おしゃべりな波

今日は海辺の崖に座って考え事をしていまし た。


しばらく、岸壁を波が行ったり来たりしているのを眺めていたのですが、急に波が私の目の前に来てこう言いました。


「お前、なぜこんなところに座っている。」

「考え事をしているだけさ。」


「俺もこうやって陸を行ったり来たりして、考え事をしているのさ。気が合うな。」

「そうだね。」


「しかし、たまに考えごとが溜まったのか分か らないが、そのまま私の上にお前のような人間が飛び込んでくることがある。」

「そういうこともあるだろうね。」


「私もそのような気分になることがあるが、私は波だ。波はお前たちのように何処かに身を投げる場所はない。そういうときはどうすれば良いと思う?」

「うーん。行ったり来たりするのを辞めてみたら?」


「そうか。なるほど。」


そう言うと波は二度と返ってくることは有りませんでした。


しばらく静かになった海を眺めていましたが、


なんだか寂しくなってきて、私は海に身を投げました。


海の味はしょっぱかったです。

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