大塚探偵ミステリー劇場

羽弦トリス

第1話消えない足跡(中級)

D大学レスリング部の仲間、中谷恵、清水清子、大地孝太郎、川口康史の4人は清水の親戚の別荘で近くの温泉に入り、酒を酌み交わした。

料理は、中谷と清水の手料理。随分豪華な料理を作った。

タイの塩釜焼きなど作っていた。

中谷はキッチンの窓辺から外を見て、

「皆!雪降ってる」

他の3人も外を見た。

「天気予報って当たるもんだな」

と、川口が言うと、

「明日、車大丈夫か?川口?」

「大丈夫だよ。チェーン積んでるし。さっ、酒を飲もう」

4人は飲食を始めた。この別荘には、カラオケも設置しており、夜遅くまで4人は楽しんでいた。

隣の別荘も灯りが付いていた。多分、お隣さんは、愛知県警の黒井川さんがお友達と宿泊されているのだろうと、清水は思った。


朝、中谷、大地、川口は起きてコーヒーを飲んでいた。

「あらっ、清水は?」 

と、大地が言う。

清水の姿が無い。3人は清水を探し始めた。


キャー


中谷が悲鳴を上げた。大地と川口が悲鳴に気付き、中谷のもとに走った。

「どうした?中谷」

「あ、あれっ!」

中谷が指差した方を見ると、庭のイチョウの木に清水が首を吊ってぶら下がっていた。


そこに、3人は駆け寄ろうとしたが、

「みんな!動くな!」

大きな声がした。

隣の別荘の黒井川警部だった。悲鳴でこちらの別荘にやってきたのだ。

黒井川の連れは、探偵の大塚探偵であった。


黒井川警部は3人の大学生を動かさずに、二人で死体に近付いた。

すでに、清水は死んでいた。雪には一本の足跡が。足跡には雪は積もっていなかった。足跡はこの真っすぐコテージからギンナンの木に向かってこの一本しかなかった。

積雪は10センチと言った具合だ。


現場を検分した黒井川と大塚は転がっている、踏み台にしたと思われるパイプ椅子を手に取った。二人は白手袋をしている。

高さが合わない。

死体の足の位置がパイプ椅子より高いのだ。

黒井川と大塚は殺人事件と断定。

本部に連絡を取り、3人の大学生の事情聴取をした。

3人とも酒で酔い、朝までぐっすりと寝ていたらしい。


大塚探偵は三人の靴を見て、事件の真相にたどり着いた。見ると大地の靴の裏はドロまみれ、川口の靴の裏はキレイで、中谷の靴の裏は濡れていた。

そして、キッチンに置いてある食材、調味料を確認した。

「犯人はこの3人の中にいる」

「な、何を言ってるんですか?」

と、川口が反論した。 

「これは、自殺に偽装した立派な殺人事件だ!」

3人の顔色が悪くなった。


問題。

さぁ、諸君。犯人は誰か?犯人はどのようなトリックを使ったのか、推理したまえ。

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