Ch.5 恋愛ADV (先輩ルート突入です)
//SE 電話の呼び出し音
「はい、こちらは絶世の美少女・如月翠夏さんです。ただいま自己嫌悪に陥り、河原で横顔に夕日を受けながら憂い顔の美少女と化しているため、先輩のしつこいしつこい電話に出ることは──」
「いや……そこまで来たいのなら来てもいいですけど。はい、わかりました。待ってますね、先輩」
//SE ひぐらしの鳴く音
「せんぱーい、私はここでーす」
//SE 足音
「かわいいのですぐ見つかったでしょう?」
「……いや、弱ってますよ。美貌に目が眩まされてるだけで、かなりの弱りです」
「理由は……乙女の禁則事項です」
「ゲッ、えっ、あのとき……キス、したとき……起きてた──んですか?」
「それはその……大変申し訳ないことをいたしました。今回のことを最初に提案をしたときに、『キスとかはダメ』って言ったのは私なのに」
「しかも、ダジャレ連発の流れでのキスぅぅぅううう……ロマンチックさのかけらもない……翠夏さん、反省」
「同意書もないままの睡眠中の口づけ、美少女とはいえ許されるものではありません。さあ、行きましょう、交番まで。もはや口がカツ丼食べたいの口です」
「許してくれるんですか? つまりカツ丼はおあずけですか?」
「ありがとうございます、先輩」
「あの、バレバレの今さらのサラサラなんですけど」
「私、先輩のことが好きなんです」
「今回のこと、親に実況機材を取り上げられたのは本当で、我ながら良いアイディアを思いついたと思ったんですけどね。私の先輩への『好き』が自分の予想以上だったもので」
「ほんと、ごめんなさい」
「準備したがりな私らしく、くじボックスもほんとに夜なべして作ったんですよ。でも、そんなことはもう、どうでもいいですね」
「先輩。先輩の正直な気持ちを聞かせてください」
「振るなら振っていただいでも構いません。どんな結果になろうと、私は変わらず美少女でい続けますから、心配しないでいいですよ」
「……オー、ケー?」
「ハッ、『優しい人が好き』と言いながらあれは世間体を気にしただけでやっぱり面食いなんですか⁉︎ 私は優しいというより、グイグイの小悪魔系を自負していたのですが」
「せんあいいはい(先輩痛い)」//両頬を引っ張られながら
「すみません、悪い癖なんです。嬉しいときに照れてしまうの」
「本当に嬉しいです、先輩」//はにかみながら
「先輩、じゃあこれにサインしてください。ペンはこれです。私のはもう書いてあるんで」
「ふふ、キス同意書ですよ。ほら、早く書いてください」
「先輩、私、先輩とキスしたいです」//耳元ささやき
「書けましたか? じゃあホラ、ホラ来いよ、オーイ」
「乙女が照れてるんですからホラ、早く早く」
「……」//キスの音
//耳元ささやき
「先輩のこと、攻略しちゃいました。でも私、まだまだやりたいことたくさんあるんです。あのくじボックスの中身、全部ぜんぶやりましょうね。約束ですよ、先輩」
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