甘い同棲生活を始めるJK美少女の正体は国民的ドラマで主演していた元天才子役だった件!?~君と過ごす夏、波音が聞こえる秘密基地にて……。
kazuchi
【プロローグ】タイムカプセルのかけらを探して……。
//SE 遠くから足音が近づいてくる。
「とっても嬉しいなぁ。私との約束を忘れずに来てくれたんだね!!」//息をはずませながら。
「これ玄関の鍵だよ、昔と変わっていないから開けるのにコツがあったのは覚えている?」
「そう、私がうまく開けられなくて泣きそうになっていると手先が器用なお兄ちゃんは一発で玄関の鍵を開けてくれたんだよね」
「何にでもコツがあるんだ、鍵を僕に貸してごらん。って……」
//SE そっと手に触れる音。
「お兄ちゃんの手、いつも泣き虫な私を守ってくれたね。優しく頭をなでてくれた大きな手のひら」//耳元で嬉しそうに囁きかける。
「……」しばしの沈黙に漏れる吐息。
「いま、
「懐かしいな、お兄ちゃんが子供の頃に付けてくれた私のあだ名だよね!!」
「なみね、じゃなく、はおん……」//小声で嬉しさを込めて
「お兄ちゃん、
「玄関の鍵を開けて、部屋のどこかにしまい込んだタイムカプセルの
//SE 重なり合う手に力が込められる
「お兄ちゃんと私の想い出が詰まった秘密基地みたいなこの部屋で……」
//SE 擦れる金属音の後に続いて玄関ドアの鍵穴に鍵を差し込む音。
「小学生の頃、よく二人で遊んだおままごとの夫婦ごっこ遊びじゃない。
//SE お互いの服がこすれる音。
「……」//ほっとする笑み、長めに。
「嬉しいな、お兄ちゃんの答え。はしたない女の子って嫌われるかと心配してたんだよ」
「久しぶりに鍵開けのコツを真近で見てみたいな……」
「もう、お兄ちゃんの意地悪、何の鍵を開けるか分かってるくせに!!」
「私の
//SE 高鳴るお互いの胸の鼓動。
「……」//大きく深呼吸、その後ゆっくりと深呼吸を数回繰り返す。
「ふうっ、静まれ私、ふふっ最初からお気持ち全開で馬鹿みたいだね」
「何だか女子高生になって子供の頃の大人しい女の子からキャラ
「……いまは秘密にしておこうかな。お兄ちゃんとはゆっくりお泊りでお話しできるから」//小声で呟くように悪戯っぽく。
//SE ガチャガチャと鍵を回す音。数回繰り返す。
「……お兄ちゃんの手ってやっぱり大人なんだね、あたりまえなのに私、なんでこんなに動揺してるんだろう。嬉しいみたいな胸が苦しくなるような不思議な気持ち」// 先ほどと打って変わり不安を押し殺すような感じで。
//SE ガチャリと軽い音を立てて玄関の鍵が開く。重ねた手を離す音。
「開いた!!」
「あの頃のままの室内で驚いたでしょ。玄関だけじゃないよ。リビングも二階の部屋もそのままで残してくれてあるの。だけど定期的に管理の清掃を両親が依頼しているみたいで清潔に保たれてるんだよ」
「海の見えるリビングからの景色もそのまんまだよ。お兄ちゃんと一緒に眺めていたよね」
「お兄ちゃん、早く中に入って。 ええっ、いきなりどうしたの!?」
//SE 持っていた鍵が手から玄関先に落ちる音が反響する。身体を強く抱きしめられ衣服が擦れる音。
「……」//戸惑いまじりの吐息。お互いの心音が重なって聞こえる。
「私もお兄ちゃんと離ればなれになって寂しかった……。一日だって忘れた日はなかったよ。カレンダーに
//SE そっと手に触れる。
「私の髪をなでてくれた優しい手のひらだけじゃない。よく日に焼けた笑顔。はにかむように笑う癖。お兄ちゃんの全部が好き!! 波音だって顔を見た瞬間、あなたの胸に一目散に飛び込みたかった」//堪えていた感情が一気に溢れ出す。
「……」//必死に気持ちを整える。
「波音ね。お兄ちゃんと逢えたら何を話そうかずっと考えてたんだよ。だけどおかしいよね。想いがあふれすぎて言葉にならないなんて……」
「お兄ちゃん、このまま私を強く抱きしめて。逢えなかった空白をすべて埋めてほしい」//抱きしめた腕の中、至近距離から聞こえる切なそうな声。
「限られた時間をふたりの秘密基地で過ごす前に……」
次回に続く。
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