Ch.3 ランプの魔人的ゲーム (先輩の好みを調査です)
「先輩、今日もよろしくお願いします」
「さっそくくじを引いてください」
「ほら、どうぞ」
//SE くじの入った箱を振る音(中身がたくさん)
「ん〜〜〜〜……じゃん」//棒読み
「『ランプの魔人ゲーム』……今回はちゃんとゲームでしたね」
「わかりますか? このゲーム」
「ほら、インターネットにありますよね? 質問に『はい』や『いいえ』で答えていくと、思い浮かべている人物の名前を当てられる、ってやつです」
「あんな感じのゲームを、配信者同士で対戦するのが流行っているらしくて」
「ええ、対人戦なんです」
「当てるのは人物じゃなくて好きな食べ物とかでもいいんですけど、どちらが少ない質問回数で答えられるかを競うんです」
「今回は私が質問する側でお願いします。三回ほどやってみましょう」
「このゲームのための、お題用のくじボックスも用意してありますので」
//SE くじの入った箱を振る音
「さあ、先輩。引いて私に見せてください」
//SE くじを引く音
「『初恋の年齢』……なるほど。これは範囲を絞りやすいので簡単ですね。ただ、賭けに出るタイミングが重要そうです」
「じゃあ」
//SE 耳元に移動する音
「先輩、質問していきますよ」
「なんですか?」
「『近い』?」
「ああ……それにはちゃんとした理由があります」
「配信でもこのゲームは音だけで対戦してるんですよ」
「つまり、私も相手の顔からヒントを読み取れないわけです」
「なので私も先輩の表情が読み取れない距離まで近づきました、合理的でしょう?」
「納得いきませんか?」
「まあ先輩が納得しなくてもこのまま実行しますが」
「それでは、いきます」
//実況声
「はーい、まずは最初の質問です。ずばり、恋に落ちたのは高校生になってからのことですか?」
//地声
「『ノー』、ふーん……」
「…………」//不満そう
「いえ、別に」
「……え? 『質問がよくない』? 一つ言わせていただくなら、私は物心つく前の好き嫌いは初恋にカウントしない派の乙女なので」
「……先輩はそうじゃなかったみたいですけど」
「はーい、じゃあ続きいきまーす」//投げやりに
「初恋はぁ、年齢が一桁のときですかー」
「はい、『イエス』。じゃあ、初恋はぁ、小学校入学前ですかー?」
「はい、また『イエス』。じゃあもう思い切って答えてみます初恋はおそらく五歳のときでしょうはい正解ですやったーありがとうございまーすいーえーい」//棒読み早口
「……」//不満そう
「わかりました、ちゃんとやります。やる気なさげな態度は炎上の元ですからね」
//実況声
「よーし正解できましたー。さっ、テンポよく次のテーマにいってみましょう。次のテーマは〜」
//SE 箱からお題を引く音
「見せてください……『もらって嬉しいプレゼント』、です」
「じゃあ、それは手で触れるものですか」
「『イエス』……」
「二つ目の質問です。それは、身につけるものですか」
「『ノー』」
「三つ目の質問。それは使うとなくなってしまうものですか」
「『イエス』、なるほど」
「四つ目の質問です。それは食べ物ですか」
「『イエス』……五つ目。それは甘いですか」
「『部分的にイエス』、ふむふむ。それは具体的な商品名というよりジャンルや概念ですか」
「『イエス』、なるほど。わかりました。正解は『お菓子』ですね」
「……先輩、当てられたのは嬉しいですけど、ちょっと簡単というか抽象的すぎませんか? 当たりやすいように気を遣ってくれたのかもしれませんけど」
「……毎日お菓子買ってくればよかったー」//小声
「い、いえ。で、では最後のお題を引いてください」
//SE 箱からお題を引く音
「……じゃん! テーマは『人を好きになるときに重要視するポイント』ですか。なるほど」
「では質問していきまーす。ずばりそれは外見に関わることですか?」
「えっ、『ノー』、なんですか……⁈ 『顔はあんまり気にしない』って……⁉︎」
「ほわーい……」//理解できない、という気持ちのこもった吐息
「……では二問目。それは、世間一般でもよく言われがちなやつですか」
「『イエス』……では三問目。それは具体的な行動ですか」
「『部分的にイエス』、わかりました。思い切ってもう答えてしまいます」
「先輩が人を好きになるとき重要視するポイントは……『いっしょにいて楽しい』! これじゃないでしょうか」
//地声
「えっ……や、『優しさ』……⁉︎ そ、そんなベタな答えがっ……」
「……」//絶句
「先輩、急に用事を思い出しました。今日はここまでということで」
「先輩……私はかわいらしく、向上心のある女ですよ」
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