357話 タワーディフェンスミッション・継続中

「……あれだけ大きいと、もうサイズ感が分からなくなるなぁ」


町の外に――それこそ町サイズのでっかい飛行場もとい空母が出現したからか、その周りの人たちは騒然としているらしい。


【でっっっっか】

【本当にサイズ感わかんないなこれ】

【なぁにこれぇ……】

【艦載機……1000機くらい積めるんじゃない?】


【魔王軍相手に出撃してたんだろうけど、空母とか普通なら建造に数年かかるだろうし……多分人間同士の戦争のための兵器よね】


【艦載機1000機VS1000機の海戦が発生する世界……?】

【なにそれこわい】

【怖すぎて草】

【もはや移動する島だな……】


【甲板できょろきょろしてる人たちがちっちゃいって感じるレベルだしなぁ】

【ホビット……じゃなさそうだよね】

【多分、他の人とそう変わらないぞ】


あ、そういえばあの空母がめり込んでる地面……モンスターがたくさん居なかった?


……まぁいいや、人をぷちっと潰したりしてなければ。


ノーネームさんだし、そのへんは大丈夫だろう。


うん、きっと。


……大丈夫だよね?


うっかりでぷちっとしてないよね?


ぷちっとしてたら……無表情ながらにものすごく落ち込みそうだし。


「で……こっちもでっかいかぁ。 そりゃそっか、あのでっかいのが食べられちゃうとこだったんだもんね」


さらにどっすんとでっかいものが出現してびっくりしたけども、その近くに出現しているのはさらにでっかい――。


「……タコ?」

「たこ」


「……たこ焼き……お刺身……お寿司……」

「じゅるり」


「海鮮系は日持ちしないからって、500階層攻略のときにくれなかったんだよなぁ」

「ひもち」


「……あれ、おいしいでしょうか」

「まずい」


「ほんと?」

「ほんと」


「どのくらい? 味付けで何とかならないレベル?」

「げろげろ」


食事をほとんどしないノーネームさんがそう言うんだ、本気でマズそうだね。


そう思うと、とたんにあのうねうね動いてる吸盤付きの足がぐろいものに見えてきた。


「……げろまずのたこ焼きでがっかりするくらいなら、帰れるまで我慢します」

「がまん」


【草】

【意地でも食べたかったハルちゃん】

【ハルちゃんって意外と食にうるさいよね】

【食って言うかお酒のアテって言うか】

【ああ、そういう……】

【草】


【たこ焼き屋がアップを始めました】

【寿司屋も総動員しろ!】

【女神様がうまいもんご所望だ!】

【酒のつまみとしてな!】

【草】


【寿司屋やってるけど、カウンターの客から頼まれて10人前作ってる  とりあえず近所の神社に奉納すればいいか?】


【草】

【お供えしたら食べてもろて】

【おいしいお寿司が腐っちゃうのはハルちゃんも悲しむからね】

【うちのたこ焼き、坊主が催促しに来たんだが】

【草】

【生臭過ぎて草】

【もう不敬でないないされろよそんな坊主】


【ヘタすると頭部だけで1キロくらいあるタコ型のモンスター見た感想がひどすぎて草】


【まぁハルちゃんたち居るし……】

【そもそもうちの国って食べないものはない文化だし……】

【常識的に考えると、あんなぬめぬめしたもの食べようとかちょっとおかしいもんね】

【腐った豆食べるとかさぁ……】


【あ、ご遺族だった人たち、知り合いの顔見つけたら<URL>に連絡してくれってさ】

【はーい】

【もはやこの配信が連絡網だな】

【何その嫌な連絡網】

【草】


【緊張感……緊張感、どこ……?】

【お前はハルちゃんの配信で何を見てきたんだ?】

【そうだぞ、モンスターの侵攻を安心して眺められるようにしてくれる女神様だぞ!】


【これは女神……】

【たまには天使の良さも思いだしてください】

【もうそれでいいや……】





「ん……おはよ」


『あるあぁ……♥』

『おはよ!』

『はよ!』

『ある! のむ!』

『ふぅ……』


【あの、子供たち……】

【いつものだろ?】

【もはやおなじみだし】

【夜のサバトの方がやばいし……】

【絵面が完全になぁ……】

【音だけの方がもっとやばいんだぞ】


【白髪妹ちゃんはもう無視という方向性で】

【異議なし】

【何なの異世界人、クンカーとしてちょっとおかしいよ……】

【魅力なのかもね……おっぱいよりも太ももよりもお尻よりも、この世界では匂いが正義とか……】

【草】


【結構前から各国政府が「18歳未満はサバト場面禁止!」って法律出してるよな】


【草】

【でもノーネームちゃん配信がどうやっても止められないから、実質野放しっていうね】

【世界中の子供たち青少年たちがクンカーに……?】

【英才教育だな!】

【ひどすぎて草】


――――――どぉん。


どぉぉん。


ばぁん。


「いやぁ、すっかり任せられるようになって楽だなぁ」


お腹の底へも響く大音量で目が醒めた僕は、するするとベッドから子供たちから抜け出す。


「へるぷ」


振りかえると……子供たちにもみくちゃにされてるノーネームさん。


僕もそうだけど、ノーネームさんも長い髪の毛が寝相ですごいことに。


……そういえば、ここのところ、やけに髪の毛とか服とかがよれてる気がするんだけど……僕、そんなに寝相悪かったっけ?


まぁいいや。


ついででノーネームさんもほっとこ。

本気で嫌ならさっさと抜け出してるだろうし、なんだかんだ嬉しいんだろうし。


気持ちは分かるもん。


ちょっと恥ずかしいけどね。


【かわいい】

【かわいい】

【抱きついてたハルちゃんが絶妙に抜け出したもんだから、子供たちがノーネームちゃん1人に】

【もみくちゃになっる】

【かわいい】


【良い匂いしそう】

【するよ?】

【子供たちが証明済みだよ?】


【草】

【そうだったわ……】

【ハルちゃんのコピーのノーネームちゃんだもんね……きっと同じ匂いだろうし……】


【本来なら子供たちもノーネームちゃんも良い匂いしそうってコメントになるはずなのに、ハルちゃんが格別だってみんな知ってるもんなぁ……】


【だってサバトだもん】

【SABATOな?】

【ああ、まーたHENTAIが世界へ拡散している……】

【草】


【こ、これは異世界の女神たちと子供たちのせいだから俺らのせいじゃないし……】

【でもハルちゃん、うちの国に居たから実質うちの国出身の女神って扱いなわけで】


【濡れ衣だ!】

【でも嬉しい!】

【草】

【ハルちゃんは来るべくして来たんだなぁって】



◆◆◆



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