二人で異世界
@carunyukke
第1話 始まり
「ねえねえアズサっち。聞きたいことあるんだけどさ~」
「ん~? 何が聞きたいの、鈴」
放課後の図書室で二人の女子生徒が隣り合って座っている。
一人は綺麗な長いストレートの黒髪が特徴的な生徒で本を読んでいる。
もう一人は染めたのであろう真っ赤な色をしたくせっ毛をポニーテールにしている生徒でテーブルにノートや問題集を開いていて勉強中のようだった。
図書室には二人の他には誰もおらず、静かに喋っていてもよく響いた。
「アズサっちはさ~どうしてそんな頭いいの? 今回の中間テストだって全教科ほぼ満点でクラス一位どころか学年一位だったんでしょ?」
真っ赤なくせっ毛のポニーテールの女子生徒―
「どうしてって言われても何か特別なことはしてないけど……というか復習は終わったの? テストの見直しは大事だって中学の時から言ってるけど、ちゃんとやってるの?」
「やってるよ! ただちょーっと解説読んでも分かんないところが多いだけで……ちゃんとやってる!」
「はあ……解説読んでも分かんないってそれ基礎から理解してないってことじゃん……結局私が色々教えないといけないのか……」
「……ごめんね?」
「謝るくらいならちゃんと理解して。ほらペン持って、どこ分かんないの?」
「えっとねー」
梓が仕方なさそうに、けれど楽しそうに鈴に数学を教えていく。
鈴も楽しそうに、時々しかめ面を浮かべながらテストの見直しを行っていく。
日が少しずつ傾いていって窓から差してくる西日を眩しそうに睨みながら、穏やかな時間が流れていった。
「はあ~~やっっとテストの見直し終わった~! ありがとうアズサっち~!」
「どういたしまして、鈴。まさか5教科全部見ることになるとは思わなかったけど……ってもうこんな時間!?」
「もう6時半じゃん! やばいやばい早く帰らなきゃ!」
「私図書室の戸締りするから鈴は荷物お願い!」
「りょ~かい!」
急いで部屋を出ようとする二人。鈴に荷物を預けて梓が職員室まで図書室の鍵を返しにいく、その間に鈴が駐輪場まで荷物を持っていく。そんな役割分担で駆けだそうとする二人を
突然二人の足元に出現した巨大な魔法陣が引き留めた。
「何これ!? 何か光ってるよアズサっち!」
「……な、何か良く分からないけどヤバい感じがする。早く逃げよう!」
「う、うん!」
図書室を埋め尽くすように広がり光を増していく魔法陣に危機感を感じた梓が鈴の手を取って駆けだしていく。梓の手が図書室の扉を掴んだ。
……次のニュースです。
○○県○○市の○○高等学校で女子生徒2名が失踪するという事件が起こりました。
女子生徒たちが最後にいたであろう図書室には失踪した女子生徒の荷物が落ちており、警察は女子生徒たちが何らかの事件に巻き込まれたとの線で調査を進めていくとのことです。
では次は天気予報です……
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