第474話 subroutine フレーザー兄弟_失敗の裏で


◇◇◇ バルモア(兄)視点 ◇◇◇


 二つある目的のうち一つは達成できた。


 ケレイル・カルスロップの暗殺失敗は痛いが、あれ以外にも憂国会のことを知る人物はいる。逃しても大きな損失にはならないだろう。


 それにしてもミーガンは無能だ。ぼうっと待っているだけの置物。言われたことしかやらない。従順なのはいいが、従順過ぎるのも考えものだ。あれでは人形と変わらない。


 やはり僕のほうが優れている。隠し通路が網羅されている王城の見取り図を手に入れたんだ。王族だけが知る隠し部屋の位置も。


 クラレンス・マスハスを扇動すると聞いていたので、王城の秘密の通路を全部塞いだ。馬鹿な王族は慌てふためいているだろう。なんせ王族だけしから知らない秘密の道。それを二度とつかえないようにしたのだから。

 あの御方からお叱りは受けるだろうが、大事には至らない。それもこれも僕の機転の賜物だ。


 罰を受けるのはミーガンだけ。

 やっと目障りな弟が死んでくれる。あの御方はどのような死を弟に与えてくれるのだろう。考えるだけで胸が張り裂けそうだ!



◇◇◇ ミーガン(弟)視点 ◇◇◇


 馬鹿な兄だ。


 あの御方が王城の見取り図なんて欲しているわけないだろう。考えればすぐわかることなのに……。本当に馬鹿で思慮の浅い無能な兄だ。取り柄があるとすれば無駄に高い行動力だけ。それすらも、欠点になってしまうのだから、無能と言わざるを得ない。


 やはり僕のほうが優れている。だってあの御方からの命令を成し遂げたのだから。バルモアには教えていない。真の目的を成し遂げたのだ!


 ケレイル・カルスロップ暗殺失敗はいただけないけど、真の目的は達成できた。

 あの御方から小言を言われるだろうけど、大事には至らない。それもこれも僕が指示通りに動いたからだ。


 罰を受けるのはバルモアだけ。

 やっと目障りな兄が死んでくれる。あの御方はどのような死を兄に与えてくれるのだろう。考えるだけで胸が張り裂けそうだ!


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