第19話 いつもより綺麗になっております!

お?


ついに、食堂から動き始めるのか


さてさて、次はどこに行くのかなあ?


うーん?またすべての部屋を見て回るだけかー


なんか面白くないし.....


「お兄、こっちの娘一行のほうが動きあったよ」


「お、本当か?なら一緒に見るか!」


「うん!」


さてさて、娘一行のほうは今どんな感じなのかな.....?


――アルメリアの視点


「はぁはぁ」


「大丈夫ですかお嬢様?少し休憩いたしますか?」


「いえ、大丈夫です。今頃お父様たちも頑張っていらっしゃるでしょうから、私たちも休むわけにはいきません。お父様たちが、魔物を間引いてくれている間に私たちは脱出を目指しましょう」


「かしこまりました」


まさか、生まれてからずっと住んできたこの屋敷を命懸けで脱出するとは思いませんでしたわ


今回の騒動の原因は私にありますわね.....


元といえば、野盗の襲撃とはいえ正確な指揮ができなずに騎士を失ってしまって......


いえ、今は考えるのをやめましょう


それよりも.....


「この屋敷、不気味ですね.....」


「ええ。私もそう思いますわ」


普段こちらにいないはずの使者殿ですら感じすこの異様な静けさ


少し遠くでお父様たちが戦っている音は多少聞こえますが、でも、屋敷が荒らされることなく清潔な状態、いえ、清潔すぎる状態なのです


ここに魔物がいないということは、少なくとも近くを、あるいはこの通路をお父様が通ったはず


だから死骸の一つや二つがあってもおかしくはない、と覚悟を決めていたのですが.....


「お父様たちが先に行って魔物を狩ってくれているおかげで私たちは、戦わずして進むことができますが、何か嫌な予感がします。先を急ぎましょう」


「はっ!」


……


さらに進んで、食堂あたりまで進むことができましたが,,,,,


「こうも死体が1つも死体が落ちていないなんてことありえるのでしょうか.....」


「野戦の場合ならその場で燃やすという手段もありますが、ここは屋内ですしそれはないかと。だから、いったいどうなっているのやら.....」


死体が消えたりするのも、あの邪悪な二人の仕業じゃないことを祈るしかありませんね


「とりあえずは食堂の中に入って、そこでほんの少しですが休みましょう」


「「「はい」」」


執務室を出てからはずっと、騎士,使者,私,騎士の順になって進んでいる


その流れで、食堂にも入ると.....


「先ほど出た時と何も変わっていません、お嬢様」


「ええ。ということは、お父様たちのほうは多少負傷はあれど、犠牲者が出ていないということでしょうか.....?」


「.....そうであってほしいですね」


食堂は、執務室に強制的に連れていかれる前と何も変わっていなかった


そう、何も.....


「......ぁっ、おかしい、です。ええ。おかしいですよこれは!」


「どうかなさいましたか?お嬢様」


「おかしくありませんか?おそらくお父様たちもここへは来ている。だとすれば、多少椅子を使うなりして休憩するはずです。それに今は緊急時なので、椅子を綺麗に戻す余裕などほとんどありません。なのに、私たちが出て行った時と全く同じ状況.....ということは、何者かがこの屋敷を綺麗というよりかは一定の状態に保とうとしているのでは.....?」


「.....なるほど。確かにその考えがありますね。ということは.....」


「ええ、死体などがどこに消えているかはわかりませんが、最悪の事態としてお父様たちは今危険な状態にあるかもしれません」


「では、お嬢様.....」


「はい。申し訳ありませんが休憩はここまでにして、ここから最短でお父様たちが向かったはずの玄関へ急ぎます。具体的な根拠はありませんが嫌な予感がします。ですので、すぐにここを出ましょう」


「「「はっ!」」」


お父様や使用人たちみんな無事でいてくださいね.....


……


食堂を出た私たちは、食堂へ向かうときよりも急いで玄関へ向かっています


「やはり、ここもですか.....」


「ええ。おそらく辺境伯様たちがほんの先程まで戦っていたというのに、魔物の死体一つありません。わざわざこんな時に限って、魔法鞄に収納するとも考えにくいです」


本当にまずい状況です


それに、先ほどから玄関へ近づいているのに、お父様が率いていた兵の人数に比べたら戦闘音がやけに小さすぎるのです


間に合ってください.....!


……


そして、多少息が荒くなっている状態で玄関に着いた


すると、そこには.....


「.....あ、ぁあ、そ、んな.....ぃや、いや!」


「くっ!」


お父様と、お父様付きの執事セバが2人で見たこともない大きな化け物と戦ってフラフラな状態で辛うじて立っていた.....

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