第1話 不幸な人間4
「なに、これ……」
思わず、言葉が口から零れ落ちる。
何故なら其処には、期待をして読み込んだ猫動画ではなく、怪しさと不安を煽る文言が画面いっぱいに主張をしていた。
(願いを叶える、心霊スポット……?)
願いを叶える、という文言よりも『心霊スポット』という単語に目が向く。
恋愛成就だとか願いが叶うといった文言は、パワースポットに使われているのは良く見かける。パワースポットも噛み砕けば霊的な場所を示すだろうが、それでも心霊という言葉はそれだけで恐怖心を掻き立てられた。
『――こういった場所は、特に〝作法〟が大切なんです』
困惑している最中にも、動画は次々とおどろおどろしい心霊スポットの場所を紹介していく。
そんな中、ふと見覚えるのある駅名があった。
(此処、うちの最寄り駅だ)
あり得ない、何かの冗談だと思った。
自分の生活圏内にそんな場所があるなんて露にも思わない。でも――、
(願いを叶える心霊スポット、か)
どういう由縁でそんな話になったのだろう。
(きっと嘘に決まってる。怖い場所で、きっと碌でもない筈……)
でも、もし本当に願いが叶うというのなら――。
(今のこの現状を、変えられるのかな……)
不幸続きの人生のこと。
悲観的な考え方ばかりしてしまう自分自身のこと。
「…………」
私は、密かに掌を握り締めた。
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