第2話 夢か現か
目を覚ますと白い天井が見えた。
(あれ……。俺……)
なんで自分は今寝ているのか。
必死に思い出そうとすると、突然部屋のドアが開いた。
「おや、目を覚ましたんですね」
部屋に入ってきたのは、白髪に紺色のスーツを纏った中年の男だった。
「ここは医務室だよ。君、大丈夫だったかい?」
「え、あ、俺……」
コミュ障を極めている俺は、中々言葉が出てこず、オドオドしていた。
そんな俺を落ち着かせようと、中年の男は俺の肩をぽんと叩いた。
「安心して。君は一度死んで、こうして蘇ったんだ。天使になるために!」
「………は?」
いやいやいや、え? どういうこと?
俺はひたすら困惑した。
「死んだって、どういう、」
「君は交通事故に合って、頭を打って即死したんだよ」
俺はここに来るまでのことを必死に思い出す。
昼ごはん買いに外に出て、スキップして…、
信号を渡って……。
「あ、」
トラックが俺に突っ込んできてたわ。
俺、引かれて死んだのか。
「理解できたようだね。それから君はここに運ばれた。そして天使となるべく蘇ったんだ。」
「天使…?」
俺が困惑しているとまたドアが開いた。
そして、俺は更に困惑した。
なぜって?
翼の生えたサラリーマンが入ってきたからだ。
「は?え?つ、ばさ…?」
サラリーマンの背中には、白く艶のある、大きな翼が生えていた。
「驚くのも無理はない。この人は天使だからね」
「この子は新人ですか?」
サラリーマンは翼をゆさゆさと揺らしながら、俺に近寄る。
「ああ、まあこれから次第だけどね」
「そうでしたか。あ、部屋の準備終わったんで」
「ありがとう。後で向かうから待機しててくれ」
「分かりました。」
そう言ってサラリーマンは部屋を出ていった。
俺、夢でも見てるんだろうか…。
「夢じゃないよ。これは現実だ。」
「今、俺、喋って…」
(俺、口に出してたか?)
俺は慌てて口を抑える。
「いや、出てないよ。ただ、考えていることはなんとなく分かるからね。『なんで翼生えてんの?』って言いたいのかな?」
この人、心を見透かしてくるのちょっと怖い。
「『ちょっと怖い』って?」
「いやいやいや、言ってません! 言ってません!」
「まあいいや。取り敢えず君、喋れる元気はあるね?」
「?」
「じゃあ、これから面接やるから、さあ起きて」
「…………はい?」
俺は突然の言葉に目を丸くした。
「これから君は天使になるべく、面接を受けてもらうから」
なんで面接? 急すぎない?
(というか普通病み上がりの人間に面接なんてやらせるか!?)
「『病み上がりの人間に…』」
「や、やります!行きます!」
俺は慌てて飛び起き、中年の男について行った。
(やっぱりこの人全部見透かしてくるじゃん、怖いわ………)
そして、俺は中年の男と共に面接室へと入った。
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