397話 無限湧きVS無限湧きらしい

「あ、そうだノーネームさん。 魔王さんは……うっかり事故で倒しちゃったけど」


ふと疑問に思う。


あれだけわんさかといたモンスターたちの親玉が居なくなったらどうなるんだろうって。


【草】

【草】

【うっかり(ベルでぶったたいた】

【事故(結果的には魔王を出待ちして最大出力叩き込んだ】

【哀れなイモリ……】


【もはやヤモリとも炭火焼きともオオトカゲとも呼んでもらえず、Gと表現される始末で】

【草】

【あんなの誰が想像できるか!!】

【ノーネームちゃんでさえできてなかったんだ、誰にも無理だぞ】

【良かったねG、1番おいしいポジションで】

【草】


どんどんと攻撃が続いている――つまりは、個体数は相当減ってるけどもワープホールから延々とモンスターが湧き続けている。


これ、いつまで続くんだろうって。


「魔王軍はまだまだ来そうですか?」

「くる」


「どのくらい?」

「むげん」


「無限ですか」


「すうせん」

「せかい」


「すいよせる」

「ここ」


「……数千の世界から、集めてる……ああ、危なかった人たちを呼んで来てるみたいに?」

「ん」


「このワープホールとかも?」

「つなげた」


「はぇー」


【かわいい】

【かわいい】

【ハルちゃんって素直に驚いてくれるからかわいいよね】

【分かる】


【あれ、ないないされない】

【ハルちゃんの裾からさっきふとももももももも】

【あーあ】

【草】

【あまりにも数が多いから、とうとう厳選しだしたか……】


どうやら、魔王軍の残党からいろんなところを守るためここに吸い寄せてるらしい。


ノーネームさん、まーた何かすごいことしてた。


ま、僕を連れてこうとしてた魔王さんも似たようなこと自慢してたし。

世界同士は案外近くってばっちばちにやり合ってるのかもね。


そういう意味じゃ、ダンジョンが出現した10年前までの地球が平和すぎたのかな?


モンスターとかすら居なかったから人間同士で戦えてたわけだし。

大陸でドンパチやってるあいだに平和な顔できる島国的なやつ?


「……まぁ、これだけ戦力集まってて弾薬も燃料も魔力も無限なら、確かにこうした方が効果的ですよね。 町も、最初のとこ入れても数個ですし、結構近場に固まってますし」


「こうかてき」


「じゅういちねん」

「ひきつける」


「あー、これだけの戦力、そういう意味で」


【マジか】

【11年て】

【まぁ、それくらいはかかるよなぁ】

【Gもこの短期間で何回も倒されたし、さすがに復活には時間掛かると思うが】

【それでも数年……残党をここでミンチにし続けたらちょっとは勢力も落ちるだろうし】


【荒野が一面きらきらしてて綺麗】

【綺麗(モンスター倒したあとの結晶】

【あー、そういや途中からグロじゃなくなってたな】

【結局どうして結晶になったり死骸が残ったりしたのか分からなかったなぁ】


【死骸は昨日の夜、みんながんばって集めて適当な穴掘って埋めてたけど……そのまま残すと病気とか怖いしなぁ】

【そこから新しくモンスターが……卵生とかだと】

【ぞわっとしただろやめろ!!!!】

【おろろろろろろ】


これからここで11年、毎日戦い続ける。


確かにすごいけど、集められた人たち、良いのかな……特に、さっきおいしいワインおみやげにもくれた合衆国の人たちとかさ。


滅びかけてたとかいう世界はまだしも、あの人たちは「海で待機してたら召喚された」とか言ってたし……。


「ノーネームちゃんすっごーい!! あとでなでなでするー!」

「……ん」


あ、ノーネームさん、るるさんに撫でられてる。


目を細めてる感じは猫みたい。

猫は猫でも黒猫だけどね。


るるさんが手を延ばすと、さっとるるさんとノーネームさんを抱えてる人たちが近寄って、2人を近づけてくれている。


彼女たちの、何も言わずに意図を汲み取ってくれるっていうお仕事が輝いてるね。


【かわいいいいいい】

【かわいいいいいいいいいい】

【ノーネームちゃん!!】

【自分へのカワイイは恥ずかしくてついないないないないないないない】


【草】

【ノーネームちゃんの照れ隠しだったか……】

【なにそのかわいいののののの】

【あーあ】


「魔王軍もまた無限に生まれてくると、昨日のアナウンスでも言ってましたし……戦場をここに限定するというのは、確かに良い手ですね……」


「そうね、中にはそれなりに故郷を失った人々も居るし、いずれその人たちが帰るにしても、その世界に魔王軍がうようよしていたら大変だものね」


「ハルさんたちが迎えてくれたということで、今後ここで定住する人もかなり居るということですし……」


「立派な町もあるし、水も食料も日用品も……謎の自販機みたいなもので出せるものね……いくらでも。 そして、この戦力。 故郷を失った人々にとっては何よりの拠り所よね」


後ろから聞こえてくるふたりの会話。


……えみさんってば、小さな女の子に対するアレさえなければ本当に頼れるお姉さんって感じなんだけどなぁ……いやいや僕の方が年上なんだけども。


まぁしょうがない、えみさんと出会ったのがこの体になってからなんだ、こういう印象になるのもしょうがないんだ、しょうがない。


【えみちゃんが……まとも……!?】

【ひでぇ!】

【※一応これでも事務所のまとめ役としてかっこいいお姉さん枠でした】

【※でももうだめです】

【草】

【草】



◆◆◆



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