

よく分からない中で俺は生きているのだが。

ずっと考えながら俺はチョコを撫でる。

チョコは寝ていたが目を覚まして欠伸をしている。

俺はその姿を見ながら笑みを浮かべる。


「チョコは本当に君が好きだね」

「これは喜んでいると捉えて良いのか?よく分からないな」

「あくまで瞬くんが好きだと思うよ。チョコは」

「.....」


言いながら陽毬は俺に笑みを浮かべて紅茶を飲む。

俺はその姿を見ながらチョコを再度見る。

チョコは俺に擦り寄って来ていた。


俺はそんなチョコの頭を撫でる。

皮肉にも。

チョコという名前をつけたのが.....鞠だけど。

昔は良い兄貴な感じだったのに何故あんなに落ちたのか。

よく分からないもんだ。


「人生は.....不思議だな」

「突然どうしたの?」

「.....いや。人生って本当に不可解だなって思って」

「.....そうだね。よく分からないのが人生だからね」

「.....」


俺はチョコを撫でながら椅子に腰掛ける。

するとチョコはそれを見計らって身体をまた丸めて寝る。

俺と接する為にわざわざ起き上がった老人の様な。

そんな感じだった。


「やれやれ。チョコも変わらずだな」

「.....そうだね。やっぱり愛されているね」

「そうかな?この態度だと俺はそうは思わないけど」

「いや。きっと愛しているんだと思うよ。.....そっけないのは歳だからね」

「.....」


確かにな、と返事をしながら俺はお茶菓子を食べる。

それから俺は笑みを浮かべる。

すると陽毬もその顔に笑みを浮かべながら俺を見てきた。

俺はその顔を見てから紅茶を飲む。

そうしていると.....スマホが小さく震える。


「.....?.....あ」

「?.....もしかして.....」

「流星だな」

「.....そっか。.....帰る?」

「.....(今どこ?帰ったよ?家に鍵がかかってなかったけど?)だそうだ」


俺はその文章を読み上げてから盛大に溜息を吐く。

そして、確かにそれはそうだ。そうだったな、と思いながら立ち上がった。

それから紅茶を全部飲む。


そうしてから、世話になったな、と陽毬を見る。

すると陽毬は数秒間考え。

これからどうするの?、と聞いてくる。

俺は考えながら沈黙する。


「.....そうだな。帰ってから観察する。アイツを」

「そう?じゃあ気をつけて。私もそれが良いと思う」

「サンキューな。陽毬。今日は」

「.....治療まがいをしただけだしね。.....あとは場所を貸しただけ」

「そうだな。いや。十分だろ」


そっか。そう思ってくれてありがとうね、と陽毬は笑顔になる。

俺はその顔を見ながら苦笑した。

それから俺は、じゃあな。ありがとう、と玄関で挨拶する。

すると陽毬は俺を抱きしめてきた。


「ちょ!何すんだ!?」

「いや。こうしたくなったから」

「.....いや。いきなりかよ」

「そうだよ。幼馴染だから」

「関係ないと思うんですよ」

「良いから。抱きしめたくなったの」


そして陽毬は俺の背中を押す。

俺はその事に苦笑いで返事をする。

オイオイ、と。


陽毬は、大丈夫だよ。なんとかなるよ、と自信ありげに俺を見てくる。

俺はその顔を目をパチクリして見ていたが。

途中から考え、そうだな、と頷く。

それから陽毬を見る。


「ありがとう」

「.....ううん」


そして俺は陽毬に挨拶をして家を出る。

さっきの景色とは打って変わって晴れていた。

俺はそんな景色を見ながら陽毬に挨拶を最後にして歩き出す。

それから自宅に向かって歩いた。


☆星空流星サイド☆


私が家に帰り着くと。

何か違和感を感じてしまった。

家のドアも開いているし。

電気もつけっぱなし。

しかも脱ぎ散らかされた靴。

少しだけど嫌な予感がしてきた。


「.....でもまあまさかね」


そんな事を呟きながら上がって行く。

それからリビングに入ってから鞄を台所の側に置いてからガリガリとミルでコーヒー豆をすり潰し始める。


こんな事をする女子高生なんてこの日本に1%も居ないだろうとは思う。

0ではないわ、だろうけど。

だけど私はミルでコーヒー豆を一から潰してコーヒー豆をこしてからコーヒーを飲むのが好きだ。

香りが良い豆は間違いなく美味しいし。

これは全て亡きお父さんに教わった事である。


「.....あれ」


ポロポロ涙が出てきた。

お父さんが.....笑った顔を思い出して、だ。

命を奪ったメラノーマ。

転移した脳腫瘍が妬ましい。

黒子の癌で.....そこまでなるものなのだな、と思ったけど。


「.....」


私は癌でボロボロになったお父さんを覚えている。

だからこそ寂しかった。

私は何をしているのだろうか。

そんな事を思いながら茫然自失になる感じでコーヒー豆をこす。

それから焙煎し始めた。


「.....ははは。馬鹿だな私も」


大概のアホだ。

考えながら私は涙の混じったコーヒーを飲む。

涙がコーヒーの中に滴り落ちてしまった。


入れ直す訳にもいかないし、と思いながら。

泣いているから鼻水の味がする。

最悪だ。

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