第十二話 お嬢様と新しい義手
「新しい義手ですのっ‼」
そう言って私が抱え上げたのは細い折り畳み式の剣がついた義手でしたわ。
「ラッキーラッキーですわッ‼ 宝箱ドロップした上に、義手が出るなんてっ! あ、一応言っておきますけれども、これ、やらせなんかじゃないですからねっ⁉」
【コメント欄】
”義手だあああああ!?”
”こんなリアルタイムに出ることある?w”
”いやー汚嬢様持ってるなーw”
すこし、やらせ疑惑とかかけられるんじゃないかと思っていましたが、コメント欄を見る限り平和そのもの。良かったのですわ~
「それにしても、この義手。一体どんな義手なのでしょうね? まあ、見た感じ……接近戦用っぽいですが……」
そういいつつ、義手を少しいじってみます。
「ふむふむ、ここが稼働して……おお。結構長い剣が生えるのですね。何というか、昔見た某ロボットアニメの00で見たみたいなのを細くした物みたいな感じですわね」
【コメント欄】
”付けて見て”
”ワクワク(*´▽`*)”
”どんな感じになるんだろ~”
「いや、今すぐには流石につけませんわよ。ダンジョンでドロップしたものとはいえ……腕に付けることになるものですから一回洗浄いたしませんと」
【コメント欄】
”(´・ω・`)”
”そこは人間的感性してて草w”
”確かに、拾ったばかりの奴は汚いか”
”変な菌とかに感染しないようにした方がいいもんな”
”悲報、お嬢様普通の感性も持ってた”
「なんで悲報なのでございましっ⁉ まるで私が汚いかのような……ちゃんと一週間に一回はお風呂入ってますので不潔ではないのですわッ‼」
【コメント欄】
”汚くて草w”
”一週間に一回はさすがに不潔”
”汚嬢ちゃんと風呂入れ”
「うっさいですわねっ‼ 汚くないのですわあっ!? ――って、話を戻しますわよ。まったく……とりあえず別に菌とかそう言うのは私へっちゃらなんですわ。でも、やっぱ……心情的に綺麗にした方がいいじゃないですの? ね? 思いません?」
【コメント欄】
”まあ、確かにそうだけどw”
”お風呂にちゃんと入ってない人が言うセリフじゃないw”
”ってことは、次の配信までお預けか~”
「そうなりますわね、まあ、せいぜい次の配信をお楽しみにですのっ! ってなわけで、そろそろ探索を再開いたしましょう」
【コメント欄】
”探索再開かー”
”はてさて、お嬢様に立ちふさがる敵は次は一体なんなのか……”
”ん? なんか忘れているような?”
そう言って、私は持ってきたカバンに義手を摘めて歩き始め……始め……始め……
「ああ、そうだったのですわ」
【コメント欄】
”あ”
”あ”
”あ”
”そうだったw”
”お嬢様、落とし穴に落ちてたんだったw”
私が見つめる視線の先。
聳え立つのは、まさに断崖絶壁。
今から、私……これを登らなきゃいけなんですわね。
「嘘だドンドコドーンなのですわああアアアアアアアアアアアアア‼」
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