210話 なんか出た
【朗報・ハルちゃん、天使になる】
【ハルちゃんは元から天使だろ!】
【天使(物理】
【天使(本物】
【天使(宗教戦争勃発中】
【ああ……これは紛れもなく……】
【今ちらっと見えたけど、靴までサンダルっぽいのに】
【マジで天使のイメージそのものだな】
【マジでハルちゃんに生えるとは……】
【ハルきゅんに生えるだって!?】
【姉御姉御、ハルちゃんおっぱいあるけど大丈夫?】
【だいじょばない】
【たすけて】
【あ】
【へろ】
【もへ】
【おいどうした姉御】
【なんか語彙力崩壊してない?】
【まぁショタ推しで一大勢力になったやべー女だし……】
【あ、ハルきゅんはやっぱショタってことで手を打ちました】
【男の子って小中学生の時期おっぱい膨らむことあるんだって】
【違う】
【違わない】
【確認するまではショタよ】
【そうだった、ごめんみんな】
【良いの、こんなことで私たちが潰れるわけには行かないもの】
【草】
【哀れな姉御たち……】
【結構かわいそうで草】
【現実を直視しないために理論をこねくり回す姿……分かる、分かるぞ……】
羽を使って飛ぶ。
なかなかに斬新な感覚だけども、慣れてくればそんなもんって感じ。
「……けど、すごい。 周りの魔力、吸いながら飛んでる……」
例えるならジェットエンジン。
空気を吸い込みながら吐き出し続けて飛ぶ飛行機。
厳密には違うけども、そんな感覚だからそれでいいや。
「……ノーネームさん、捕まって。 スピードあげて、振り切ります」
【♥】
【草】
【ノーネームちゃんの語彙が】
【そらそうよ】
【最推しのハルちゃんよりちっちゃくなって、最推しのハルちゃんのお指に全身でしがみつけるんだぞ?】
【ノーネームちゃん! ずるいぞ!】
【ノーネームちゃん! 俺にも体ちょうだい!】
【ダメ】
【特等席】
【my】
【only】
【草】
【ずるくて草】
【ノーネームちゃん! 見損なったぞノーネームちゃん!】
【ノーネームちゃんが自我を獲得している】
【割と最初からじゃね?】
ばさっと開いてばさっと閉じる。
それを繰り返して、速く速く。
「……周りが」
【明るくなってきた】
【もうちょい!】
【あ、前の方、ブラックホールできる前のカラフルな感じに】
【戻って来れたのか!】
手作りのロケットさんなんかよりもずっと速い。
ノーネームさんの全力よりも、ちょっとだけ速い。
急速に薄くなっていく空間で、僕は走る。
走って走って、さらに走って――――――。
「……見えた」
まだ黒いのは追ってくるけども、とっくに振り切れてる。
そうして僕たちは、さっきノーネームさんが指し示した、空間にある薄い穴に向かって突き進む。
【これ、どこ出口よ?】
【分からん】
【脱出できたのは良いけど、周りはさっきのとこじゃん】
【なんか色、薄くね?】
【それ言うなら……狭くね?】
ちらりと振りかえると……真っ黒い球体。
それが、空間を飲み込んでいる。
【こわいよー】
【なにあれ】
【怖すぎて草】
【何あれ……カラフルで明るい空間の中で真っ黒すぎる】
【なぁにあれぇ……】
「……爆縮魔法っての、まだ衰えてない……ううん、もうじきこの空間ごと自壊するんだ」
巨大すぎる掃除機は、吸い込みすぎて最後は周りの膜を突き破る。
その先がどうなるのかは……分からない。
けど、今は僕たちのこと。
ノーネームさんと、僕が助かることが大切。
「ノーネームさん」
【然】
【↑】
「進路このままですね」
頭の上にぴこぴこと字が浮かんでくれるから、すっごく楽。
……なんでしゃべれないのかは分かんないけども、案外恥ずかしがりなのかもね。
あと、矢印が地味にナビとしてすっごく優秀だね。
ノーネームさんの頭の上、ふよふよ浮いてるし。
