双子は異世界で自由に生きたい!

みたくししょー

第1章 プロローグ

第1話 転生なの?それとも転移なの?

僕――早川柊翔はやかわしゅうとには双子の妹の早川玲衣れいがいる。


今年高校生に上がったばかりで、自分でいうのもなんだが、僕たちは2人とも見た目は学校の中で上級生からも注目を集めるくらい整っている。


だから、僕は僕で同級生や上級生の女子から、玲衣は玲衣で同級生や上級生の男子から、たまに告白される。


けれど、幼いころからどこかへ出かけるときや寝るときもずっと一緒に育ってきた僕たちには、ほかの子たちのことは眼中になかった。


クラスは違えど、休み時間や昼食の時間は一緒にいるし、同じところに住んでいるのだから、もちろん登下校も一緒。


それに、僕たちは、生まれてすぐに実の両親に捨てられ、じいちゃんとばあちゃんの家に住まわせてもらっている。


けど、じいちゃんもばあちゃんももともと、彼らの子供――僕たちの両親の結婚には反対していたせいもあって、僕たちには小遣いだけもらって、あとはすべて自分でしないといけなかった。


だから、“親の愛情”というものを知らない。


けど、「2人でいれば何とかなる」ってずっとお互いに思いながら過ごしてきたおかげで寂しさというものは感じていない。


所謂、僕は極度のシスコンで、玲衣はブラコンってこと。


話が少しそれたような気もするけど、高校入ってからは楽しめると思っていた。


けど現実はそうでもなかったみたい。


僕たちは、見た目が良いせいで告白されることがしばしばあったけど、その度にフッてきた。


そのせいで、クラスからは孤立していた。


まあ、わざわざコミュニケーション取りに行こうとも思ってないし、僕たち以外から話しかけられたとしても、ほとんど感情を表に出さず、無表情だったからね。


――――――

――――

――


そんなある日事件は起こった。


その日は、防災訓練の日で、全員校庭に集まっていた。


ふつうこんな偶然はありえないと思うけど、なんと、防災訓練中に地震が起きた。


これには誰もが「こんな偶然あるの?!」って思っただろう。


けど、すごいのはこの後。


急に地面は、目が開けられないほど光りだした。


光が収まったのを感じて、恐る恐る目を開けると、そこは何もない白い空間にゲーム部屋が取り付けられたような空間だった。


これで僕一人だけで玲衣もいなかったら、パニックになっていたと思う。


だけど、玲衣がいてくれたおかげで、めちゃくちゃ安心した。


.....正直、ほかの有象無象なんてどうでもいいと思ってる。


あ、玲衣も僕を見て安心したみたい。


二人して、無事(?)の確認をしてると不意に、声をかけられた。


「あれ、なんで人間がここにいるの?」ってね。


それはこっちが聞きたいわ。


僕たちは、警戒しながら声の主のほうへ向くと、そこには「「綺麗.....」」としかいうことのできない、美少年が立っていた。


彼?彼女?は大体160㎝くらいしかない背丈に中性的な容姿だった。


まあ、片手をコントローラー、もう一方の片手を飲み物、さらには何か食べ物みたいなものを咥えているせいで、残念感が漂ってるけど。


「それで、なんでここに人間がいるか説明してもらおうか。それも2人も。」


こういう、交渉だったり会話するときは大体僕が相手としゃべってるし、今回も玲衣をチラッと見たら、頷き返してくれたから、僕がこの人(?)と話すとしよう。


「いや、知らんけど。でも、ここに来る直前地面がめちゃくちゃ明るく光っていたような。」


「あー、たぶんそれ召喚魔方陣。だけど、ここに来れるはずは.....。まあでも、普通の人はここに来れないし、せっかくだから、君たち2人にできるだけの要望応えてあげるよ。」


「その前に君は何者なんだ?ある程度は予想がついてるけど。」


「そう!その予想通り僕は神様だよ。それも神様社会の中で一番偉いというか、力を持ってる創世の神。名はネクトって言うよ。」


「えっ!まさかトップだったとは。」


「そうそう。すごいでしょ。.....で、早く要望言って。まだ新作RPGの途中だからそれやりに行きたいんだけど。決まったら、呼んでねー。」


「はいはい。玲衣、どうする?」


「うーん。私は、楽できればいいかな。あっ、でも、せっかくだから異世界生活楽しみたいし、なんでもっていうなら、私たちの種族変えられたりするんじゃない?」


「おぉ、それいいかもね。同じ種族でもいい気がするけど、なんかつまんないよね。」


「うん。だから、違う種族にしよ?ってことで、私、吸血鬼ヴァンパイアがいい!」


「ふふ、玲衣って昔から吸血鬼かっこいいって言ってたもんね。」


「うぅ~。あんまり掘り返さないで~。それより、お兄はどうするの?」


「うーん。そうだなあ。悪魔族デーモンにでもなろうかな。悪魔族の角かっこいいし。」


「いいね!それにしよう!」


「あとは、スキルだね。ステータスは鍛えればいくらでもあげられると思うし。」


「そだね。それに最初から強かったら面白くないし。」


「でもそれで不便にはなりたくないからね。鑑定と偽装、それにアイテムボックスは必須だね。」


「うん。魔法は全属性の適正だけもらえれば後は練習して使えるようになればいいし、武術関係も使っていくうちに慣れるでしょ。」


「そうだね。あっ、こういうの面白いんじゃない?」


「どういうの?でも、お兄ってこういうときが一番頭冴えてるから期待できる。」


「ありがと。で、それってのはね、......」


――――――

――――

――


「こんな感じで頼んでみよっか。」


「そうだね。お兄のオタク知識結構役に立ったね。」


「うっせやい。玲衣もそこそこ読んでたでしょ。」


「まあね。とりま、ネクト呼んでいまの説明しよ。」


「うん。お~い、ネクトさんや、決まったよ。」


「.....やっと決まったのかい?随分と時間かかったね。」


「いやあ、話し込んでたら楽しくなっちゃって。というわけで、こうしてもらえると.....。」


「おっけい。なんも問題ないよ。ついでに、【創世の神ネクトの加護】あげるよ。」


「いいの?!」


「うん、いいよいいよ。」


「ありがと。」


「じゃ、これから君たちが行くはずだった世界に転生させるね。種族が違うから、一度肉体だけ破壊しないとね。記憶とかは残ってるから安心しなよ。久しぶりに結構人間と話せて楽しかったし、これから君たちの行動たまに見ても面白そうだからね。」


「いろいろありがとう。」


「私からもありがとう。」


「気にしないで。それじゃ、楽しんできてね!」


「「うん!」」


――――――

――――

――


「あはは、これから面白くなりそうだな......」

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