第1話 早い!安い!マズイ!?

 こんにちは、さっき振りですね。

 なんですか?さっさと超美形主人公か天使みたいに可愛い美少女を出せって?

 皆さんはせっかちさんですね。ていうか、私という超絶イケてる神様がいるじゃないですか!


 …なんでそんな蔑んだ目で見るんですか。私可愛いじゃないですか。

 そもそも、いきなり主人公をどーん!って出来ないんですよね。

 そのような話に持ってくにはあれやこれやと世界の下準備が必要なんですよ。

 なので、今からその下準備をします!

 まずは、一番重要かつ一番大切!基盤となる世界を探しましょう。


 確かここら辺に…『猿でも作れる美味しいご飯の作り方』ではなく『イケメンの神100選』でもないし。

 なんか、改めて見ると私の居住空間めちゃくちゃ汚いですね。

 これはこれで味があるというか…はい、すぐに片付けます。


 あっ、あった。これです!『世界カタログ』です。

 え?「『世界カタログ』をご存知ない?

 これだから最近の若者は〜

 まぁ、私も新米美少女女神なのですが。

 『世界カタログ』はですね、家探しの雑誌みたいな感じと思ってしまっていいですよ。ほぼ同じというか、全く同じなので。

 世界探しとは、要は家探しみたいな感なんですよ。


 うーん…どれがいいでしょう…


 お‼︎これなんかどうでしょう!「魔法もあり、獣族もあり、美男美女の宝庫!」って書いてあります!

 もし、この世界なら私の好きなように美男美女をあんなことやこんなこと。

 惹かれますねぇ…どれどれお値段は。

 ひゃ、ひゃ、150億ゴッド!?

 流石にいい世界だけあってお高い。

 ち、ちなみに私の所持金は…ま、まさか!2700ゴッド…

 普通に少なすぎじゃ無いですか。

 え?お金の単位が安直すぎるって?そんもん知りませんよ。作者がなんも思いつかなかったんだからしょうがないですよ。

 それよりもこのままでは、この世界どころか、なんも買えないのでは!?

 また、あの超絶ブラックバイトをしなきゃいけないのですか、絶対に嫌なんですけど。思い出すだけで吐き気が。


 そ、そうだ。安い順で…えっと…

 一番安いので、23000ゴッド!?

 無理だ、終わりました。この物語は私の所持金不足で終わりました。ありがとうございました。   

 悲しいですねもっと皆さんと遊びたかったです。

 誰か、急に通りすがった神が「君、可愛いから投資させてよ」なんて言って200億ゴッドくれないかなぁ。


 ぴらっ


 …ん?なんでしょう。急に何か起こりそうな効果音が。

 こっこれは!?「美男美女あり、魔王もあり!王道の異世界が作れる!」

 なんと!とても理想的な世界が出できました!

 でもでも、一番最初のと似てるしどうせお高いのでしょう?

 え!?2500ゴッドで売っている!?今買う!すぐ買う!

 コール番号は?ふむふむ…870 187 649ですね!早速かけましょう!


 プルルルル…プルルルル…


『はい?もしもし?』


 声が老けてますね。かなりの年の神様なのでしょうか。


「もしもし。私、世界を探しているものなんですけども、この商品番号4444番の世界が欲しいです。」


『4444ね。あいよ、お客さんのGDは?』


「1123−5801−414です」


『了解…引き落とし完了したよ。今からその世界はあんたの物だ』


「ありがとうございます」


『あんた初めてかい?』


「初めてってそういう…」


『ちがうわ!世界構築のことだよ』


「はい!これが初めてです!」


『初めてか…なら少しばかり難しいかも知れん。なにせこの世界は…まぁ自分の目で確かめるといい。これも何かの縁だ、困ったことがあったら"4274"に、おばばからっていうといい』


「舐めてもらっちゃ困りますよ。なんせ私は、超絶美少女☆女神ですから!それでは、ありがとうございます」


 意外とあっけなく終わりましたね…もっと手続きを踏むのかと…

 まぁいいでしょう!それでは、みなさんの待ちに待ちわびすぎた世界作りましょう!

 ええと、まずは世界を展開しないとですね。


 ‘’展開…アクセス4444…オープン‼︎‘’


 その瞬間辺りが白い光に包まれました。


 おぉぉぉ、これが異世界ですか…ってここは?  

 辺り一面真っ白なんですけど!?私の美男美女は?

 なんか近くに光っているところがありますね、見てみましょう。


 うわぁ!下に広大な大地が広がっていますね!

 ということは、ここは上空のようですね。いかにも神様って感じですね…

 今立ってているのが雲ということなのですね!なんかモフモフしてるから白熊さんの上かと…


 いやぁ、皆さん!やっとここまでこれましたよ!もうそろそろ美男美女が見れますよ!楽しみにしててくださいね!

