第60話
(さて、それでは良い狙撃ポイントでも探しましょうか)
クラス対抗戦がスタートしてから、Aクラス次席である鳳上は背中から二つのファンネルと機械によって作られた羽を展開する。
このクラス対抗戦において、初動の動きは重要である。集中力が
(私の
そして、鳳上の持つ
そう、二つの
(しかし、現実は学園次席。……で! す! が! このクラス対抗戦であの一ノ瀬を倒して、今度こそ私が学年主席に相応しいと認めさせてあげますわ! ……おっと、大声はNGでしたわね)
思わず高笑いをしそうになるのを堪え、鳳上はさらに歩みを進めようとしたその時、ファンネルが誰かが近くにいる気配を捉え意識をそちらに向ける。ファンネルが受信した映像を眼前に出現させたディスプレイで確認すると、
(この見た目は……確かFクラスの代表でしたわね)
そこに映されていたのは、目の上のたんこぶである一ノ瀬がなぜか目をかけているFクラス代表こと、光一であった。一ノ瀬本人が入学試験で苦戦したとは言っていたが、彼はどうも闘いを楽しむためにしばしば手を抜く悪癖があるのは鳳上も知っていた。
だがしかし、一ノ瀬が光一を高く買っているのも事実であり、クラス対抗戦で光一を倒したとなれば主席である彼に自分のことを認めさせることができるだろう。そう考えた彼女は、足音を立てぬように歩き、羽をできるだけ折り畳みながら光一のいる方へ向かう。
(いましたわ)
鳳上が光一を肉眼で確認できる距離まで近づくが、あちらはまだこちらに気がついていないようである。木々によって鳳上の姿が隠れているのもあるが、どうやらあちらに探索を行えるような
「なっ……!!!??」
完全に不意打ちで放ったはず、それでもミスがあったとしたら木々に隠れて
鳳上からすれば、その多少反応されようとも、
(いや……いつもの癖で無意識に手加減してしまっただけですの……次こそっ!)
鳳上の
「
二つの
三方向からの全力射撃を一転に集約させた鳳上の持つ最大の威力を持つ一撃、目の前の相手は最初から全力を持って倒さねばならないという判断を即座にできるだけ、彼女はやはり優等生なのだろう。
「……
「えっ?」
ただ、目の前の相手がそんな優等生の理屈だけで説明がつくような相手ではないのも事実なのだが。
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