プロ野球ラジオ実況してる僕、なぜかリスナーからの評判がいい

無才能

プロローグ

 桜が咲き始めた4月。まだまだ風が冷たく、部屋の中で熱い熱気に包まれてパソコン画面とマイクに向かって熱い喋りをしている男が居た。

「マウンド北山大樹きたやまひろき、先日、中継ぎから先発に変わりました。ここまでのイーニングは、8回7奪三振無失点という好投を見せています。」

(おぉ~、北山調子よすぎる!)

(頑張れ!)

(やっぱ、中継ぎより先発の方が向いてたのか)

(リリーフの英雄と呼ばれた舘村たてむらがコーチに付くだけで変わるのか)


「ピッチャー北山が足を上げて構えて、投げた。ボール。おっとここでフォアボールを出してしまった!」

(あら~)

(マジか)

(今年の投手陣、フォアボールを多すぎだろ)

(⇧マジ、それな)


「ノーアウトランナー1塁。ピッチャー北山が加藤に対して、ボールを投げた!、打ちました、詰まったあたり、センターか、レフトか、センターの江越えごしが取りました。ワンアウト、ランナー1塁。」

(よしよし、順調順調)

(行けるぞ)


「ワンアウトランナー1塁、マウンドは北山。打席は、太田。打率.439《4割3分9厘》、ホームラン数は25本でかなりの強打者となっています」

(ワンちゃん、ホームラン打たれるぞ)

(頼む抑えてくれ...)

(今日抑えれば、先発北山としての勝利が着くぞ)

(先発というよりプロ初勝利になる)


「ピッチャー北山が太田に対して、初球です。足を上げてボールを投げた。見送った!ストライク!」

「マウンド北山が太田に対して2球目を投げた、打ちましたファールボール」

(追い込んだ…)

(うふぇ、胸が痛くなるぞ)

(胸じゃなくて、胃だろw)

「強打者相手にわずか2球で追い込みました!」

「ワンアウト、ツーストライク、ランナーは1塁。ピッチャー北山が足を上げて構えた」

「北山が太田に対して3球目を投げた、打ちました、流し打ち。ショートゴロ、ショート上川がボールを取って、2塁に渡ってアウト、セカンド奈良が一塁に送球してボールを掴んでアウト!試合終了!643の好プレーをやりました!」

「先発北山大樹、プロ初勝利!ウインナーズ、昨日までは13連敗と大型連敗しておりましたが、先発投手の満ち溢れたやる気によりにベンチ内、いや...チーム内の雰囲気が一変し、守備にも打者陣にも恵まれて連敗ストップ!北山選手は、試合開始前のインタビューで『僕はまだまだ半人前の投手だけども、この大型連敗しているチームで、僕が先頭に立って、連敗を必ずストップさせて見せます」と意気込みを語っていました。今日の試合の投球は、ドラフト1位かのような輝く活躍でした!」

(うわぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!)

(ウイホー!)

(勝ったぞぉぉ!!!!!!!)

(連敗脱出!!!!!!!!!!!)

(実況、マジ乙!!!)

(甘噛みだけど勝ったから許す!)

(エラーしまくってた上川が好プレーするなんて泣けるぜ)

「ってことで、ヒーローインタビューは、球団、ユ・リーグの公式YouTubeチャンネルの動画にてご覧ください」

(おけ)

(いつも実況、マジ助かるわ)

(今日もお疲れ、つか、学生なのに全試合実況してんのすげぇな)

「いや~ただの暇人ですから(笑)」

(暇つぶしでこれって、クオリティー高くね?)

(それな?)

(なんだろう、変に解説がいらなくて助かるんだよな、聞きやすいというか)

(声の落ち着きもあるんだろうね)

「皆さんからのお褒めの言葉、頂けてうれしいです。ですけど、やっぱり、自分もまだまだダメな点があるので直していきます。」

(伸びしろのある実況者だな)

(がんばれ)

(ところで、登録者改めてみてみ?)

「登録者ですか?見てみますね~」

「えっ!?!?、5万!?!?、先日は1000人とかだったんじゃ....」

(実は、大手VTuberの事務所所属のエンゼル・エンジェルっていう人が、最近ハマっている配信者がお前だったんだってよ)

(それマジ!?)

(は?)

