35話 【コラボ配信】「ふたりはるるハル!」5

「見えている地上型のモンスターは普通に撃ちます」

「う、うんっ!」


【あの、ハルちゃん】

【獣系って俊敏だから普通はまず当てられないんですがそれは】

【しゅごい……4匹で集まってきたハウンド系を順番に……】

【だからリロードおかしいって】

【なぁにこれぇ……】





「浮遊系のモンスターは上下に動くのでちょっと難しいですね」

「えっ」


【え?】

【ちょっ……と……?】

【あの、全弾命中で全部ヘッドショットなんですけどそれは】


【ハルちゃんと同じ狙撃銃持ち、どうだ?】

【俺、1から出直すよ……】

【ああ、俺たちのしていたことは児戯にも等しかった……】

【弾はごく普通の市販品……それで頭や胴体へ1発とは……】

【なぁにこれぇ……】





「アンデット系は僕が苦手なやつです」

「そ、そうだよね! ハルちゃんでも苦手なのあるよね!」


【朗報・ハルちゃんも人だった】

【人じゃなかったら何だよ】

【天使……かな……?】

【殺戮の天使ってことか?】


【情報開示?】

【ワードで脅して回るのはやめてくれ姉御】

【草】


「よ、よーし! じゃあここは私が属性こうげ」


「でもアンデット系にもコアはあるので」

「え?」


【は?】

【んん?】

【聞き違いかな?】

【は、ハルちゃんでも間違えることはあるから……】


「よく狙って……こうです」

「……ゆーれーいなくなっちゃったぁ……」


【ゆーれーしゃんないなった】

【あーあ】


「あ、これができるようになったの、僕でも去年くらいからなので難しいかもです」

「ゆーれ――……」


【るるちゃんが……】

【アンデッドの圧力が……消えた……?】

【あの、アンデッドは物理攻撃無効だからアンデットなんですけど】

【えぇ……】

【なぁにこれぇ……】


【そっかー、あんでっどにもこあはあるんだーハルおねえちゃんすっごーい!】


【気を確かに……無理か】

【無理だろ】

【ダンジョン歴が長いやつほどショック大きいってやつー】

【みんなが一斉に幼女になっている】


「……ハルちゃん? アンデッド……この剣とかでも倒せるのぉ……? 私もハルちゃんみたいにできるのぉ……?」


「え? はい、多分。 コアがちゃんと分かれば?」

「それはどうやるのぉ……?」

「ん――……」


最初の頃こそWikiとか動画、講習会……男のときだけどね……とかで勉強してたけども、僕のスタイルは完全な我流。


こういうことができるようになったのも、僕の中の「なんとなくな感覚とか直感」を極めたからに過ぎない。


まぁ誰だって人の何倍も時間使えば人よりは自慢できるようになるってやつだ。


それをみんなに分かりやすく言うには……。


「気合ですね」

「きあい」

「うん、気合」

「……そっか――……」


【ああ、るるちゃんのおめめからハイライトが!】

【さすがのるるちゃんでも思考を放棄したか……】

【草】

【るるちゃんだって中級者だもんね……分かっちゃうよね……】

【ハルちゃんがなんかこう、よく分かんない何かってねぇ……】


よかった、るるさんのさっきまでの不自然な感じがなくなったみたい。


うん、ちゃんと伝わったね。


「あ、アンデット系はいいやつらなんですよ」

「そっかー、いいやつらなんだー」


【るるちゃん元気出して】

【無理だろ】

【ぽけーっとしてるるるちゃん……何気に超レアだ……】

【普段はムードメーカー兼トラブルメーカーだもんな……】

【草】


【『*******************』】

【『*******************』】

【『*******************』】

【『*******************』】

【『*******************』】


【どうした海外勢】

【あー、これはフィルター入りましたねー】

【別に荒らしとかじゃないっぽいけど】

【多分今のだろ】

【ああ……】


【気合でアンデット系のコア見つけて倒せるとか、ハルちゃん以外で再現できたら……】

【属性武器とかアイテムの需要がた落ちだもんなぁ……】

【まぁハルちゃん以外、そうそうには再現できないだろ】

【だよなぁ】


「……それでぇ……? アンデット系が何でいい子たちなのぉ……?」


【るるちゃん……おいたわしい……】

【まさかこの言葉をるるちゃん相手で聞くことになるなんて】

【普段はえみちゃんだもんなぁ】


「? るるさん疲れました?」

