ダンジョンで死んだ底辺配信者はゾンビになってからバズり始める

青薔薇の魔女

プロローグ

第1話 汚嬢様、爆誕ッ……ですわっ!

「はあ、私才能が無いのですわね」


 そう言って私――エリザベート・バースディ。本名:田中 絵里はしょぼんと肩を落としていましたわ。


 半年前から始めたダンジョン配信、ですが現在の視聴者は0人。


「ぐぬぬ……何故伸びないのですわっ⁉ 私、結構キャラ立ってるはずですわよねっ!」


 偉大な姉への憧れから始めたダンジョン配信ですが、このままただただ消えていくだけ。

 虚しいですわ。


「はぁ……もう、今日は配信を辞めて帰るのですわ」


 言って引き返したとき。私は踏んでしまったのですわ、トラップを。

 

 ガチャンっ、ガチャンっ


「キャッ⁉ な、なんですの……?」


 私は木の枠に固定されてしまいましたわ。エロ同人のように。


「ちょ、これ壁尻って状況ではないですのっ⁉ ま、まさか、この後ゴブリンとかにあんなことやこんなことをっ⁉」


 絶対いやですわー‼

 なんてエロい状況を想像してたのですが、それだったらどれだけよかったでしょうか。


 目の前に突然現れる鏡。

 もしかして、私に自分のメス顔を見せてわからせようって魂胆ですか?

 くッ、そんなことされても私は折れな……アレ?


「なんか、すっごい柱が高く伸びてますわよね……? それに、一番上のアレは、刃ですわよね?」


 ゆっくりと上に目を向けると、そこにあったのは分厚く血にまみれた刃だ。


 これは、もしや……ギロチンですの⁉


 あの、フランスで貴族を殺害しまくったという悪魔の処刑器具……


「嘘……嘘ですわよね?」


 嘘、嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘!


「し、死にたく死にたくないですわッ‼」


 まだ漫画の新刊見てませんし、積みゲーだってまだ未プレイの物がありますのっ‼ それに、それにっ恋だって。


「嫌だっ‼ 死にたくないですわッ‼」


 漸ッ……ダンッ。バシュッ。


 そう言って、私は死にました。

 死んだのだ。

 首を切断されてされて。

 死んだはずだったのですわ。


 ですが私は……気がつけば、ダンジョンで大の字に寝っ転がっていましたの。

 何故か全裸で。


「ん? ……あれ? なんか、スース―するですの。これ私、生きていますの?」


 そう言って起き上がった私は自分の体を見ますわ。

 

「これは、はうぅ……恥ずかしいですわ。こんな状況見られたら私、社会的に死んでしまいますの。おっぱいも、小股も……お骨に、お腸にお心臓だって見えて…………んっ⁉」


 ホネ、腸、心臓。

 普通肌の中に大切にしまわれているそれらが、身体の外に見えている。


「な、なんですのこれはああああああ⁉」


 こうして、私はゾンビな嬢様。

 文字通り腐女子になってしまったのですわ。

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