第4話

大きな扉を潜った先は円形の広間になっており土壁に囲まれている。

真ん中には王座があり牛の形をしたミノタウロスが鎮座している。ミノタウロスはこちらの様子を伺っているようで動かない。


ルキアはポケットの中からごそごそと何やら丸い羽のついた機械式を取り出し宙へ投げた。


ルキア「じゃ、はじめますか〜ルキアの可愛い子猫ちゃん達こんにゃーす。ルキチャンネルだよ。今日はこの上層ボスのミノタウロスを倒そうと思います。そしてアシスタント役は雪ちゃんだよ。はい雪ちゃん挨拶してね」


宙には羽を羽ばたかせた丸い機械がルキアを見ていたかと思えば雪の方を向いた。


雪の目の前には薄くコメント欄が映し出された。


—るきちゃん可愛い♡

—こんにゃーす

—こんにゃーす待ってました

—え、上層ボスとかまじもん?嘘だよね?

—雪ちゃんファイトー鼻ほじ



え?ちょっ

ねぇルキアさん逃げようよミノタウロスとか聞いてないよ。ミノタウロスはパーティで攻略するものでしょ

何考えてるの?早く逃げようよ!


—-雪ちゃん涙目ワロス

—聞かされてなかったやつかいっ

—まぁ普段からルキちゃん中層行ってるから大丈夫でしょ

—-↑それパーティ時代のやつやん


なんか色々表示されているがそれどころでは無いこちとらジャージ一枚で命の危機なのである


ルキア「大丈夫だって俺一様次の階層にも行った事あるしこいつも倒したことあるから。へーきへーき。雪ちゃん可愛い〜」


そう言いながらミノタウロスの後ろまで回り込み長剣で渾身の一撃を放ち背後を切った。しかし傷は擦り傷程度


ミノタウロスはカイルを敵認定した様でカイルと向き合い睨みつけた。

カイルも擦り傷程度しか傷を付けられなかったことがショックだったのか

カイル「こんなはずじゃねー!なんでだよ!こっちくんな馬鹿!」


—-カイちゃん逃げて

—単体でボスに突っ込むから〜あーあ

—-詰みでワロタ


ミノタウロスはカイルが怯えたのを察知し大きな右腕をカイルに向かって振り落とした。

しかしカイルも冒険者である。意地を見せ剣で防御している。


くそっこんなことならこんな企画やめときゃ良かった


ふとそんな事を思った時あの女が居たことを思い出した。

ミノタウロスから逃げ切るには生贄さえいれば他の冒険者を狙わないのだ。


カイル「おいっ雪。お前を雇ったのは囮役としてだ。俺1人じゃこいつを倒せないが囮役がいれば俺の本気の一撃をこいつに御見舞いできる!こっちに来てミノタウロスの気を引くんだ!早くっ」


そんな言葉普段の雪ならば嫌とひと蹴りしていただろうが出口の扉は閉まり頼りの冒険者は呆然一方である


雪は考えるのを放棄し一目散にミノタウロスのもとへ駆け寄った

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