221話 起きたら……君たち誰?

「くぁぁ……」


んーっ……よく寝た。


なんか久しぶりに疲れて芯から寝た気がする……今何時だろ。


「?」


あれ。


パジャマじゃない。

なんか肌寒いって思ったら、半袖どころか肩が出てる?


「え」


体を起こして見てみるも……腕にはなんか金色の腕輪がついてて、服は白くてお洒落なワンピースみたいになって。


あと……。


「んっ」


……おっぱいがあって。


っていうかいつもよりびりっとした……これ、ブラジャー……つけてない……?


なんで?


なんでおっぱい膨らんでてブラジャーどっか行っちゃってるの?


「?」


……それに、このスカート……切れ込みえぐくない?


「………………………………」


太ももの付け根が見えてるけど……これ、ぱんつはいてないんじゃ――――――。


『――――――?』


「え?」


【ああああああああ】

【ああああああああ】

【あとちょっと! あとちょっとだったのにぃぃぃぃ!!!】

【ハルちゃんまさかのノープラノーパン疑惑が確定したのにぃぃぃぃ!!!】


【あ、けど……有識者!】

【うむ  ハルちゃんがエロい声出した瞬間の画面をな?  スクショして画像ソフトに放り込んでな?  色調調整ってのをするとだな?  ――あったよ、桜色の先たんんんんんんん】


【あっ】

【草】

【おい、良いところで!!!】

【ノーネームちゃん!!】

【独り占め良くない!!】


【あ、戻ったらもうさっきの場面、加工されてる!?】

【草】

【ノーネームちゃん、手際よすぎない?】

【スクショしてた奴はないないして、今さら巻き戻しても対策済み……やるなノーネームちゃん!】

【ノーネームちゃんがガチだ】


【ノーネームちゃんガード発動したってことはノーブラが確定】

【俺はなんでスマホの低画質で観ていたんだ……】

【まぁ、これまでもお風呂シーンとか徹底ガードだったし……】

【おしゃけで脱いじゃったときも……ノーネームちゃん独り占め良くない!!】

【草】

【私情しかなくて草】


『――――、――――!』

『――――――…………』


「ごめん、なんて言ってるかさっぱり分からない」


ぱんつの不思議は吹っ飛んで……だって、なぜか僕が寝てたところには子供が何人も一緒に寝てたんだもん……僕は囲まれている。


で、知らない言葉で話しかけられてる。


……この体、魔王さんの言葉さえ分かる特殊仕様なのにね。

なんでだろ。


「誰か僕が言ってるの分かる? ……あ、違う違うなんか拝まないで拝まないで、僕なんてたいしたもんじゃないから」


ひとりひとり……5人居て、4人が女の子で1人が男の子かな……の顔を見ながら聞いてみたら、なぜかみんな両手を合わせて僕のことを拝んでくる。


「ちょ、やめて。 そういうの恥ずかしいから」


僕、お地蔵さんとかじゃないから。

頭、床にこすりつけないで……毛布にめり込まないで……。


【草】

【たじたじハルちゃん】

【ハルちゃんの困ってる声……新鮮だな……】

【ハルちゃんってよっぽどのことがないとこうならないもんな】


【ていうか子供たち、布団に頭突っ込んでない?】

【正座になって両手を前で組んで頭下げて……これ、ガチで崇められてるぞ】

【平身低頭……どの文化圏でも同じか】

【そらそうよ】


【この子たちは、ハルちゃんが殲滅したあの光景見てたもんなぁ】

【ガチの救世主、もとい天使で女神だもんな】

【モンスターの居る世界?でモンスターのすくつであんなの見ちゃったらなぁ】


なんとか止めさせようとするけども、みんな真下向いちゃってるし、言葉通じないっぽいから何言っても無駄。


そうやってあわあわしてた僕の服が、くいくいっと引っ張られる。


「? ……あ、ノーネームさん」


【ノーネームちゃん!!】

【ノーネームちゃん! 百合疑惑についてひとこと!】

【ハルちゃんを誘惑して産んだというのは本当ですか!】

【俺たちから寝取ったことについて釈明は!】


【いや、寝取るも何も、俺たち別にハルちゃんと面識すら】

【それはそれ】

【これはこれ】

【良いんだ……一方的に好きな関係が推しって言うのなんだ……】

【推しが幸せなら……例え男とくっついおろろろろろ】

【大丈夫  ノーネームちゃんは産んだ以上はメス確定だから】

【あ、百合なら大丈夫  ちょっとゲロ片づけてくる】

【草】


僕のふとももの上にちょこんと乗っかってて、服のたるんでるところを引っ張ってくるノーネームさん。


この子たちのことはどうしようもないし、とりあえずでノーネームさんを両手ですくって持ち上げてみる。


「……ずいぶんちっちゃくなったねぇ、君」



【♥】



「あ、あれ、夢じゃなかったんだ……頭の上に、なんか浮いてるし……」


【かわいい】

【かわいい】

【やっぱこれ、ちっちゃいお人形さんだ!】

【黒髪のお人形さんに黒い服着せて、黒い羽生やさせた感じだな】

【目は赤いし、尻尾もあるし】


【あれ?  この格好、ハルちゃんの色違いじゃね?】

【ついでに言えば……顔、ハルちゃんそっくりじゃね……?】

【あっ】

【髪の毛は金色と黒で、おめめは蒼と赤】

【白と黒のチュニック……貫頭衣、ワンピのご先祖様みたいな服装……】

【羽も白と黒だしな】


【ずるいぞノーネームちゃん! ひとりだけ!】

【そうだそうだ!  でもお胸無いのは大変おいししししし】

【草】

【お人形さんの見た目も幼い子供……ハルちゃんそっくりだな!】

【まさか、推し過ぎるあまりに推しから孕まされて産まれ直すとは……】


【ファンの鏡だな!】

【それもうファンじゃないよ  ガチ恋も超えた何かだよ】

【ヤンデレってレベルからも次元超えてない……?】

【なにそれこわい】

【さすがにそこまでの勇気はないかなって……】

【草】


両手の中でちょうど良い大きさ……多分身長は10センチくらい?

だけども、ふらふらと動いてるし、尻尾と羽もゆらゆら動いてる。


「ドラゴンさんからお人形さんに……はえー」


【かわいい】

【ハルちゃんのいつもの反応よ】

【結構興味深い鳴き声だよね、これって】

【鳴き声言うな草】

【ハルちゃんにかかればなんでもかわいくなるからな……】



◆◆◆



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