第11話
魔教徒を相手にするときのセオリーには、その2があります。
その1が〝原形が無くなるまで〟でしたね。
悪魔が人間に宿る条件は〝死んでいること〟ですから、でしたら逆に殺さなければいい、という簡単な話です。
正直な話、殺してしまう方が楽なのですが、実は魔教徒には結構な懸賞金がかかっておりまして、捕らえてどこかの国に突き出せばいいお金になるのです。
旅の資金にするには丁度いい
この場にいるのは12人。恐らくこれで全員ではないでしょうから、そのつもりで油断せずにいきましょう。
──合掌。
わたしが手を合わせると、一番近くにいた魔教徒がべちゃん! と潰れました。
「はい一人」
残念ながらそこは範囲内なんですよね、これが。
右から左から正面から、魔教徒のナイフがわたしの命を刈り取らんと閃きます。
まあ、そんなものでやられるわたしではありません。潜り抜けてきた死線の数が違います。
体の柔らかさを見せつけるように軽々と躱し、潰して燃やして、
そんな感じで全員やっつけました。はい。全員やっつけちゃいました。
わたしにとって魔教徒は所詮雑魚なんで。特筆すべきことはありません。
殺さずに生かしておいた魔教徒はその辺にたまたま落ちていた縄でがっちり縛っておきました。ラッキー。
これだけ大勢で襲ってきてもわたしの白い旅装束を汚すことはできませんでしたね。残念でした。
「さてと」
やる事をやり終えたわたしはお世話になった家に戻ります。
玄関をくぐり、食事をしたリビングにも誰もいなかったので、突き当りにある奥様の部屋か空き部屋に隠れているのだろうと思います。
「奥様、旦那様、息子さん、こちらは片付きました。
呼びかけながら奥様の部屋のドアを開けると、
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、!、!、!、!、!」
「母さん! 母さんどうしちゃったの?!」
あーそうでした、すっかり忘れていました。
そこにいたのは、糸に釣られた操り人形のように不自然に宙に浮かび上がった様子のおかしい奥様と、必死に大声で呼びかける息子さん。
そして、
床に血だまりを作り、真っ赤に染まった旦那様の
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます