罪人

 他人の痛みを想像する事が


 これ程までに辛い事だなんて


 誰も教えてはくれなかった


 そもそも 彼らは興味がないのかもしれない


 人が幸せになろうとする時


 一方で他の誰かが 少しずつ不幸になっている事に


 気付こうとすらしない


 愛する事と憎む事 それらが背反するものなどではなく


 表裏一体であって


 人々の間にあっては 不可分のものとなる事に


 僕はようやく気付いたのだけど


 だからこそ 余計に自分が許せない


 幼かったあの頃の僕は 無邪気に


 そして無意味に 彼女を傷付けた


 皮肉にも その瞬間だけは 僕はみんなの仲間だった


 孤独だった僕が 他人と繋がりを持てた瞬間だった


 彼女だけが孤独だった




 僕の中で 何かが壊れていった


 今の僕は 寂しさという感情を忘れてしまった


 競争心も虚栄心も 行動原理にはなり得ない


 常に孤立している だけど独立するだけの力はなくて


 佇む

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