第1話

あの夏の日のことは、10年経った今でも忘れることは無い。



あいつは突然姿を消して、その後死んだ。



詳しいことはよく知らない。

俺に訃報が入ったのはあいつが居なくなってから1ヶ月後のことだった。葬式で棺に入ったあいつはぐちゃぐちゃになっていたりするのかなぁ、と何故か事故のニュースを見ている赤の他人のような気持ちで覗いたのを鮮明に覚えている。



綺麗なままだった。いつものような姿をして、眠っているようなあいつがいた。



あいつは俺の恋人で、親友で、いちばん大切な奴だった。あいつのためなら何だってできる気がしたし、何だって乗り越えられる気がした。





そう。あいつは死んだ。


なのにどうして、










お前はここに居るんだ。

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