第30話
「いいか、何度も説明するのはうんざりだ。二度と言わねーからよく聞けよ。」
カンプがキレ気味だ
「ミュルクヴィズは発電機を欲しがってる。アガルタの
「ニャンだ、簡単ニャ。」
「ただし、発電機はアガルタにとっても重要だ。それを知ったら止めさせられる。
「もしかして、泥棒ニャ。」
「あぁ、そうだな。しかもあるかどうかもわからねえ。」
いかんな、右目が、目が回りそうだ
御者台から落ちそうになる
「イドゥナはコシュタガンケンで見張りだ。」
「ニャンだ、やっぱり、簡単ニャ。」
「トラフォードは
「それは本当にできるのか。今更の質問だが。」
「リュイスのハッキングを信じろ。」
「カンプはどうするんだ。」
「俺が、何年もあんな退屈な仕事をやってただけと思うか?まあ任せろ。準備は必要だがな。」
カンプがコシュタガンケンを操る
「最近、ボンボネーラで卵料理が大人気ニャー。」
「そうなのか。」
「毎日くじで当たった人だけが食べれるニャ。」
「ゼルズラも早くそうなってほしい。」
カンプが大声でつっこむ
「そういやエマームは冷たかったな。」
「エマームってニャンだ。」
「自分が育てた
「ニャまえ付けたのか。」
「呼びにくいだろ。」
「ゼルズラに置き去りにされたと思ったんだろ。おめーを見てるだけだったな。『エマーム。エマーム。』何度呼んでも冷たい目で見てるだけだったな。」
「そんニャ、罰として片手を食べるニャ」
「やめろ、エマームちゃんは寂しかったんだよ。」
左目から汗がにじんでいる
イドゥナが装甲車を運転している
「…それで、最後は捕虜を殺したんだ。」
山賊退治を説明した
「そりゃおめー、せん滅するのが目的だから当然だ。」
「悪いやつは皆殺しニャ。」
「しかし、見逃しても良かったんじゃ。」
「賊はな、人肉食らいだぜ。やつらは一線を越えている。」
「人肉食らい…。」
「知らなかったのか?アガルタとパブロペトリ間では知られた話だ。賊は食料として隊商を狩る。」
「…。」
「それに生き残りがいるんだろ、そいつらはまた同じことをするぜ。」
全身に悪寒が走り、毛や羽毛が逆立つ。脂汗がにじみ、手が震える
一瞬、吐きそうになる
そこは、畑の中にある休憩小屋だった
小屋というには立派な作りで、割と大きい
カンプの胸から小さな明かりが発している
真夜中で誰もいない
「いいか、ここの中のものを出すぞ。」
そこの部屋にはテーブルや椅子、備え付けの寝台があった
寝台は収納も兼ねていた
上面を開けて、中の荷物をとりだす
「トラフォード、そこの板を外せ。」
穴があり、下に降りる梯子がある
「よし入るぞ。」
梯子を下りると狭い部屋だが、棚いっぱいに様々な装置がある
小さな机にも様々な装置がある
「運び出すぞ。」
カンプの指示で大量の機器、装置を運び出す
小屋の扉を開ける
「イドゥナ、気を付けて運べ。」
外で待機していたイドゥナに伝える
「分かったニャ。」
大量の荷物を装甲車に運び込む
「よし、移動するぞ。」
静かに装甲車を動かし、アガルタの洞窟出入り口近くまで行く
「トラフォード行くぞ。」
穴の側まで移動する
「よっしゃ、放置されたままだ。」
そこには
「装甲車に載せるぞ。」
「カンプ、重いぞ、動かせない。」
「ちっ、装甲車をここまで持ってきてイドゥナにも手伝わせる。急げ。」
イドゥナを呼んでくる
「いくぞ、せーの」
「ニャ、お重いニャ。」
「みんな静かに踏ん張れ。急げ。」
ようやく装甲車に運びいれる
「撤収ニャ。」
指がプルプルしてつりそうだ
アガルタの山をかなり回り込んだ
ここならだれも来ないだろうという場所でカンプが苦戦していた
「遠隔で再起動しないということは、支配権限をとれてないのか。それとも本体の電源が壊れたのか、それだとやっかいだな。」
カンプの腹からは紐みたいなものが機器や装置というものに繋がっており四角の平たい板に、何か文字が映っている
カンプの準備が終わるまで、できることはない
こっちはイドゥナと雑談だ
「最近、男どもが変ニャ。」
「どういうことだ。」
「ニャんかあやしい。」
「それじゃあ解らん。」
「
「ふんふん。」
「コシュタガンケンが増えたニャ。」
「それで。」
「首なし
「コシュタガンケンが流行っている訳だな。いいことだ。」
「きっと、裏があるニャ。」
なにを気にしている…
肩を叩かれる
後ろを向くと
「ギャーッ。」
「なん、生き返った。」
カンプが
「いいか、これを前に傾けると進む。後ろに傾けると戻るわけだ。」
カンプに
押しボタンとか言うものや指で引くトリガーとかが付いている棒を動かす
「こっちの鍵盤のこの文字を押すと掴む。これを押すと持ち上げる。ここに映っているのが正面になる。こっちが右、それが左、で、これが背面になる。」
必死で練習している側で雑談に花が咲いている
「ニャあ、アガルタの獣人はどこから来たニャ?」
「大昔は族単位で群れていたらしいぞ。猫人族は猫人だけ、犬人族は犬人だけとか。」
「そいで、どうニャった。」
「戦争とかいろいろあって、どこもかしこも壊滅して、アガルタに避難するとか、
「ふみゅふみゅ。」
「初期はひでえ扱いをしてたが、それも改善した。しかし、なかなか人口は増えなかったな。同じ族の連中同士でもなかなか子供はできなかった。」
「そうニャン?」
「意外と見た目が違ってても子はできるってことを知ったときは、目から鱗だったぜ。」
「ほんとニャ?」
「ああ、犬人と猫人から鳥人が生まれた、ってこともあった。」
『ギラン。』
ん、背筋に悪寒が走ったぞ
必死に練習してるのに
「アガルタは番とか結婚は推奨してねえな。自由に生んでもらうってのが基本方針だ。子供は全員集めてみんなで育てている。母親しか知らねえ子供がほとんどだ。両方知らないって子供も珍しくねえな。遺伝病の危険があるから記録は取ってるはずだ。わかんねえ場合も多いけどな。」
「カンプ、言われたとおりに動けるようになったぞ。」
「おお、良いじぇねえか。これぐらい動かせれば問題ねえぜ。」
装甲車の外で、丸太をつかんで運ぶ
「さてと、トラの練習中に、こいつも完成したと。」
カンプは2つほど装置をくみ上げたようだ
「よし、最終の手順だぞ。よーく聞けよ。」
イドゥナも自分も姿勢を正して拝聴する。
「あらすじとしてはこうだ、トラは操作する
「あたいは見張りニャ。」
「まず開始は夜中、サンティが寝た後に決行する。面の割れていないイドゥナがサンティ人形を拉致する。」
「げっ。」
「ニャんと。」
「大丈夫だ、本人は穴の中で寝ている。朝まで起きることはない。俺が人形に小細工した後、アガルタ出入り口を操作して、人形と機械人形を穴に送り込む。」
「今度こそ見張りニャ」
「そうだ、発電機の場所は判った。
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