268話 帰ってきたきちゃない袋さん

「このっ、このっ……期待させといてまったくもう……あれ?」


『このっ』

『この!』

『あれ?』

『あるあ?』


【いつまでやってるのこの子たち……】

【ハルちゃんが止めるまでだよ】

【草】

【あ、でもさすがに止めたハルちゃん】

【何かを見つけたみたいだよ】


【やめて……やめて……】

【ああ、またトラウマ発症してる視聴者が!】

【草】

【かわいそう(先行入力】

【それは意味のない先行入力だよ】

【ひどい】

【だってもう確定した未来だし……】

【いつもの】


なんか楽しくなってきたから、みんなでぐるぐる回りながら蹴ってたら……底の方にちっちゃい何かがあるのを発見。


絶妙に見づらい場所に、絶妙に箱の内側と同系色で絶妙に同化してたらしい。


「よっ……あ、入らないとムリだ」


そういえば腰くらいまで箱になってるから、脚を上げた程度じゃ入ることもできないサイズの宝箱。


お腹でふんばって箱の中に上半身だけ突っ込むも、バランス崩して落ちそうだったからしょうがない。


僕は服の裾をまくり上げてまくり上げて……む。


「危ない危ない、おまた見えちゃう……や、この子たちにはもう毎晩見られてるから良いのか……」


【!?】

【!?】

【ハルちゃん!?】

【悲報・ハルちゃん、肉食系】

【おまたを見せ合う関けいいいいいい】

【草】


もはやこの子たちとは家族。


男の子も……や、僕的にはどっちかって言うと男の子の方が同性で健全なんだけども、今の体だと女の子たちの方が健全だけども僕の心的にはちょっと困るっていう、わけわかんない状態になってるだけだ。


でもまあ小学生までなら男女そんなに変わらないし、幸いにして誰も毛も生えてないし、女の子たちの胸もそこまで大きくはない。


なにより子供たち自身が気にしてないっぽいんだから、僕が気にしてもしょうがないよね。


でも将来的に、他の人間が居ないんなら黒髪の男の子がハーレムの主として子供産ませなきゃいけないんだよね。


がんばって。


この世界の人類は君に掛かっているかもしれないからね……割と真剣に、主に人類の種族を存続させるっていう意味で。


まぁみんな美人さんになるだろうし、尖った性癖してなきゃ大丈夫でしょ。

同じ男として応援してるよ。


僕の体とかちらちら見てくるし、反応はしないけど興味はありっていう、いかにも小学生男子らしいときあるし……あと何年か経てば自然にどうにかなるでしょ。


……まぁ、どっちかっていうと女の子たちの方が熱心に見てくるから、むしろ彼の方が安全な気がするまであるし。


【ハルちゃんが子供たちに毎晩おまたを……ふぅぅぅぅぅ】

【正直興奮するるるるるるる】

【おねショタおねロリおねショタおねロリリリリリリ】

【とうとう嗅がれるだけじゃなくえっちちちちちちち】


【いやまあお風呂のことだろうとは分かってるけどね】

【おい、一瞬でないないされまくってるぞ】

【まぁないないされるのが本望らしいから……】


【しかしやらしい】

【非常に悩ましい】

【いちいちの言い方がいかがわしいんだよなぁ……】

【ハルちゃん自身はそういうのに淡泊っていうか興味なさそうなのに、いちいちなぁ……】


【ハルちゃんって落ち着いた言い回しだから直接的じゃないんだけど、だからこそ……なぁ……】

【こんな子供なのにどきどきしちゃう……】

【分かる】

【幼女のときからやばかったけど、成長してさらに……な……】

【ああ……】

【一瞬だけふとももの付け根くらいまで見えた!】

【けど……】



【✕】



【ノーネームちゃんが……】

【邪魔してる……】

【カメラから見てちょうどハルちゃんのおまたの部分にノーネームちゃんが!】

【「✕」ってぴこぴこしてる!】

【草】


【ノーネームちゃんかわいいいいい】

【ノーネームちゃん! 邪魔だよノーネームちゃん!!】

【ああ、やっぱノーネームちゃんってばハルちゃんの大切なところは見せないのね】


【そうか、実体があるからこうやって物理的に邪魔できるのか……】

【なるほど】

【でもずるいよノーネームちゃん、ノーネームちゃんたちは毎晩見てるんでしょ!!】

【そうよ!!】


【ノーネームちゃん! 始原の一員の私には教えてくれるでしょ? ハルきゅんのおまたにはハルきゅんが生えてるって!!】

【姉御……】

【お前……】

【何よ!!】

【姉御……そういうとこだぞ……】


「んしょ……」


意外と外でふとももとかおまたむき出しって爽快感。


そんなどうでもいいことを思いつつ、僕どころかもう3人くらい……いや、フタは膨らむ形だからもしかしたら僕たち全員が入り込めるサイズの宝箱。


すたっと両足を下ろし、その下のすみっこに落ちている何かを……ぎゅっとつかむ。


「?」


暗くてよく見えない。


立ち上がって、それを両手で広げてみる。


「何この汚いの……ゴミ?」


『ごみ?』

『ごみ!』

『あるて?』

『ごみ!!』


【草】

【かわいい】

【けどなんか既視感あるんだけどこれ】

【奇遇だな、俺もだ】

【この展開、このハルちゃんの動き、ゴミ呼ばわり……】


【ゴミ……じゃなくってそれ!】

【きちゃない袋さん!!!】

【草】

【なんできちゃないままなのよ草】

【さぁ……?】

【出てくるんならせめて洗われて……】

【いや、待て  きちゃないままってことは……!】


「あ、でも、なんかこのシミ見覚えが……お」


小さい袋。

遠くから落ちてるのを見ると、まるでぱんつなそれ。


なんだか懐かしい感じの汚さを見ながら、手を中に突っ込んでみる。


「………………………………」


『ある?』

『――?』


ごそごそ。

ごそごそ。


……にゅるっ。


「おー」


とんっ。


僕の片手がしっかりつかんでたのは……一升瓶。


ぺりっ……きゅぽんっ。


「んくっ……んくんくんくんくっ」


【草】

【えぇ……】

【朗報・きちゃない袋さん、ハルちゃんのきちゃない袋さんだった】

【悲報・きちゃない袋さん、きちゃないままだった】

【速報・ハルちゃんのきちゃない袋さんカムバック】

【悲報・ハルちゃんのアルコールさんも戻って来た】

【朗報・ハルちゃん一升瓶をラッパ飲み】

【一瞬での情報量よ……】


ああ。


この、鼻を抜けるいい香り。

お米から作られたアルコールの匂いと味。


「ぷはっ……吞みたかったやつだ……」


しげしげとラベルを見てみると、僕が「どうせ無くすんなら呑んどけば良かったなぁ」って思ってた日本酒。


そう。


僕がなくした、日本酒だ。


「きちゃない袋さん、おかえり」


いろんなシミが付いてる袋の表面を撫でてあげる。

なんだか感動的だね。


【感動の再会】

【ぶわっ】

【イイハナシダナー】

【でもきちゃないよ……?】

【ハルちゃんのつけたシミ、ちゃんと残ってるな!】

【ある意味これでハルちゃんのって分かったもんな!】



【友】


【帰還】


【♥】



【ノーネームちゃんがお友達って言ってる!!】

【え? ってことは……きちゃない袋さん、動くの?】

【草】

【いやいや……いやいや】

【袋が動いたら怖すぎる】

【そのままの君でいて……】



◆◆◆



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