第2話 親バカなふたり
あの後親に転校したいって言ったら、すぐに手続きをしてくれて、私の黒歴史が誕生した日から一週間も経たないうちに一つ隣の町の中学校に転校できた。
元々私の家は二つの町境にあったため、転校といっても引越しまではしなくてもよかった。まあ、それが転校しやすかった理由の一つで、もう一つの理由は……私の両親がちょっと常識はずれというか、むちゃくちゃな人たちであるためだ。
そう、いわゆる親バカである。それも頭のネジが外れるレベルの。
無駄にお金があるからか、小さい頃から、なんでも欲しいものは買ってくれるし、したいことはなんでもしてくれる。とにかく私を溺愛しているのだ。
お父さんは資産家で、なんでも自称未来が視えるイケメンパパで、本当に未来が見えているのか知らないが、ほとんどの人が有名にならないと思っていたものの価値を見抜いて、見事大儲けしているのだ。
その頭脳を買われて、よく世界中のお偉いさんに相談とかを受けている。コネを作りすぎて総理大臣も頭が上がらないらしい。
ほんと強面のヤクザやマフィアよりもタチが悪い。
でも、普段から私に甘々で優しいお父さんである。
あれ、私ってもしかして、いわゆるお嬢さまってやつ?
まあ、すこーし大きい普通の一軒家に住んでいるけど、そうでもないかな。別に代々続く名家でもないし。
お母さんは超優秀な主婦で、とにかく料理が美味しい。家事はもちろん、その天才肌でなんでもそつにこなす美人妻である。
ただし、お父さんと同じ親バカだから、こないだなんて、「凛ちゃん、ほんと可愛い♡」「 このまま成長してもっと可愛くなったら、今後絶対に下心を持ったけだものが襲いにくるわ。その時凛ちゃんを守れるように、お母さん、格闘技身につけるわ!」とか言って、凡人じゃあ理解できない理由でプロも顔負けの右ストレートで脳震盪を引き起こした。お父さんに。
最近じゃあ、手刀でニンジンをみじん切りしているところを見てしまった。
一体何になりたいのやら……
そうそう、もちろん転校の理由を聞かれたけど、私が「いじめではないけど、言いづらい」って言ったら、素直に引いてくれた。
そういうところは本当にありがたい。
ふたりとも極がつくほどの親バカで、うんざりすることも頻繁にあるけど、私はこの、金のなる木と天災脳筋の二人が大好きだ。
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