398話 町が1個増えた

【えみちゃんがかわいそくない?】

【まるで常識人みたいな会話してるのに……】

【そうだよ】

【くしまさぁんと同じレベルの会話してるみたいだもん】


【草】

【ひでぇ】

【お前たちはえみちゃんを擁護したいのかけなしたいのかどっちなんだよ草】

【え?】

【どっちも】

【草】


【えみちゃんファンはね、複雑だからね……】

【清楚系美人お姉さんからロリコン百合ヘンタイお姉さんだからね……】

【これもある意味脳が焼かれた被害者なんだよ】

【それはえみちゃんが悪いな!】

【だろ?】

【草】


【けどほんと、えみちゃんがくしまさぁんと真剣に話してるのが違和感ありすぎてなぁ……】

【普段のダンジョン潜りの作戦会議とか、こんな感じだったのにねぇ】

【どうしてこうなった】

【ハルちゃんがかわいすぎるからじゃない?】

【あー】


【ハルちゃん以外にはあそこまでならないし、ハルちゃんがよっぽど性癖にクリティカルヒットしちゃったんだろうなぁ……】

【るるちゃんにもちょっと反応してるけど、ハルちゃん相手だけ理性吹っ飛んでるもんなぁ】


【理性吹っ飛ぶ(全世界の前でやべー発言】

【理性吹っ飛ぶ(よりにもよって崇拝対象にまでなってる相手に対して】

【えみちゃん……暗殺とか気を付けてね……】

【草】


【えみちゃんの性癖もヘッドショットしちゃったのか、ハルちゃん……】

【繋がっちゃったね!】

【ちょっと違わない??】

【ま、まあ、本人はしあわせそうだから……】


【ハルちゃん関係で登録者増えてるのもあるけど、だめだめな面で逆にファンが増えてもいるから……】


【清楚系からキワモノ担当に……】

【おいたわしい……】

【こんなに美人さんなのにね】

【こんなにおっぱいおっきいのにね】

【人は顔も体も大切だけど、内面も大切  よく分かるよね!】

【草】


「あとはハルさんたちがどうこの世界を導くかだけど……どうしたの? ちほ」


「……えみさんから性欲、性癖、悪癖、どうしようもなく壊滅している欠点を抜けば、普通に接していられるんですけどね……」


「ちほが……名前を呼んでくれた……!?」


……なんかえみさんの地位の低下が激しい気がするけど……えみさん自身は楽しそうだからいいや。


けど、覚えてるよりもけちょんけちょんなのは気のせい?


【草】

【草】

【くしまさぁん is goddess】

【やはり女神だったか……】

【こんなえみちゃんのことを名前で呼んであげるだなんて……】

【ひでぇ】

【草】


【でも予想外の規模だったわ……】

【何千もの世界て】

【……これって「三千世界」って言葉通り……?】

【あっ】

【えぇ……】

【ノーネームちゃん……どんだけ力持ってるのぉ……?】

【その力、全部ハルちゃんに捧げてるのよね……】


【ハルちゃんが好きすぎるからな!】

【愛は世界を救うんだよ】

【愛(寝込みを襲って孕んで産む】

【せ、性欲も愛の一部だから……】


【もしかして:ノーネームちゃんとえみちゃんの原動力は同じじじじじじじじじ】


【草】

【ノーネームちゃん!】

【自分のこと棚上げよくない!】

【ノーネームちゃん、見損なったよ……】


【ゴメンネ】


【いいよ】

【いいよ】

【許す】

【セクハラしたりイラってするこというやつが悪いよな!】

【草】

【手のひらくるっくるで草】

【かわいいは正義だからね】





びーっ、びーっ。


「な、何!?」

「警報音……の、ノーネームさん!? は、ハルさん!?」


戦いを眺めて満足した僕たちが引き返してきたところ、地上からでっかいアラーム音。


みんなが慌てている。

そりゃそうだ。


「ノーネームさん、あれなんです?」


「しゅうよう」

「すぺーす」


「たりない」


収容スペース?


よく分かんないけども、ノーネームさんがわざとしてることなら大丈夫か。


「あ、あれ! 見て! 町の外の地面が!」

「……正方形に……数キロ四方が、光っているわね……」


びーっ、びーっ。


警報音と薄い赤で光ってる地面――や、その上空まで綺麗な四角に光ってて綺麗――は、説明が無かったとしても危険を示す情報。


その上を走ってた戦車さんたちが、慌てて外へと逃げていく。


【なんだなんだ】

【ノーネームちゃんもハルちゃんもぼけーっとしてるからたぶん安全なのは分かるけど……?】

【草】


【戦いは、消耗が無くなってるし戦力が揃ってる人類側が圧倒……まーたGが来たりしない限りには問題ないはずだが……?】


「?」


……にょきっ。


にょきにょきっ。


「……ビル?」

「びる」


「生やしたんですか?」


「はやした」

「ちがう」


1本、4本、9本――どんどんと増えていく四角い細長いの。


「かくのうほぞん」

「まち」


「しゅうよう」

「にんげん」


「……使わなくなった町、きれいにとっといたんですか?」

「ん」


「で、そこに連れてきた人たち入れると」

「すむ」


「どのくらいとっといてるんですか?」

「たくさん」


「たくさんなんですか」

「たくさん」


たくさん町を取っといたらしい。


【しゅごい……】

【あ、これ、他の町とほとんど同じ感じだわ】

【確かに】

【中央にでんと石碑があって、その周りに高いビル、そこから低めになってって外側がまた高くなるっていう……】


【……この町も数千年もの……?】

【それが、たくさん……】

【ひぇぇ】


【しかも、ハルちゃんたちが地下から出てきたときみたいに、地面ごとぬるりと上がってきてるぅー……】

【魔王軍と戦って滅びた?世界だしなぁ】

【これくらいはあって当然……いやいや技術力がケタ違いだわ】


――ずぅん。


「ろっく」

「きどう」


あ、ビルとかの電気がついてる……昼間だから分かりにくいけども。


「あれ、エレベーターみたいになってるんですね。 へー」


「……どうしましょう……本来なら腰を抜かすくらいに驚くべきことなのに……」


「仕方ないわ……この世界は何もかもが違うのよ……だってハルたんとノーネームたんの世界だもの……」

「えみちゃん……」


【草】

【シリアスな口調で何言ってるのえみちゃん】

【ああ、るるちゃんが呆れた目を】

【くしまさぁんは?】

【もう目すら合わせない】

【草】


【えみちゃん?? そろそろ怒られても知らないよ??】

【でもなぁ、肝心のハルちゃんたちが怒らないからなぁ】

【えみちゃん……本当に気を付けてね……】

【でもまずは言動に気を付けようね……】

【草】


【正論しかなくて草】

【だってえみちゃんだもん……】

【ま、まあ、これだけコメント加速するってことは好かれてるってことだから……】

【あの、他の世界の配信は】

【知らない方がいいことってあるんだよ?】



◆◆◆



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