単独編集

ケー/恵陽

①夢だったらよかった

1-1

 真っ白いドレスを着て走ろうとする。危ない、と慌てて駆け寄れば、案の定転びかける姉。今から結婚式が始まるのに、汚させてなるものか。

 その後も水を飲もうとして飛沫を飛ばす。何故か床に寝転がろうとする。などなど何とかなだめすかして新郎の元へ連れて行く。義兄はどんな姉にも幸せそうな顔で笑っていた。

 厳かな式での誓いが終わると二人の影が一つになる。

 ああ、とうとう、姉は義兄という最愛を見つけてしまった。

 これからの人生、きっと姉は苦しいことも楽しいことも義兄と一緒に乗り越えていくし、笑い合っていくだろう。にんまりと口元を緩ませる姉の姿に私は俯く。視界がぼやけていく。

 ……どうして。

 ……どうして、私が一番じゃないんだろう。

 私の一番は姉で、姉の一番は私だと思っていた。そうであって欲しいと思っていた。口惜しくて、泣きわめきたい、……でも出来ない。姉が、大好きな姉がとっても幸せだと全力で伝えてくるから。

 ……もう、夢なら醒めてほしい。

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