(いやいや、冗談でしょ?)

(リンクあるで、つか、アーカイブも)

(検索したら切り抜きとかあったわ、マジやん)

「でも、なぜ俺が?」

(動画でも見ろってw)

(そうだな、俺も見てみるわw)

(にしても、登録者数十人の時から見てるけど、本当に成長出来て、古参アピできるわ)

「了解です。そしたら今日は、夜も遅いんで配信を止めますね~、明日の試合は、18時からとなっております」

(おけ、明日も参加するわぁ~)

(あいよ~)

(乙)

(おつ~)


「ふぅ~試合終わった~、長かったぁ~、時間は22時かぁ。」

【ブゥーン、ブゥーン】

スマートフォンから振動が鳴った。

「ん?こんな時間に光誠こうせいから電話?」

男は、スマートフォンを取り、耳に当てる。

「もしもし?」

『もしもし!宮田か!?』

「どうした?光誠、興奮した声で電話して」

『今日のエンゼルの配信見たか!?』

「いや?見てないよ?」

『お前のこと、話に出てたぞ!?』

「あぁ~そういえば、コメントでも書いてあったな」

『あの大手事務所所属の登録者100万人越えのVTuberだぞ!!』

「わかった、わかった、明日学校で会おうな」

『おう!明日な!』


「さてと、その動画でも見てみるかぁ」

宮田は、パソコン画面で噂のアーカイブの切り抜き動画を開いた

『最近、ハマっている人いる?ってコメント来たんだけどさ、私ね?野球観戦が趣味なのよ』

(えっ?あのエンゼルがハマっている人いるだっ.....と....)

(そういえば、趣味が野球観戦だったけか)

(マジか!?)

『それでね?私、こういう活動してて、ありがたいことに忙しんだけど』

(そりゃあ、登録者100万だし)

(事務所所属してるし)

(そこに+してリアルな生活もあるから、野球観戦も見れないよな)

『そう!だから移動中とか収録の休憩中に野球実況聞いてるんだけどさ、声がねすっごく良くて、実況も好きなのよ!』

(ほぇぇ、そんなハマってるんか)

(あのエンゼルが声がいいっていうから相当いいんだろうなぁ)

(マジか)

(どうせ、中の人不細工でしょwwwwwwwww)

『その人、まだ伸びしろがあるから、自分も頑張ろうって思っちゃうの!』

(これ以上に伸びるんかぁww)

(伸びしろある配信者っておもろいよな、色んな意味で)

(ある意味、ライバルか)

(配信聞いてきたけど、めっちゃいい声じゃねぇかww)

(いや、マジで実況うますぎん?)

(声、良すぎてチャンネル登録した)

『でしょ!?、私、寝れないときは、この配信聞きながら寝てるの』

(ちょwwwwハマりすぎwww)

(草)

(ほんまに草)

宮田は、エンゼルのアーカイブ切り抜き動画を閉じた。

「あぁ~、これホントだったんだ。」

宮田は、パソコンの電源を閉じ、すぐに寝た。


次回 第1話「龍生、DM《ダイレクトメッセージ》からビックニュース」


~キャラクター設定~

宮田龍生みやたりゅうせい

成宮高校所属

高校1年生の男子。

性格は、静かで穏やかだが、実況になれば熱くなる

将来は未定だったが、これを機に決まる。

普段は、プロ野球のラジオ実況をYouTubeにて配信している。



滝山光誠たきやまこうせい

成宮高校1年生、男子。かなりのネットオタク。

龍生とは、中学からの友人で龍生のやっていることは知っているが秘密にしている。

性格は、常に熱く、よくボケる。


エンゼル・エンジェル

大手VTuber事務所、天ノ星所属で第三期生。

新しく出たVTuberの中で最も人気で声や仕草が可愛いことなどからリスナーから絶大な人気を誇っている。

中の人は、高校生女子でクラスの中では、静か目で少ない友人と話している。









~あとがき~

ご覧いただきありがとうございました。今までは、人生時々列車内という詩というかエッセイというのものを書いていましたが、今回は違います。一人の男の人生を書きあげます。趣味というものに力を入れてみます。もしかしたらキャラクターや内容が一部変更になるかもしれませんが、承知して頂きたい。

僕が書き上げる宮田龍生という一人の人物をこれからも見てほしい。



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