二章 田中 絵里

第十三話 汚嬢様、姉と買い物へ行く

 配信を終えて次の日。

 私はリビングでゴロゴロゴロゴロと寝っ転がりながらポテチとコーラを胃にぶち込んでいましたわ。

 

「ただいまー、ギャ―!? 胃が―胃が外に飛び出てるーーー!?」

「あ、お帰りなさいですわー」

「ただいまー……じゃなくて、何してんのっ⁉」

「何してるって、見ての通り胃にポテチとコーラをぶち込んでいるのですわ」

「そうだねーぶち込んでるねー……って、でもさ……でもさっ……胃を引きずり出して、直接食べ物をぶち込むわけじゃないと思うなっ⁉」

「えーでもこっちの方が効率的じゃありません?」

「でも、味は感じないでしょ?」

「…………確かにそうですわッ⁉ もったいねーことしてますわッ⁉」


 そう言うと私は胃を腹の中に押し込みましたわ。


「……うぷっ……ちょっと、食べ物積み込みすぎて……なんか、気持ちが悪くなってきましたわ」

「まあ、コーラとポテチだからねー……」

「うっ……リオ姉さま、袋……袋を……お、おえええええええ」

「キャあああああ!?」


閑話休題しばらくお待ちください


「ふ、ふー……一発出したら気持ちよくなりましたわっ!」

「そっかー……気持ちよくなったのならそれでいいんだけどさー……いいんだけどさー」


 そう言うリオ姉さまの額に青筋が浮かんできますわ。

 恐ろしいですわ。


「ソファーの上で吐くのは……遠慮してほしかったかなー?」

「ひ―ご、ごめんですわー!?」

「まったく……あ、そう言えば絵里って、今日は配信しないんだねー」

「……ふう、ついた。ええ、そうですわねー今日はお休みするのですわー」


 そう言うと、姉さまは「そーっかー」と言いながらスマホを開きましたわ。


「ふっふーそれなら、今日も私が配信予定を入れて今日も絵里に配信をさせて……あれ?」


 それも当然、すでに私。次の配信の告知を終えていたのですわッ‼ これでリオ姉さまによって勝手に配信を入れられ、振り回され事が無くなったのですわッ‼ 私天才ですわっ!


「ふ、残念ながら既に次の配信については既に告知してあるのですわ。だから、姉さまに付け入るすき……は……ちょっと、何笑ってるのですのっ⁉」

「ん? いやーもう次の配信決めてるんだーって……お姉ちゃん、一回で終わるかなーっておもってたからさー」


 そう言ってニヤニヤしながらリオ姉さまはそう言った。


「ほえ?」

「いやー、お姉ちゃん的には配信続けても昨日の配信で、配信しません宣言するかなーって思ったんだけど、そっかー続けるんだー(ニヤニヤ)いやーお姉ちゃん的にはうれしいんだけどねー(ニヤニヤ)」


 ちょっと待ってくださいね? ちょっと頭の中で整理しますわ。

 つまり……次の配信を告知=配信を続ける宣言。

 リオ姉さま的には配信を続けててほしい。

 私が配信を続ける宣言=リオ姉さまの望み通り……


「ああ⁉ 完全に乗せられていますわああ‼」

「ニヤニヤー、イヤー乗せてないよー乗せてないとも……別に絵里が、一回配信してその後も配信者続ける宣言してくれればいいなーって、オモッテマセンデシタヨ」

「最後かんっぜんに棒読みで、全然隠せてませんわよっ⁉」


 そう、私が突っ込むとリオ姉さまは「そっかー」と小さく呟いた後ニヤッと笑いましたわ。


「じゃあ、今日暇ってことか~」

「ふぇ? あ、いやー……暇ってわけじゃない……ですわ~?」


 あれ、このパターン……


『絵里今日暇ー! じゃあ、バスケしようぜ! お前がボールな!』

『絵里ー今日暇でしょ!? じゃあ、サッカーしようぜ、お前がボールな‼』

『絵里ー今日暇だよね? 暇でしょ? 暇ってことにするね! 釣りしにいこーお前が餌ねー』


 うっ、思い出される理不尽な幼い時の記憶……

 こ、これは断らないとだめですわーわー……オホッ。


「そっかー暇なんだねー」

「だから暇じゃないですわ~おほっ、オホホー」

「棒読みで隠せてないよ~」

「オホッ!?」


 み、見抜かれた……ですのっ⁉

 で、ですが、暇じゃないというのは嘘ですわ‼ 今日の予定は本当に決めてますの‼

 今日の予定は、お優雅に……


 ガシッ、そんな感じに私の腕が掴まれてしまいましたわ。


「ひぃ……なのですわ」

「絵里、遊びに行くよっ‼」

「ひえぇえ……私、今日は冷房ガンガン聞かせた部屋でワンポース読むって決めてましたのにぃいいいいいい!?」

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