287話 子供たちに任せてお気楽攻略

『ろくよん』

『ろくよん』


「君たちだけでできそうな敵だね。 任せても良いかな」


『ん!』

『ろくよん、かり!』

『ある、――――』

『ごー!』


【やっぱクッソかわいいなこの子たち】

【発音体系が違うっぽくて、みんなことごとく舌っ足らずなのがまた……】

【なぁ、赤毛の子とか銀髪のお姉ちゃんは高学年っぽい  のに、舌っ足らず……どうだ?】

【いい……】

【大変によろしい】


【舌っ足らずの幼女もよし、舌っ足らずの少女もよし】

【ショタも良しです!】

【うわ出た】

【でもちょっと分かる】

【純粋なかわいさだからな】


【ショタって言っても、髪も長いしお姉ちゃんの方と顔、そっくりだし】

【男の娘、か……】

【<URL>?】

【ちょっと見てみるか……】


【やめとけ、取り込まれるぞ】

【大丈夫大丈夫、私たちで染めてあげる】

【やっぱやめとくわ】

【なんで!?】

【草】


【それにしても、かわいいのばっかで耳が幸せ】

【ハルちゃんは?】

【聞かないと安眠できないレベル】

【この何ヶ月、入り浸ってるからクセになっててな……】

【草】


【ハルちゃんのASMRを使い回していけ】

【大丈夫、発売済みのハルちゃん音声は全部ヘビロテしてる】

【もう何ヶ月もランキング独占よね……ハルちゃんボイス】

【AIボイスで言いたいことも好きに言わせられるぞ!】


【なお、卑猥なことを言わせるとないないされる模様】

【草】

【冗談なようでいてマジなんだよなぁ……】

【ないないされた人が居るって通報でお巡りさんが来て、「なんで寝てるあいだにないないを?」って調べたら、そういうのを打ち込んでたっていうね……】


【家族がかわいそう】

【かわいそう】

【ないないもそうだけど、打ち込んだ言葉が手元に残るからなぁ……】

【かわいそすぎる】

【泣くに泣けないもんなぁ】

【い、一応大切にされてるってことで、国内じゃ死亡判定は保留だから……】


【そのせいでクッソめんどいんだけど!? 税金とか所有権とかいろいろさぁ!!】

【何ヶ月もすると本人がいないとややこしい証明書とかさぁ! ほんっっと大変なんだからな!!】


【草】

【あー、けっこう問題になってるらしいな】

【もしかして:家族がないないされた】

【親父がないないされたとか人にも言えないし……助けて】

【うちも、まさか娘がないないされただなんて……】

【老人ホームのじいちゃんがな……】


【かわいそう】

【本気でかわいそう】

【笑っちゃいけないけど笑っちゃう】

【いっそのこと笑ってくれ……家の中は悲惨だから】

【ぶわっ】


【なおその打ち込み、的確に文脈で判断する模様】

【打ち間違いとか程度じゃないないされない辺りがノーネームちゃんの気の利くところ】

【草】

【さすがはノーネームちゃん】


【だから抜け道探しても無意味だぞ♥ やめとけ♥】

【ノーネームちゃんのセンサー……怖っ】

【オフラインのPCでも、遠慮なしにないないしてくるらしいからな!】

【地下室とか飛行機で電波オフにしててもないないされるレベルだし】

【ノーネームちゃん……どんだけのことができるの……?】


【お前ら、聞いたろ  家族が居るやつはやめとけ】

【独り身もだぞ  帰ってきたらガチで天涯孤独で着の身着のままになるからな】

【なにそれこわい】

【最悪、所有物も戸籍も全て抹消だ  ちびるぞ?】

【ちびるなんてレベルじゃなさそう】


『かり、――――――――?』

『――――、――――』

『あるて、――――』


この子たち同士での細かい話になると、この子たちの世界の言語になる。

けども、なんかできる限り僕が理解できる会話をしようってしてくれる、良い子たち。


そんな子たちへ、僕は毎回、次のフロアの最初の部屋付近の敵の数をノーネームさんに伝えて、それをノーネームさんがぴこぴこと伝える伝言ゲームが繰り広げられる。


やる気満々のみんなは、喜々として階段から下へと突撃していく。

もはや1日に何十回も繰り広げられる楽しいお遊び。


「あー、楽」


きゅぽんっ。


【ハルちゃん……】

【で、でもこれが多分1番安全なパターンだから……】

【モンスターの数が多いとハルちゃんが出撃しちゃうから……】

【子供たちも、それ分かってるからああやって突撃してるのよね……】

【そらそうよ……】


こくっこくっ。


「んー」


やっぱり。

お酒飲むと、結構魔力が溜まるんだ。


理屈は分からないけども、そういやこの体になったときからそうだった気がする。


だから、この体――もっとちっちゃい、1年前のあのときのね――になってからすぐに魔力で筋力とか補えたんだし。


で、すっかり忘れてたとこに魔王さんとの戦闘。


あのときに「空間から魔力を吸い上げた」、あの感覚。

それを覚えてるからこそ、はっきりと分かるんだ。


――例えば、このダンジョンに満ちている魔力とかもね。


普通に息をして、普通に物を置いておくだけで、魔力が入ってくる。


量としては微弱も良いとこだけども、居るだけでちょっとずつ増える系のってゲームじゃ強いってのは常識だ。


【ハルちゃん、とうとう昼間っから……】

【ま、まあ、量自体は少ないから……】

【いや、酒瓶を手放さない時点で立派なアル中だぞ】

【ハルちゃん……地球に帰ったら治療、受けよう?】

【でも……女神とか天使、治せるの?】

【そうだった……】

【草】


しゅるんと、きちゃない袋さんにお酒をしまう。


「……ん。 みんな、ちゃんとできてるね」


歩いて行くと、ずっと先のほうで弦音や魔法の投擲音が聞こえるようになってくる。


……あの子たちは、多分もうほっといても普通に生きて行ける。


とりあえずとしてこのダンジョンのこの階層付近まででも……多分、順調に強くなれば、いずれは僕が居なくたって最下層だって。


「でも、僕は早く上に出るって決めたんだ」


【ひぇっ】

【じょばばば】

【ハルちゃんが地上侵攻の決意をあらわにしている】

【こわいよー】

【何しでかすか分からない系統の恐怖だな】


【モンスターがうじゃうじゃ居たら、ばかすか魔法ぶっ放しそう】

【ぶっ放しそう】

【喜々としてぶっ放しそう】

【地上が火の海とか氷の串刺しになりそう】

【地獄かな?】

【天国だよ?】

【死は救済……良く言ったものだなぁ……】



◆◆◆



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