196話 助けに来てくれたノーネームさん
「ふぅ」
人生、諦めが肝心。
もう、僕にできることはなんにもないんだから。
ここはでんと構えよう、男らしく。
僕はドラゴンさんの手のひらに、ぽすっと座り直した。
「揺らさないでくださいね」
『勿論だ、我が伴侶よ』
ま、なったもんはしょうがない。
一応は大事にされるっぽいし、意見も尊重されるらしいし。
まぁドラゴンさんがしびれ切らしたらそれまでだけど、そのときはそのとき。
そう思ったら……なんだかもういろいろとありすぎて、逆に落ち着いてきた僕。
【ハルちゃん……肝が据わっているのか、それとも単にぽけーっとしてるのか……】
【さすがに度胸だろ……多分】
【さっきの交渉からそう思いたいんだけど】
【コメントのせいで、もう天然としか見えないじゃねーか!】
【草】
【お前ら……】
いやまあ、これからえっちなことを女の子としてされちゃうけども、少なくとも千回出産させられるまでは殺されはしないはず。
その前に20年くらい手を付けないで居てくれるかは……多分無理かなぁ、男って言うかオスだもんなぁ……まぁ1年でも我慢してくれたら御の字。
で、千回子供産むってことは最低でも千年……いや死んでるでしょ。
とは思ったけども、この体がノーネームさん特製ってことと、なによりも世界を渡るとかいうスケールのドラゴンさんだ、人間の寿命ごときいくらでも延ばせる可能性がある。
……ってことは本当に千回産む?
そのためにはその何十倍も女の子として……うげぇぇぇぇぇぇぇぇぇー……。
「……その世界って本とかありますか? あとお酒も」
『当然だ。 滅ぼした人間たちが後生大事に抱えていたものは全て宝物庫にある。 当然、酒もな』
「じゃあいっか。 お酒呑みながら言語習得して本読めば」
もう、それでいいや。
嫌でしょうがないけども、されちゃうときにはいっぱいお酒呑んでおいて、終わってしくしくしくしく泣きながら本読んでれば多分なんとかなるし。
お股とかの痛みなんて、おもしろい本の中身とかおいしいお酒に比べたらささいなもん。
うん。
【草】
【えぇ……】
【悲報・ハルちゃん、ご本とお酒があれば良いらしい】
【どこまで脳天気なの……】
【タフ過ぎない??】
【普通、ドラゴンに連れ去られてその先で……ってときにこの台詞出て来る?】
【出てこない】
【もうハルちゃんのメンタルが分かんない】
【だって天使だからな】
【もうそれでいいや】
【ハルちゃん、マジで天使だったんだな……】
【少なくとも普通の人間じゃねぇ】
【みんなが天使天使呼んでたのが本当だったとは……】
【もうそれでいいや……】
【草】
ばっさばっさと羽を動かし始めたドラゴンさん。
「……あ。 電波、まだ届いてるか分からないですけど」
すっかり忘れてたカメラ。
それを手に取って、のぞき込む。
「そんなわけで、僕、ちょっとドラゴンさんのお嫁さんになって来ます」
【行かないで】
【やめて】
【ハルちゃん……】
【ハルちゃんがいなくなったら、俺たち……】
「頼み込んで里帰りとか1年に1回くらいしてみます」
【草】
【えぇ……】
【悲壮な決意かと思ったらお気楽だった】
【さすハル】
「そのたびに子供が増えていくかも知れませんけど……まぁそのときはそのときですね」
【 】
【 】
【 】
【 】
【視聴者がやられた!】
【だってこれ、金持ちの家に引き取られて行く、好きな女の子って構図だし……】
【ああああああ】
【ああああああ】
【ああああああ】
【ああああああ】
【NTRは止めろって行ってるだろ!!!】
【でもハルちゃんの選択だし……】
【ノリノリでないところだけが救いだな】
【いや、さっきご本とお酒は喜んでたぞ】
【草】
【ある意味さすハルだな】
【】
【■■】
【形成】
【完了】
【お?】
【ノーネームちゃん!?】
【推】
【護】
【ノーネームちゃん!】
【ようやく起きたか】
【でももう、変な空間に】
【NTR】
【不可】
【不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可不可】
【好】【愛】【永遠】【推】【略奪】【NTR】【鬱】【不可】【好】【愛】【永遠】【推】【略奪】【NTR】【鬱】【不可】【好】【愛】【永遠】【推】【略奪】【NTR】【鬱】【不可】【好】【愛】【永遠】【推】【略奪】【NTR】【鬱】【不可】【好】【愛】【永遠】【推】【略奪】【NTR】【鬱】【不可】【好】【愛】【永遠】【推】【略奪】【NTR】【鬱】【不可】
【えぇ……】
【草】
【ノーネームちゃんがNTRそうになって発狂している】
【ノーネームちゃんがNTRを理解しているだと……!?】
【改めてすごいノーネームちゃん】
【けど、ここからどうやって】
ま、しょーがない。
るるさんが観てたら……まぁえみさんと九島さんとリリさんに任せよう。
大丈夫、あの3人ならなんとかなる。
父さんと母さんも……まぁ大丈夫でしょ、この僕を見てデパートの少女服売り場に連れて行くくらいだったし。
それに、知らない世界を知るのも悪くはないもん。
あ、やっぱり女の子としてやられちゃうのはちょっと……ん?
「――――――――――――グォォォォォォォォォォォ!!!!」
「あ」
つい最近に聞き慣れた声。
その方向へ目を向けた僕。
その先には――。
「……ノーネームさん!」
あのとき戦ったドラゴンさんに入った、ノーネームさんが居た。
「グォォォォォォォォ!」
『姫の警護にしては遅かった……が、成る程。 この人間の姫を守るのであれば、その位の強さがあって当然か! この場になってから登場したのも、きっと姫の愛する世界を傷つけないため! 我に敵わずとも手下として重宝してやろうぞ!』
なんか宇宙っぽい空間。
その先に、ノーネームさんが居る。
あのときに戦った、ノーネームさんが。
……このドラゴンさんと比べると、まるで子供みたいなサイズだけど、でも、ノーネームさんだ。
しかも、前よりずっと――強くなってる。
【激おこのノーネームちゃん】
【この前ハルちゃんと戦ってたときとはまるで違う雰囲気】
【そらそうよ】
【目の前で奪われそうになったもんな】
【けどなんで今? もっと前に助けたら】
【いや、そもそもこのドラゴンが大きすぎて、2体なんてさっきの部屋に収まりきらなかったろ】
【ああ、なるほど……確かに】
【まあ単純に準備してたのかもだけど】
【というかノーネームちゃん、普通に戻ってたのね】
【推推推推推推推推推推推推推推推推】
【唐突唐突唐突唐突唐突唐突唐突唐突】
【NTRNTRNTRNTRNTRNTRNTRNTR】
【不可不可不可不可不可不可不可不可】
【草】
【荒ぶっておる……】
【無駄に人類の概念を学習しちゃったから……】
【ま、まぁ、おかげで何とか間に合ったんだし……】
◆◆◆
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