377話 【えみちゃんはおしまい!】
【果たしてえみちゃんの行く末やいかに】
【もう無理じゃない?】
【無理だろうね】
【諦めよ?】
【諦めが肝心だと思うよ】
【そうだよ】
【※もはや手を出してるってしか思われてないレベルです】
【※今の法律ではえみちゃんもダンジョン関係では成人扱いです】
【※厳しい海外基準だと未成年に対する発言でも普通に投獄されます】
【そうでなくてもネット上だけでえらい目に】
【サジェストがね……】
【知ってる? 今はもう性別関係なく裁かれるんだよ?】
【草】
【ぼろぼろで草】
【えみちゃん……俺たちだけは味方だからね……】
【うちの国に居れば、まぁ執行猶予で済むだろうからさ……】
【えみちゃん、もう海外行けないね☆】
【えみちゃんはおしまい!】
【め、女神なハルちゃんのお友達枠でどうにか……】
しばらく、じっとコメント欄の推移を見守っていたちほ。
――だから、バレる前から治療を始めていたのに……やっぱり無理でしたね。
彼女は、
「はぁ……」
と、ため息をひとつ。
そしてマニュアルのうち「えみさん矯正マニュアル」と書かれたそれを丁寧に四つ折りにして静かにしまうと、未だ崩れ落ちているえみに話しかける。
「あの、えみさん」
「なに……」
【草】
【声】
【えみちゃん、声! 声!!】
【心底絶望している声】
【分かる】
【分かる】
【えみちゃんのファン、一生続けるからね……】
【えみちゃんファンの結束が高まっている!】
【草】
【えみちゃんファンもそのうちまとめてしょっ引かれそう】
【そのためにしばらく泳がしてくれそうだよ、よかったねえみちゃん!】
【ああ、類友で芋蔓ってそういう……】
【お巡りさんが好きな手口だよ!】
【草】
「私たち……召喚される意味はあったんでしょうか。 まだ1時間ほどしか戦っていませんでしたけど」
「ある、とは思うわ……」
「いい加減泣き止んでください」
【草】
【辛辣で草】
【くしまさぁんの見下す目が……ふぅ……】
【えぇ……】
大切なところを見えなかった悲しみは晴れず、ぐしぐしと涙を拭う。
……実はハルに直接頼めば見せてくれそうではあるが、というか確実に「はいどーぞ、ヘンタイさん」と見せるが、それはそれでなんかダメだという複雑な乙女心を持つえみは、なんとか気持ちを切り替える。
「……私たちのないないが終わる直前に、あの巨大な樹木のモンスターたちが出現したらしいの。 上級者ダンジョンでも見たことがないほどの強さみたいだし……普通の戦力では、太刀打ちできないでしょうね」
「ああ、先ほどるるさんが倒していた……確かに。 高層ビルのサイズと太さでしたものね」
「先ほど戦っていた人たちによると、見えない遠方にもすごい数の魔王軍が居たらしいし……先ほどのるるの力が必要だったのでしょうね。 ――ノーネームたんからもらった力が」
【草】
【えみちゃん! マジメに戻ってたのに!】
【ノーネームたんとかかかかかかか】
【えぇ……】
【もしかして:一応えみちゃんもノーネームちゃんのお気に入り】
【ノーネームちゃんずるい! えこひいき!】
「……一応戦ってましたものね、えみさん……ただハルさんたちのスカートの下を覗こうとしてただけじゃなかったんですね……」
「ちほ!? 一緒に戦いはしなくとも、臨時でパーティー組んだ人たちに治癒魔法かけていたわよね!? そのすぐそばで戦っている私、見ていたわよね!?」
「だって、最初のインパクトのせいで……」
「仕方ないでしょう!? だってふたりともはいてないのよ!?」
「はぁ……」
【草】
【えみちゃん……】
【くしまさぁんが……ツッコミを放棄した……!?】
【そらそうよ……】
【えみちゃんの株価はマイナスだもん】
【マイナスになっても取引停止にならないあたりが温情だね】
【ハルちゃんのお友達枠だからね!】
【やはりコネ……コネは全てを解決する……】
【ノーネームちゃんのお気にだからね、大切にしないとね】
「こほん。 それに加えて、町を取り囲む奴らを足止めする要員として、中上級者クラスのパーティーが最低でも数十ほどは必要だったと思うわ。 この激戦の中……たとえ1時間でも、ね」
「……えみさん、病気さえなければ前のように推せるんですけどねぇ……」
「あの、ちほ? 今からでも良いから私のメンバー、入り直さない? 前からの分、継続できるようにマネージャーさんに頼むから。 ね?」
【草】
【速報・くしまさぁん、えみちゃんのメンバーだったっぽい】
【追っかけしてたのか……】
【でも今は?】
【今は治療中だからね 性癖の】
【ロリコンは不治の病では?】
【表に出さないレベルまで……無理だなもう】
【草】
「……以前のえみさんに憧れていたのでメンバーだったんです」
「今の私は?」
「清楚で頼れる姉……みんなに慕われて、きっとこれから20年30年安心して推せると思っていた……そんなキャラから一気に……」
【草】
【必死すぎて草】
【以前のえみちゃんならなぁ……】
【えみママって呼ばれてたしなぁ……】
【今は?】
【ちょっと……】
【ねぇ……?】
◆◆◆
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