 あっ、もう私というびしょう…はい。調子に乗りすぎました。こっからはサクサク行かせてもらいます。

 

 まずは、世界情勢図から見ましょうかね!


 世界情勢図とは、その名の通りその世界における各種族の権力の強さを表した図のことである


 なんか謎の声から解説入ったんですけど。貴重な私の解説の場を取らないでください。

 でもまぁそういうことです!


 いでよ、世界情勢図!!


 え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?


 こっこれは、どういうことです!?魔王軍が大陸の9割を占めてますよ。

 流石に魔王軍頑張りすぎでは?

 いやいや、ちょっと!勇者達は何やってるのですか!

 今すぐ確認しなくては。えっとこの世界の勇者のデータは…


‘’This world don’t have HERO’’


 いきなり英語きましたね。この作者英語なんて全く出来ないのにイキってますね。

 あー、つまりこの世界に勇者はいないんですね。だから魔王はこんなに暴れているのですか。

 理解理解。…ってなりますかぁ!


 なんで大陸こんな広いのに勇者が一人もいないんですか!

 人口何人いると思ってるのです?3億人ですよ?勇者の一人くらいいてもいいじゃないですか!


 またもや終了の危機か?と思ったでしょう。  

 でもでも!私には秘策があるのですよ。

 その秘策とは‼︎


 魔王軍を弱くして世界のバランスを傾けることである


 流石にそれは私に言わせてください。せっかくドヤれるところだったのに。

 そんなことより、これが世界の神のみに与えられた神特権なのです!

 いっそ魔王軍を最弱にしてしまいましょうか!

 ハッハッハッ!


 本物の魔王ここにありけり


 ちょ、なんですか。変な解説入れないでくださいよ!

 でも、女神兼魔王って肩書きも悪くないかも


 ここをこうして…


 ‘’You can’t access’’


 ゆーきゃんとあくせす?

 どういうことですか?

 なんで世界の神に操れないものがあるのです?もしかして私って神様ではない?

 えっと、魔王軍以外のものは…操れますね。どういうことでしょう。詰みました?

 

 でもまだ秘策があります。人類のステータスをいじって最強軍団にしてしまいましょう!そうすればどんなに魔王軍が強くてもボコボコにできますよ。

 わぁ、この世界の人類の能力値ひっく!?

 最大にしても魔王軍の1/13くらいですね。

 あーあ、詰みました!詰みですよ。もう秘策がつきました。

 世界の9割操れない神がここにいますよ!

 しかもその最高かつ唯一の打開策であろう勇者が一人もいないのです!

 よくよく考えてみれば「美男美女あり、魔王もあり!王道の異世界が作れる!」こんな世界が2500ゴッドのわけないですよね。

 世界コードも4444だし…不吉。

 どうしよう…誰か、助けてください。

 今なら25000ゴッドでこの世界売りますよ。

 0が1つ多いって?いいじゃないですか、一番安い世界がこのくらいの値段なんだから。


 …この世界に来て5時間程経ちました。

 色々考えて試してみましたが、どれも失敗に終わりました。打開策ありませんね。

 あぁ私の2500ゴッドよ…さらば、永遠に…

 世界の雰囲気自体は何気に好きなのですが、残念です。本当に残念です。


 そういえばこの世界を売ってくれたおばばさんがなんか言ってたような。

 なんでしたっけ?確か、何処かに連絡するとかなんとか。

 えっと‘’4274‘’だったような。

 うわぁ‘’死になよ‘’じゃないですか。

 また不吉。とても嫌です。でもそんなことを言っている余裕もないのでちゃっちゃとコールしましょうか。立ち直りが早いのが私のいいところ。


 コール‘’4274‘’


プルルルル…プルル


『もしもし、こちらXXXです。ご用件はなんでしょうか。』


 すごい真面目そうですね。この人絶対スーツ着て、メガネかけてますよ。て言うか名前聞き逃しました。


「えっと…おばばから」


 さて、本当にこんな言葉だけで相手にしてもらえるのでしょうか?私、騙されてる?


『さ、さようでございますか。VIPコールへご案内します』


 なんとかなるもんですね。あのおばば何者ですか。実は最強神だったりして。


 そしてすぐにVIPコールに繋がれました。


『は〜い。こちらVIPコールでーす。おばばから話は聞いてるよ〜』


 ギャルきたぁぁ!

 でも絶対人選間違えてますよ。さっきの人の方がVIPコールですよ。絶対。

 そもそもびっぷってなんですか。私は所持ゴッド200の雑魚ですよ。


『んで誰がいいの?生きのいいのいっぱいいるよ?』


「え?どういうこと?そもそも貴方はどなたですか?」


『おばば、何にも伝えてないのか…うちは、惑星地球最高司令官のれいなちゃんだよ!よろしく!』


「ち、ち、地球の最高司令官!?」


 私は、とんでもない方にコールをしてしまったのかもしれない。いや、してしまった。

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