香水

進藤路夢

ボスからの依頼

「いいか、これがボスから言われたターゲットだ。ヤス、今回はお前がやれ」

「兄貴、ありがとうございます」

「今日の夜のパーティー、20時ちょうどに俺が電気を消す。暗闇の中でこいつをやれ」

「すいません、どうやってやるんすか?」

「この香水。これはターゲットが特注に使っているものと同じものだ。これに、特殊な液を入れておいた。そしてこのメガネだ。これをかければ、暗闇の中でも赤く光って見える。それを目印に任務を遂行しろ」

「心臓を一突き」

「バカっ!ヤス。いいか? 心臓なんて、肋骨があってそうそう突けやしない。それより、この香水だ、どこにつける?」

「どこっすか?」

「こうだよ、こうやって手首と首から耳裏だよ。ほら、どっちも太い血管が通ってるだろ? メガネかけて、赤く光ってるところそこを切り裂け」

「なーるほど、兄貴、香水つけるの上手いっすね」

「まぁな。結構、遊んでるから・・・んなこたーいいんだよ。いいか? しっかり切るんだぞ」

「はい」


*******************


「次のニュースです。今晩20時頃、都内のパーティー会場で殺人事件が起こりました。

殺されたのは、犯罪グループの兄貴分。殺したのは弟分だということです。グループ内での仲間割れが原因だとみて捜査を進めて下ります。

 また、弟分のほうは容疑を否認していて、『兄貴も香水つけていて、間違えた』とよくわからない供述をしているそうです。

 次のニュースです。レッサーパンダのあかちゃん・・・』

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香水 進藤路夢 @niseuxenntu

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