173話 さすがの僕でも落ち込むぐろさ
「……………………………………」
【やめて】
【ハルちゃんやめよ?】
【それはよくない】
【ちゃんときちゃない袋にいっぱいあるでしょ!】
【いやしんぼはダメ!】
「………………………………」
【ダメって言ってるでしょ!!】
【めっ! めっなのハルちゃん!!】
先の部屋。
……うさぎさん、10匹くらい居たから思わず惨殺しちゃった。
まぁそれは良いんだけどね、よく見ればうさぎさんじゃないモンスターだし。
一見かわいいように見えて油断させられたけども、やっぱ思いっ切り牙剥いてジャンプして飛びかかってくる時点で「あ、これやっぱモンスターだ」ってなったし。
でも。
……一応。
モンスターだけど……お肉なんだよね?
結晶化してないし、最初は鉄っぽい臭いで、時間が経つと臭くなるし。
ほら、昔はうさぎとかって野山で普通に捕って食べてたらしいし?
何なら今でも野生動物の大半は漁師さんとかが狩って食べるって言うじゃん?
だからさ?
【バカなことはよせ】
【そもそもハルちゃん、生き物さばけないでしょ?】
【現代人にそれは厳しすぎる】
【まあでも、本当に食料が足りなくなったらそうしなきゃならんか】
【まだ無いけど、泉のある部屋があったら死守しなきゃならなくなるのか】
【と言うか……モンスターって食べられるのか?】
【分からん】
【人体に害ありそう】
【普通は結晶化するから食べられないもんなぁ……】
【でも、あの見た目のきのこ食べるハルちゃんだし……】
「……うさぎさん」
なるべくグロくないところをじっと見つめる。
【だめぇぇぇぇ!】
【うさぎさんたべちゃだめぇぇぇ!】
【ぺっしなさい! ぺって!】
【拾い食いはダメよハルちゃん】
【お前ら落ち着け】
さすがに10回以上スプラッター見てたら慣れてきた、それ。
よく見ると、ぐろいのは腸と脳みそだけ。
まぁね、しょせんはうさぎだからね……しかもモンスターって割り切ったら、見るだけならできるようになってきたし。
「……や、さすがに無いですね」
でもやっぱ、サバイバル術の本とか読んだことあるし、このタブレットに入ってるからここに来てから読んだりもしたけども。
「動物さばくのとか……僕には無理です。 持って来たの全部尽きたら……潔くミイラにでもなります」
そうならないと良いけどね。
多分その段階ならお腹空いて普通にさばいて焼いて食べるだろうけど、それはまだ今じゃないし。
【草】
【よかったぁぁぁぁ!】
【マジで良かった……一瞬、「あれ? もしかして食べちゃう?」って思ったし】
【それな】
【ハルちゃんだから平然と現地調達とかし出しそうで……】
【お前らはハルちゃんのこと何だと思ってるんだ】
【え? もちろん天使】
【酒呑幼女】
【お家限定裸族】
【草】
◇
「んくんく……」
【草】
【まっ昼間からウォッカがぶ飲みなハルちゃん】
【マジでザルなのね……】
【ま、まぁ、元は高レベルだろうし……】
【もはや犯罪臭しかしない】
【酒吞幼女だもんな】
「ぷはっ」
あー。
あ――。
「……都会育ちにこれは、やっぱりキツいです」
あれから何十匹……や、何十羽か……でもモンスターだから匹で良いや……うさぎっぽいのを倒した。
やっぱ、全部ぐろかった。
飛びかかってきたのを撃ち落としたら血がびしゃって降ってきた。
もういやだ。
僕はもう嫌になっている。
【まとめて倒したとき「ひどい臭いがします」って言ってたし、モンスターなのに動物みたいな感じだったろうしなぁ】
【俺たちだってモザイク掛かってても気持ち悪くなるしなぁ】
【しかも自分の攻撃で……だもんな】
【そら気分も悪くなるわな】
新しい部屋に入ったらうさぎさんが居る。
襲いかかってくる。
倒したらぶちゅってなる。
臓物が飛び散る。
……ほんと、なんでこんなことになってるんだか。
【心底嫌そうなハルちゃんの声】
【でも正直?】
【興奮するるるるるる】
【分かるるるるるるる】
【ノーネームちゃーん、1002号と1003号も優しくしてやってー】
【勿論】
【推】
【同類】
【大切】
【飼育】
【成長】
【♥】
【草】
【ノーネームちゃんに大切にされるなら、ちょっと俺も】
【よせ、早まるな】
【何気に失踪事件で大事になってるからやめろ】
【お巡りさんたちの邪魔するのはやめとけよ草】
【どうして男は突撃してしまうのか】
【安心しろ ニュースによると、なんと女が3割だぞ】
【改めてハルちゃんの配信の男女比ぃ!】
【ついでに年齢層も満遍ないしな】
【下は幼稚園生、上は後期高齢者……何気ないどころかめっちゃ大事件だよな】
【学生から社会人、政治家とか芸能人まで攫われてて草】
【それな】
【ハルちゃんの配信って本当に層が厚かったんだな……】
【まぁ、ミサイルの件があってから有名ってもんじゃないし……】
【子供こそ、みんなのマネして冗談で書き込むだろうし……】
疲れ方的にも、現在時刻は分からないながらもここでの生活の基準なスマホの時間も夕方。
……今日はずいぶん大変だった気がする。
「これじゃ本物のサバイバルですね」
はぁ、とため息。
【?】
【今までサバイバルじゃないとでも?】
【ハルちゃん的にはキャンプだったんだろ】
【お散歩じゃない?】
【ピクニックって言ってるだろ!】
【今日になってようやくに落ち込んでるハルちゃん】
【時間感覚とかいろいろおかしいけど、ようやく人間味が感じられるな】
【大丈夫? ただの人間アピールじゃない?】
【だからさ、ハルちゃんがそんな器用なことできると思うか?】
【思わない】
【ハルちゃんができるんなら誰だってできる】
【さすがの俺でもハルちゃんよりはできる自信がある】
【草】
【散々な言われようで草】
落ち込んだ気持ちをお酒で癒やした僕は、ようやくにたどり着いた……中部屋とでも言えそうな場所、かつ、うさぎさんが居なくって……死体がない部屋で休めそうだってほっとする。
そこそこ広くって、モンスターがいなくって、真ん中くらいまで調べて回っても罠がない。
いつものセーフゾーンってことでいいのかな。
「今日はここで休みますね」
【りょ】
【マジで落ち込んでるハルちゃん】
【かわいい】
【普段から気の抜けた声なのに、より抑揚がなくなってる】
【ダウナー幼女……】
【ダウナー天使……】
かちゃかちゃとリュックを下ろして、良い感じのくぼみ……は無かったけども、代わりに崩れた壁の横の岩場に向かう僕。
【本当、ここってどうなってるんだろうなぁ】
【そもそも、こっちも結構大変なことになってるし】
【ああ、今ちょうどるるえみが潜ってるんだっけ?】
【そうそう、国連軍とダンジョン協会とな】
【一般人はまーだ規制中ですかねぇ】
【でもるるちゃんが……】
【ま、まあ、みんなに守られてるっぽいから、るるちゃん自身は安全だし……】
◆◆◆
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