死にたがり邪神と嫁入りした生贄少女 第四章 邪神
光闇 游
0.神官について
「貴女は何者なんだ」
問いかけたのは、後に勇者と呼ばれるようになる男だった。
問われたのは女性である。ただし頭から白い外套を被って顔を隠している為、声質と立ち姿から辛うじて性別がわかる程度にしかわからない。僅かに見える口元は笑みを浮かべている。
「俺と風神を引き合わせてくれたことには感謝している。風神の加護を受けないと、俺は弟を助けようにも、あいつの前にすら立てないところだった……だが、どうして貴女は風神を呼び出せたんだ。それも、何の力もない俺なんかの為に」
更に問いかける男に、女性は少しの沈黙の後、ようやく口を開いた。
「――貴方たちにわかるように言えば、神々の意志を人へ伝えられる、神官のようなもの。もしくは」
「もしくは?」
「彼の婚約者」
「は?」
意味がわからず怪訝な表情をする男に、女性はクスリと笑う。
「彼と、あの子を、助けてあげてね。勇者ローシュ」
男――ローシュが勇者の肩書きを背負うのはこれより後の話だったが、一番最初に彼を勇者と呼んだのは、この女性であり。
そしてこれ以降、ローシュは彼女に再会することは、終ぞなかったのだった。
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