第9話

 さてさて、見せしめに一人ほど圧殺してやったわけですが、魔教徒がこの程度で臆するはずもありません。呆れちゃいますよね。


「次はどなたですか? 誰からでもいいですよ」


 わたしは騒ぎを聞きつけて続々と集まってきた魔教徒たちを順番に見て、挑発しました。

 魔教徒を相手にしたときのセオリーは〝原形が無くなるまで〟です。さっきの魔教徒のように。

 人間の形が残っていると悪魔が宿り、魔人になってしまうからですね。

 まだ死んではいませんが、奥様のように少なからず時間がかかるものでは? と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、魔教徒は悪魔を受け入れる心と体の準備が整っているので、魔人になるのはあっという間なのです。魔教徒が最も厄介とされている理由がこれ。

 最低でも手足を根元から切断してダルマ状態にしないと後で痛い目を見ることになります。宿る悪魔によってはダルマ状態でも痛い目を見ることになりますが、それはここではご愛嬌。


「人に救いを! 死の救済を!」


 またそれですか。

 いつもの文句を言いながら魔教徒がお揃いの悪趣味なナイフで切りかかってきました。また小さく圧縮してやってもいいですが、せっかくです、もっと派手に死んでもらいましょうか。


「ほっ」

「なっ?!」

「わたしを『いい女』だからって甘く見てはいけませんよ?」


 優しく微笑みながら魔教徒の手首を掴んでナイフを受け止めました。


「いい気になるな──~~~~っっっ?!?!?!」


 言いかけて、魔教徒は耳を塞ぎたくなるような金切り声を上げました。

 それもそうでしょう。突然に全身が燃え上がるような高熱に包まれたのなら、当然の反応です。


「あがががガガガぁァぁぁぁっ?!?!?!」


 そのまま力を込め続け、実際に魔教徒の全身から炎が吹き上がりました。

 服が燃えちゃうのでなるべく腕を伸ばしますけど、袖ばっかりはどうしても巻き込まれて燃えちゃうのでいつの間にかノースリーブになっていました。脇がエッチなんですよ? 実は狙ってやってます。どや。

 ちなみに一応難燃素材だったりします。高かったです。


「おっとと、ちょっとやり過ぎちゃいましたかね」


 全身余すところなく真っ黒に炭化した魔教徒の手首を握り砕いてしまって、落下の衝撃でボロボロに崩れ去って風に流されていきました。しばらくこの辺の空気は吸いたくありませんね。すでに臭いし。


「ざっとこんなもんですね。お次の方どうぞ」


 こんな感じで、魔教徒を殺すときは原形を残してはいけません。

 これ、覚えておいてくださいねー。

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