第三十話 お嬢様、半裸で迷子

 ペタペタ、ペタペタ


「うぅ……リオ姉さまを追いかけて来たものの……」


 そう言ってきょろきょろとあたりを見渡しますわ。

 見渡す限り……木、木、木……あと、木。


「ここ何処ですのおおおおお!」


 リオ姉さまを追いかけていた私は、気が付けば完全に迷子になっていたのですわ。


 全く、リオ姉さまどこに行ったのですわ?


 足早いったらありゃしないのですわよ。


 そう言って私は、ふかく、そりゃもう深くため息をついたのですわ。


「はぁ……まあ、こんなところでため息をついてても何にもなりませんわね! よし、切り替えて咲に進みましょう!」


 そう言って私は森の中を歩いていくのですわ。

 

 ダンジョン内で迷子になって不安な気持ちにならないのか……ですか?

 こちとら半年の間ダンジョンで遭難したのですわ。しかも最下層で!


 それと比べたらどうってことはないですの……


「誰に話をしてるのですわ? まあ、いいですわ~」


 少し首を傾げ、また歩き出しますわ。

 ざくざくと、歩いていく中、ふと私は周りの木を見て思ったことがあるのですわ。

 

「……それにしても、ダンジョンの中にはいろいろな地形があるって話は聞いてましたけれど……森という地形を見たのは何気に初めてですわね」


 通常のダンジョンは、岩の壁がほとんどですのに。

 そう言って、私は、近くの木へと歩いていく。


「もしかしたら、ここの壁の隙間とかに入って奥の方に行けたりしないのかですわ? ……んぎぎーですわー」


 そう言って隙間を通ろうとした私ですが、何という事でしょう。体がつっかえて通りませんでしたの。


「通れませんですわね。見た目では人一人くらいは容易に通れそうですのに……」


 もしかしたら結界が張ってあるのかもしれませんわねー。

 そう思って、私は近くの木の幹に寄り掛かるようにして座りましたわ。 


「ふぅ……ちょっと休憩ですわ」


 やっぱり、ゾンビになっても疲れる物は疲れるのですわ。


「……ふぅ、それにしても、なんか他のダンジョンと違って、空気が美味しく感じますわね~」


 そう言って、私は目を閉じ、自然をいっぱいに感じるようにして息を吸い込みましたわ。


 このつんとした香り、腐葉土の柔らかな土の香り、差し込む日の光を浴びたお日様の香り……そしてなんといってもこのうんこみたいなくっせー香……………


「くっせー、くっせー、くっせーですわ⁉」


 なんですのこの悪臭っ⁉ マジでくっせーのですわ‼

 そう思って、私は目を開き原因を突き止めようとし……そして、それは簡単に見つかりましたわ。


 何故かというと、原因が目の前にいたからにほかなりませんの。


 私の目の前にいた物の容姿を簡潔に説明すると、俗に言うでっけーハエトリ草みたいな形をした植物の魔物でしたの。


 植物は、まるで私を今にも食べようとしているように、その大きな葉っぱを開いておりましたわ。

 ピンク色で、舌みたいですわね。


「ほへーですわー」


 バクッ‼


 そう、呆気に取られていたら、気が付けば真っ暗なところにいたのですわ。

 誰か電気消しましたの?


 ……んなわけないですわよね……あら? なんか、身体が溶けだしましたわね。

 ああ、これ……消化されてるってことなのですわ。


 ……そっか、つまり……私……


「食べられてるのですわあああああああああ!」






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ここまで読んでくれてありがとうなのです!

作者からの少しの宣伝なのです。

新作を始めましたのですよ!


タイトルは『転生したら幽霊船だったので、この世のお宝すべて手に入れてやろうと思います。』

https://kakuyomu.jp/works/16817330665162212961


……知ってます? 船って彼女なのですよ。

是非読んで……コメントいただけたら最高に嬉しいのです!


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