再会
勝利だギューちゃん
第1話
今、僕は列車に乗っている。
地方のローカル線。
電化はされていない。
つまり、電車でなく気動車。
そのボックスシートに、僕は腰を降ろしている。
車窓には海が見えている。
「懐かしいな」
今から、5年前。
中学生の頃だったか・・・
少しの間だけ、この辺りで生活していた。
別にこの辺りに用はない。
目的地は、もう少し先。
ただ、懐かしくなり景色だけでも見たくなった。
『次は〇〇駅、〇〇駅』
車掌のアナウンスが流れる。
ちょうどこの駅が最寄り駅だった。
懐かしい駅構内が、眼に映る。
「あれ?あそこは確か、食堂だったような」
「少し前に、コンビニにかわったんだよ」
ふいに声をかけられる。
聞き覚えのある懐かしく温かい声。
その声の方に顔を向ける。
「久しぶりだね。河野くん」
「里美・・・ちゃん?」
「覚えていてくれたんだね」
「うん」
少しの間だけ、過ごしていた街で、仲良くなった女の子。
こんな形で再会できるとは、神も粋な計らいをする。
「河野くんは、変わらないね」
「里美ちゃんは、すっかり大人の女性だね」
「女は化けるからね。前座っていい?」
「うん」
里美ちゃんは、僕の前に座る。
「みんなは元気?」
「元気だよ。河野くんは絵は描いている?好きだったよね」
「まあ、一応は・・・」
今、僕が向かっている先は、それに関係している。
しかし、言わない方が吉。
そう、天からの声がした。
「そういう里美ちゃんは、何をしているの?」
「私は、地元で働いているよ」
「どんな仕事?」
「お客さんに地元を案内する仕事」
そうなんだ。
「実は今も仕事中なんだ」
「えっ?」
里美ちゃんは、立ち上がる。
「改めてご紹介。この地区でガイドをしております、柿本里美です」
「ガイドさん?」
里美ちゃんは、頷く。
「そんなわけで、あなたの旅をサポートします。
イラストレーターの、河野正先生」
再会 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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