【ハルちゃんたちが安全になって今気づいたけど、風切り音すごくね?】
【すごいな】
【なのにハルちゃんの声はしっかり聞こえる謎】
【そこはほら、ノーネームちゃん特製だから】
【ハルちゃんの声を聞き逃さないという確固たる意志を感じる】
【ノーネームちゃん素敵!】
【照】
【かわいいいいいい】
【草】
【ノーネームちゃん、照れ屋さんんんんんん】
【まーたないないされてるよこいつら……】
【あのかわいさみたらしゃあない】
【ハルちゃんの次に! ハルちゃんの次にかわいいからな!】
【お、これなら良いみたいだぞ】
【草】
【判別方法が割と命がけすぎる】
迫る、空間の果て。
色が褪せてきて物理的な壁があるようにも感じる場所。
そこ目がけて、頭からごんってなりそうな怖さ。
……でも、ノーネームさんが言うんだから。
【ん?】
【あれ?】
【なんかまぶしいぞ】
【カメラの光量が】
【なんか上の方だな】
【……金色の光……天使……頭の上……まさかな……】
【えっ】
【あっ】
【もしかして:天使の輪】
【ハルちゃん、マジで天使】
【ハルちゃんマジ天使(物理】
【繋がりすぎててしゅごい】
ノーネームさんがしがみ付いてる手を胸元に寄せて、がっちりと……あ、ちょうど両方のおっぱいのあいだにノーネームさんが。
そうしてもう片手で、ぶつかっても首がぐきってならないように押し出すイメージで。
羽を限界まで加速して加速して、僕は――――――
◇
――――――ぱりんっ。
【砕けた!?】
【空間が砕けた!】
【まーた真っ暗だよ】
【いや違う、目が慣れたら】
【あの、これ、下にあるのって……】
「わっ……と……ふぅ……」
突き出してた手が、ぶにっとしたものを押したと思ったらぐんにゃりと弾けて。
急に「何かが薄くなった」から体のバランスが崩れ、僕は投げられた弾が頂点に達してから落っこちる感じに落下し出す。
「わっ……お、おちっ……」
【落ちてる】
【ひぇぇぇ】
【こわいよー】
【ハルちゃん羽! 羽で飛ぶの!】
【だから下見ろって! ヤバいって!】
【まだ暗くてなんにも見えねぇよ!?】
【いや、見えて来た……けど、アレは……】
ひゅゅゅうって落ちる不快感。
それをどうにか、下へ加速することで抑えられてほっとする僕。
いや、解決はしてないけどね……でも翼で空気を切ると、ちょっと姿勢と速度は安定してきた。
で、目の前でなんだかもぞもぞ動いてる無数の何か。
「む、照明さん、ちょっとまぶしいです。 もうちょっと……あ、そうそう」
頭の上で光ってるのに文句言ったら暗くなって、よく見えるようになった。
【草】
【ハルちゃん、天使の輪っかを照明さん扱い】
【でもそれで言うこと聞くんだ……】
【一応ハルちゃんの一部だからな……】
【でも、あれ……】
【ああ……】
「うわぁ……何ですかあれ」
僕の落ちる先の天井――違う違う、地面には、無数の生物。
モンスターの、大群。
それが、所狭しと空間に満ちている。
「石をどかしたらうじゃうじゃいる感じのあれじゃん……うげ」
【草】
【ハルちゃん、またピンチなのよ……?】
【あれ見てその反応なの草】
【感想が小学生レベルだよハルちゃん】
【ヤな例えしないでよハルちゃおろろろろ】
【草】
【けど、トカゲの最後っ屁から逃げられたと思ったらモンスターの大群……】
【もしかして:これが魔王さんの配下】
【えぇ……】
【せっかくここまで来たのに】
【やるしかない】
【大丈夫、ハルちゃんならきっとなんとかなる 今は天使だし】
【そうだな! 天使だからな!】
【何の根拠もなくって草】
【い、一応飛べてるから……落っこちてるけど】
◆◆◆
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