9章 1ヶ月の地下ダンジョン暮らし

158話 「ハルちゃん」を失った世界の1ヶ月 その1

「ハルちゃん」が「深谷るる」と一緒にダンジョンの深層――恐らくは最下層よりも更に下――で、太平洋に浮かぶ駆逐艦から2発目の「新型ミサイル」を撃ち込まれて、数十分のこと。


『……先ほどの合衆国軍からの攻撃について詳細が分かってきましたので、改めてお伝えします』


『合衆国軍は「作戦を完遂したため、これ以上の攻撃は行わない」と宣言』


【奴ら、マジで勝利宣言して引き上げてくぞ】

【草】

【いっそのこと清々しい】

【で、入れ替わりで今ごろ入って来た国連軍】

【あの、国連軍の人たち「俺たち今から何やるの……?」ってめっちゃ困惑してるんですけど】


【そらそうよ】

【海をはるばると急いでやって来たら合衆国軍が勝手に滅茶苦茶やってるんだもんな】

【「モンスターのせいか!?」→「えぇ……」の流れで草】

【国連軍の人たちかわいそう】

【あ、一応ダンジョン周辺の治安とかモンスターの出現に対応してくれるらしいぞ】

【やさしい】


【あ、中継されてる国連軍兵士の人たち、絶句してる】

【そらそうよ(2回目】

【だって首都圏のでかい駅前がぼろっぼろだもんな】

【しかもこれが合衆国軍の仕業って言うね】

【「これだからあの国家は……!」とかみんなが言ってて草】

【今この瞬間、世界はひとつになった】





『首都圏全域に出されていた警報が注意報に』


『一夜明け、被害の全貌が明らかに』


『合衆国軍の引き上げたダンジョン周辺の被害は甚大、半壊以上の家屋が数百棟に上るか』


『人的被害は数百人、ただしほぼ全員連絡が取れており軽傷とのこと』


【しっかしひでぇな】

【ダンジョンはでっかい穴が空いてて、周りの建物は全部吹っ飛んでるし】

【そらそうよ(3回目】

【新兵器のミサイルが2発だもんなぁ】

【むしろ人的被害が、現時点でケガまでなのが奇跡】

【あんだけの爆心地でな】


【10年前ので、ダンジョン関係の避難指示は完璧だからな】

【普通の災害とは違って、ガチの強制力な避難指示だもんな】

【そのおかげで今回、見た目よりずっと無事だったって思うと……この10年でもみんな忘れてないって分かるな】


【あんなの忘れられるか】

【小さな子供でも、トラウマになるくらい頻繁に学校とかで映像見させられるからな】


『現在行方不明な方を発表します。 本名が不明なため、ダンジョン配信の活動名で「ハル」さん』


【ハルちゃんがまた全国ニュースのトップに!】

【朗報・ハルちゃん、また全国デビュー】

【安心しろ、とっくに海外のニュースサイトでもデビューしてるぞ】

【そらそうよ(4回目】

【お顔まで映ってる……】

【永久保存版だな】


【ただし、まさかのるるちゃん撮影のが使われるとは】

【るるちゃん……】

【ちょっとは元気になると良いな】

【ああ……】


『……もうひとりは……先ほどソレイユ王国から正式に救難要請のありました、エリザベス・リオンブレイズ第1王女……ええと、配信名は「リリ」さんとのことです』


【えっ】

【草】

【えぇ……】

【悲報・リリちゃん、ここで身バレ】

【朗報・リリちゃん、ガチの王女様】

【マジかよ】


【さらっと国際問題になってて草】

【そらそうよ(5回目】

【しかしリリちゃんはエリザベスちゃんだったか……】

【なんかイメージ違わない?】

【ああ……ハルちゃんの「リリさん」呼びがクセになってるんだ……】

【分かる】

【それな】


【あ、リリちゃんもといエリザベスちゃんの写真!!】

【きれい】

【豪華な宮殿?で、たくさんの人たちと……】

【お姉さん?】


【いや、あれは女王様だな】

【調べたら姉妹らしいぞ。 義理だがな】

【はえー】

【その言葉はハルちゃん以外が言うと汚れるからやめろ】

【そこまで言う!?】

【草】





『ダンジョン協会によりますと、ここ1ヶ月は不測の事態に備え、国連軍と連携して中継先のダンジョン、及び全国各地の主要ダンジョン周辺を警戒するとのことです』


『また、脅威度を確認しつつ、ダンジョン周辺の被害状況の現地での把握、ダンジョンへおふたりの救助活動なども行われる見込み』


【あー、まーだ当分ダンジョン潜り禁止ですかね】

【まぁこの状況で潜りたいやつ居ないだろ】

【だろうよ】

【いつまたミサイル飛んでくるかわかんないしな】

【確かに】

【そらそう……もう疲れた】

【草】

【もっとがんばれ】


【けど……ハルちゃん……】

【あとリリちゃんもといエリザベスちゃん……】

【言いにくいしイメージ湧かないからリリちゃんで良くない?】

【じゃあそれで】


【ハルちゃん……リリちゃん……】

【ハルちゃんのは、真っ暗でも配信自体は続いてるから望みはあるにしても、リリちゃんのは……】

【配信すら切れてるしなぁ……】


【検証班!】

【おう、呼んだか】


【うわ出た】

【うわっ……】


【だから泣くぞ?】

【草】


【で?】

【ああ、リリちゃん、ミサイルの着弾前にちゃんと跳んでるわ。 で、ダンジョンの上に居た救護班への聞き取りとか中継とかでも、合衆国軍兵たちと避難してるときすでにスポーン地点は変更してた】


【ああ、るるちゃんが出て来た場所になってたわけね】

【ああ】

【でもリリちゃん、こっちのリストバンドはハルちゃんに助けられたときに壊れてたから……】

【だな、国から持ってきたヤツ使ってたから】

【だから故郷……ソレイユ王国のどっかかもって】


【じゃあ今は情報待ちだな】

【俺たちにできることは無いか?】

【とりあえずハルちゃんとリリちゃんの無事を祈るくらいしか】

【あとはノーネームちゃんのもね】

【ノーネームちゃんは大丈夫じゃね?】

【いや、2発目のミサイル着弾から応答無しだぞ】


【ノーネームちゃん!】

【ハルちゃんぺろぺろしても良いんだな!】

【……いない……】

【まじか……】

【ノーネームちゃん判別方法がそれってのもどうかと思うけど、無事でいてほしいな……】


【でもさ、もし合衆国軍の会話が本当だとするとノーネームちゃん、ダンジョンそのものだぞ?】


【それがなにか?】

【問題でも?】

【ノーネームちゃん、ハルちゃんたち以外に被害出してないしなぁ】

【ボッシュートされたやつらのことは?】

【いや、あいつら自分から分かってて連れてかれたし……】


【だからノーネームちゃんは無害なんだ】

【むしろ俺たちの仲間だ】

【俺たちはノーネームちゃんだった……?】

【あの執着っぷりには敵わない】

【それな】

【ハルちゃん……リリちゃん……ノーネームちゃん……無事で居て……】



◆◆◆



新章開始。

このときのハルちゃんはすやすや寝ています。かわいいですね。


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