「うん……ちょっとねぇ……」

「ダメですよ、早く寝なきゃ」

「うん……わかったぁ……」


【るるちゃんの配信の方にも投げ銭の嵐が】

【うん……普段の不幸っぷりじゃなくて本当に同情でね……】

【るるちゃんがんばれ、この場の全ては君にかかっている!】


【やーばい幼女制御する担当ってことでね……】

【これ、制御できてるのか?】

【こういうの全部無言でやられるよりは……まあ……?】


【ハルちゃんと一緒にいれば、るるちゃんも普通のキャラになれるんじゃ?】


【そう言えば呪い様が出現してないな】

【召喚の儀はやめろ】

【やめろ、そういうこと言うからホーミングしてくるんだぞ?】

【草】


「アンデット系のコアって柔らかいっぽくって」

「アンデット系のこあはやわらかいんだー」

「だから倒した後、弾も地面に落ちてて回収できるんです」

「そっかー」


僕が指差す先には転がっている銃弾。


魔法ってすごいよね、ちょっと「えいっ」てやれば壊れてない弾なら何度でもリサイクルできるもん。


【悲報・るるちゃん、思考を完全放棄】

【うん……分かる、分かるよるるちゃん……】


【思ってたけどさ、ハルちゃんも相当な天然だよな?】

【今さらか?】

【今さらだな】

【遅くね……?】


【遅すぎるよ! 今まで何見てたんだお前!】

【すまん……パーティーメンバーに「無能な俺のことを追放してくれ」って言ったら大変なことになっててな……】

【草】

【セルフ追放草】


【……けど、思えば最初の頃から完全な趣味配信って思ってたのって、もしかしてただハルちゃんが天然だからだった……?】

【つまり俺たちは……】

【あっあっあっ】

【**********】

【***********、******】


【始原……】

【天然ちゃんの趣味とか……ああうん、なんか納得行ったわ】

【ハルちゃんの属性ってどこまで増えるの?】

【どこまでもだ】

【草】


「あ、ありがとうございまするるさん、集めるの手伝ってくれて」

「ううん……これくらいはしなきゃっておもったの……」


なんだかるるさんはお疲れっぽい。


……あんまりこの子にばかり任せても大変そうかな。


男って知ってる相手のお風呂に入ってきたりする時点でメンタル削れてるんだろうし、ここはひとつ男らしくリードしないと。


「じゃ、先行きましょうるるさん」

「ふぁい……」


そうだ、僕はこの子よりも年上の男なんだ。


女の子って言うのは気分屋で不安定なもの。

きっとこの子も普段はえみさんにリードされてるから、やっぱ先歩かせちゃダメだよね。


背は低いけども中身は大人な僕が助けなきゃ。


【おてて!!】

【!?!?】

【ハルちゃんからお手々繋いでる!!】

【ロリおね……いい響きだ……!】


【けどその原因は紛れもなくハルちゃんなんだよね……】

【草】

【いやまあそうなんだけどさ】

【これがマッチポンプですか?】

【いや、完全に素でやってるぞ、ハルちゃん】

【草】


「あ、多分次の階層にモンスターがわさっと集まってるとこあるので撮れ高ありますよ、撮れ高」

「ふぁい……」


先に言っとくのが大切だって、ちょっと静かになったときにえみさんからインカムで来てた。


なんでこのタイミングに言うのか分からないけども、配信じゃ大先輩なんだからここで従わない僕じゃない。


【え?】

【待ってハルちゃん、今なんて!?】


「階段降りて1個目ですから心の準備、してくださいね」

「ふぁあ……」


【おかしいな……次の階層なんて……ハルちゃんならもういいや】

【ああ、るるちゃんの次は視聴者が思考を放棄していく……】

【多分頭空っぽな方が楽だよ?】

【うん……そうすりゅ……】

【そうだね、はるちゃんよりようじょになればいいんだ】


【……そうだよな! よーし、俺も明日はマッパーとして最初から出直す!】

【待て早まるな】

【そうだぞ、ハルちゃんだけがおかしいんだ】


【まぁ最初からバグってる存在って言われてたし……ね?】

【ハルちゃん、ヘッドショットだけじゃなかったのね……】



◆◆◆



35話をお読みくださりありがとうございました。


この作品はだいたい毎日、3000字くらいで投稿します。

ダンジョン配信ものでTSっ子を読みたいと思って書き始めました(勢い)。


「TSダンジョン配信ものはもっと流行るべき」

「なんでもいいからTSロリが見たい」


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