【書籍化】無才王女、魔王城に嫁入りする。 ~未来視の力が開花したので魔族領をお助けします!~

髙 文緒

【中編版】嫁入りからのセカンドライフコンテスト受賞作

第0話 和睦のための輿入れ

「魔王の息子の元へ嫁げ。休戦のための条件でな、魔族から、王家との婚姻を求められた」


 膝をつき、頭を垂れていたカトリーヌは、王の言葉に思わず顔を上げた。

 

「嫁ぐ……私が魔族の城へ……?」


「あなたの使い道など、他になくてよ」


 継母である王妃が冷たく告げる。

 恐ろしい魔族の城になど、嫁ぎたくない。だが、反発できる立場にもない。


 それに、このまま城で下働きとして生きて死ぬのならば、平和のために命を使うほうが、たしかに有益な使い道だろう。

 死ぬのならば、こんな王宮の外で死にたい。


「……かしこまりました」


 カトリーヌは短く答え、ぎこちなくお辞儀をした。

 王女教育など何一つ、受けさせてもらえていなかった。

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