第2話

 学校に着くと生徒達がごった返していた。どうやらクラス名簿的なものが張り出されているらしい。


 俺のクラスは……………2年3組。


 見知った名前がそこそこ見られるが、正直苦手な面子が多い。今年は大分厄介なクラスになりそうだ。



 せめて教師がまともでありますように………!!



 教室に入るとそこはまるでサファリパークだった。


 ひとりひとりは大してうるさくないが、合唱コンクールと張り合えるレベルの一丸となった声量が俺の鼓膜をぶち破ろうとしてくる。


 実際これが普通なのかもしれない。中学生なんて騒がしくてなんぼなのかもしれない。でも去年はここまでなかった。一年間奴らは化けの皮を被っていたというのか。末恐ろしい。


 俺が絶望に陥って間もなくチャイムが鳴った。



 少しして教室に入ってきた教師は、初日というのにシワッシワのジャージを身にまとい、魂が抜けているかのような形相で教壇に立った。「はあ…」というため息付きで。


 もうこの時点で担任がまともではないことなど分かりきっているのだが、続けて教師が放った言葉が俺をより一層絶望のどん底に突き落とした。



「2年3組の担任になりました、立花修也たちばなしゅうやです。何もしないことが取り柄で、特技は居眠りと定時帰りです。放課後は絶対引き止めないでください。よろしくお願いします」



 …………………終わった。新しい担任の自己紹介も、俺の学校生活も。


 こんな人が担任とか100パーアウトだろ、今どき小学生ですら繕った自己紹介できるっての。



 すると何故か俺の方を見ながら立花先生は突然語り始めた。



「俺前世はちょうどお前らと同じ歳くらいに終わったんだけどさ」



 10代で命を落としたってことか……

 そんな人もいるんだな…



 …………いや待て。

 前世???



「……今世はわたぐもにでもなりたかった」



 すみませんが微塵も理解できません。



 こうして俺たち2年3組の担任、立花修也は『ちょっとやばい教師』として名を校内に轟かせたのであった。

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