あまあま悪魔っこがあの手この手で甘やかしてくれるASMR
ざとういち
第1話 悪魔のヘッドマッサージ
「ふっふっふっ……。おにーさん、突然のことに驚いていますね?」
部屋の中に突如現れた少女。黒い布面積の少ない服装に身を包み、頭には黒い角を、背中には黒い翼を、そしてお尻には尖った尻尾を生やしている。見るからに悪魔な女の子だ。
「私は人間の幸せオーラを吸収するために現れた悪魔なのです! 恐ろしいでしょう? 完全に私の迫力にビビっていますね! 顔色もだいぶ悪いですし!」
主人公の顔色は悪い。だが、それは恐怖心から来るものではなかった。
「え? ビビってる訳じゃない? 疲れてる? うわっ! おにーさんから全然幸せオーラを感じません……。本当に、なんだかとても疲れた顔をしています……。一体どうしたんですか……?」
いろいろ疲れや悩みを抱えている主人公。思わず少女に自身の悩みを打ち明けた。
「ふむふむ……。な、なんと。そんなことが……。なるほど、可哀想に……。それはさぞかしお疲れでしょう……。頭を撫でてあげましょう。よしよし……。よしよし……」
少女に頭を撫でられほっこり温かい気持ちに。僅かだが、幸せな気分になってきた。
「おおっ、今、幸せオーラがちょびっと出ました! よしっ、私がこのまま、おにーさんを癒やしてさしあげましょう!」
本来の目的を覚えているのかいないのか、悪魔っ子は主人公を癒やすことを決意する。
「癒やすと言っても、何をしたら良いのでしょうね。私は奪うのが専門なので、詳しいことはあまり分かりません……」
主人公は自らの頭を指差す。頭を撫でてもらったのが心地よかったと、素直に少女に伝えた。
「ほぉほぉ。もっと頭を撫でて欲しいのですね。お安いごようです! いい子、いい子。ちゃんと私にお願い出来て、おにーさんは偉いですね〜。ご褒美にいっぱい撫でてあげます」
少女は適度な力で頭を撫でる。美しくしなやかな指から優しさが伝わり、気持ちが落ち着いていく。
「私の手、気持ちいいですか? 遠慮しなくて良いんですよ? まだまだ撫でてあげますからね。よしよし……。人間さんは大変ですね。私はおにーさんの味方ですから。いっぱい甘えてくださいね?」
しばらく頭を撫でるが、幸せオーラはまだまだ少ない。少女は頭を撫でながら考えていた。
「うーん。もっと気持ちいいことしてあげたいですね……。ここに座ってもらっても良いですか? おにーさんの一番リラックス出来る姿勢で。私がおにーさんの背中を支えてあげますね」
言われるがまま、主人公は部屋の中で座った。少女の身体に背中を預け、脱力状態。少女は主人公の身体を優しく支えている。
「よしっ。では、今から私がとっておきの癒やしをお届けしますねっ! それっ」
少女が両手を光らせると、きめ細やかな泡を生み出した。どうやら魔法のたぐいのようだ。
「あわあわな魔法です。心配しなくても、これは魔法なので、部屋をびしょ濡れにしたりはしません。おにーさんを癒やすこと、今の私はそれに全力なのです! ほら、頭なでなでの上位版。あわあわマッサージですよ!」
言われるがまま、少女のあわあわマッサージを受ける主人公。泡で髪がクシュクシュと音を立てる。少女のリズミカルな指捌きが、音と感触で絶大な癒やしを発揮していた。
「どうですか? 気持ちいいですか? ふふっ。良かった。気持ち良さそうで私も嬉しいです。もっともっと、あわあわにしてあげますね?」
泡の音が心地よく耳を包み込む。少女は頭全体を優しくマッサージし続けた。
「この泡は疲労回復、滋養強壮。えっと、なんか他にもいろいろ効果てきめんです。こんなサービス、おにーさんが初めてですからね? 特別ですよ?」
「私は悪魔ですから、こんなに人と密着するなんて、本当はしたことなくて……。ちょっと恥ずかしいんですよ? うぅ……。でも、おにーさんのためなら、私はスペシャルサービスでおもてなしします!」
「お客さん、痒いところはございませんか? ふふっ。たしか、こんな感じのことを言うんですよね? 人間さんのことは勉強しましたから! おっ? ここですか? ここが痒いんですか? よしよし、ここですね? ほれほれっ」
「目がとろけてきてますよ? そんなに幸せそうな顔をして。良いんですよ? 私のことは気にせず、たくさん癒やされてくださいね?」
「今度は少しゆっくりやってみますね? ほらごっしごっし。ごっしごっし。あっわあっわマッシマッシ。ごっしごっし。まっしまっし。ごっしごっし。まっしまっし」
おかしなリズムを口ずさみながら、少女は先程とリズムを変え、ゆっくりじっくりとマッサージを続ける。
「おにーさんはどっちのリズムがお好みですかね? ゆっくりな方もこれはこれで良いですか? 何を気に入ってくれるか分かりませんから、いろいろ試しますよ?」
「よいしょ。よいしょ。え? 疲れてないかって? 大丈夫! 悪魔はそんな簡単には疲れませんから! 疲れてるのはおにーさんの方でしょう? 私のことは大丈夫ですから、安心して癒やされてくださいね?」
しばらくゆっくりじっくりなマッサージタイムが続く。主人公はそろそろ違うリズムが恋しくなってきた。
「よし、次は速くしてみますね! くしゅくしゅくしゅくしゅ〜。あ~、やっぱり速い方が好きですか? どうですかね〜?」
素早く激しめなリズムのマッサージ音が響く。耳に絶え間なく泡の音が満ちている。
「ふふっ。眠くなってきましたか? 眠っても大丈夫ですよ? おにーさんが寝ても、まだまだ幸せオーラは足りませんから! 勝手に奪ったりしませんよ! 私は悪魔ですけど、おにーさんの嫌がることなんてしたくありませんから!」
「痒いところがなくなるくらい、もう全部ゴシゴシしてあげますね。え? 頭皮のダメージ? この泡の癒やし効果でそんなの全然ありませんよ! むしろ、栄養満点なんですから! ほらほら、おにーさんの髪はどんどん栄養を吸収していますよ?」
「くしゅくしゅくしゅくしゅ〜。くしゅくしゅくしゅくしゅ〜。いいですね〜。気持ち良さそうですね〜。もっともっとくしゅくしゅです〜!」
「どうですか? さらに、パチパチな成分も加えますね! このパチパチな刺激が、程よくおにーさんの頭をなんか良い感じにしてくれます!」
パチパチとクシュクシュのWパンチ。心地よくリズミカルな音がさらに頭を包み込む。
「パチパチパチパチ。くしゅくしゅくしゅくしゅ。おにーさんからどんどん幸せオーラが出てますよ! さぁ、ラストスパートです!」
しばらく泡と炭酸のマッサージは続く。少女の一生懸命な吐息がマッサージ音に混じって聞こえている。
「はいっ! あわあわ終了!」
水が弾けるような音が部屋に響いた。恐る恐る部屋の中を確認するが、泡がこぼれたり水がはねた様子はなかった。
「ふふっ。言ったじゃないですか。魔法だから部屋の中でも大丈夫だって。どうですか? 気持ち良かったですか?」
主人公は力強く頷いた。たっぷり癒やされたが、まだまだ物足りなさを感じる。その気持ちを少女は読み取っていた。
「ふふっ。分かってます! まだまだ物足りないんですよね? 心配しなくても、まだまだ、癒やしてあげますからね?」
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