第二十五話 お嬢様、タンがちぎれる。
「うぎゃあああああ、ですわああああ⁉」
「何やってんの馬鹿あああ!」
「知らねえですわああ!」
そう言って私たちは、現在巨大な岩の玉から逃げながら、全力疾走していたのですわ。
何が起こったか簡潔に説明すると、探索を始めた瞬間私が盛大にトラップを踏み抜いちまったと言うわけなのですわ。
【コメント欄】
”最初初っ端からトラップ踏み抜いてて草w”
”ワーサイサキイイナー”
”リオ姉さんが悲鳴上げるなんて珍しw”
なんてコメントが流れていきますわ。
くそぉ……なんでこんなことになっちまったのですわ!
誰ですの! あんな場所にトラップを仕掛けたのは!
カチッ
「……あ、やべぇですわ」
「へ? 何今の音」
そう、不満を持って走っていた私の足の裏に、なんかのスイッチを踏み抜いた感覚がありましたわ。
「……あー、たぶん、トラップ踏み抜いちゃったみたいですわ~」
「あはは~……ガチ?」
「ガチですわ」
そう言った瞬間、前の床がすっぽりと抜けちまったのですわ。
「ぎゃああ⁉ 落とし穴ですのお⁉」
「……やっば、エリ、ちょっとごめんね」
「ほへ?」
リオ姉さまはそう言って私の事を抱きかかえ上げました。
……お姫様抱っこで。
「ちょっとリオ姉さまっ⁉」
「口閉じてて、舌噛むよ」
そう言ってリオ姉さまは、思い切り地面を蹴り、空中へ飛びあがりましたわ。
「はわわ……と、飛んだのですわッ⁉」
空中を駆り、姉さまは落とし穴を飛び越えていきますわ。
「スゲーすげー跳躍力なのですわー……あびゃっ」
「よっと」
リオ姉さまが着地した瞬間、私の口の中で何かがはじけましたの。
……口の中に広がる血の味。
「…………よっと、大丈夫? エリ」
「……うっ」
「エリ~おーい……」
「おえーーーー」
そう言って私は、盛大に嚙みちぎってしまった自分の舌を吐き出しましたわ。
「じ、じだがんだのですわー」
「あ、エリのタンだ」
「……あ、エリのタンだ。 じゃねえですわよ! なーに、道端で『あ、百円おちてるー』みたいに言ってるのですの……って、ちょっと何拾ってますの⁉」
そう言って騒ぐ私の目の前で、リオ姉さまは私の舌をポケットに入れましたわ。
「いやーなんて言うか……なんか美味しそうだったから」
「聞くの恐ろしいですが……から?」
「帰って焼肉しようかなって」
そう言ってエヘッとリオ姉さまは笑いましたわ。
【コメント欄】
”会話が狂気すぎる”
”リオ姉さま、ガクガクブルブル”
”会話が狂ってて草も生えねえ”
なんて、コメント欄も戦々恐々としていましたわ。
「……ま、まあ兎も角ですの。私の舌という犠牲はあった物の、トラップを回避することができたのですの。きっと岩の玉も落とし穴に引っかかって、もう私たちを追ってこないはずですの」
【コメント欄】
”何だろ、盛大なフラグ立ったような?”
なんてコメントが見えましたが、いやーそんなわけないですわ。まずジャンプ台が無いですし、岩がジャンプするわけないのです……
「ねえ、エリ……ちょっといい?」
「え? どうしたのですの?」
「岩の玉が飛んでるように見えるんだけど……」
「はぁ~そんな、ジャンプ台があるわけでもねえですし、そんなバカなことがあるわけ……」
そうリオ姉さまから声を掛けられ、ふと後ろを振り返ると……なんか、岩の玉が空中に浮かんでいたのですわ。
うん、これは……そうですわね。
「飛び越えてきたのですのおおおお⁉」
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読んでくれてありがとうなのです!
作者からの少しの宣伝なのです。
新作を始めましたのですよ!
タイトルは『転生したら幽霊船だったので、この世のお宝すべて手に入れてやろうと思います。』
https://kakuyomu.jp/works/16817330665162212961
……知ってます? 船って彼女なのですよ。
是非読んで……コメントいただけたら最高に嬉しいのです!
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