第6話 イザとレイの物語の本

タッタッタ....

「はぁはぁはぁ」


ガチャ....


「・・・あら」


キッカの後を追う様に自宅に向かったコトリ。

家に入ると共有スペースでミネリアが本を読んでいた。


「あっ・・・ミネリアちゃん」


この家に来てから2匹での会話はまだなく初めての対峙。


「・・・」


「あ、あの!キッカちゃん・・・家に戻ってきませんでした?」


「・・・さっき戻ってきて、部屋に入ったけど」


「あ、ありがとうございます!!」


タッタッ...


そのことを聞いてキッカの部屋に急いで向かった。


バッ....


「あっ...え??」


先ほどのことがあったから、謝りたいをと思いキッカの部屋に向かった所をミネリアに静止された。


「あ、あの??ミネリアさん??」


「・・・今はいかないほうがいい」


「で、でも!。。。」


「いいから」

「やめときな」


「・・・」


感情の感じられないミネリアの言葉と表情にビックリして立ち止まった。


「いいから、まずあなたも落ち着いたら?」


「・・・はい」

スタ...スタ....スタ....


そう言われミネリアが座っている所の対角線にある椅子に座った。


「あっ、、、あのミネリアさん」


「・・・なに?」


バッ.....!

「キッカちゃんに・・・」

勢いのまま問いかけるとともにミネリアの顔を見て冷静になった。

見つめたミネリアの顔はすごい冷ややかで、でも真剣な眼差しで訴えかけているように感じた。

『今はそっとしておいたほうがいい』と。


「あっ・・・なんでもないです」


「そう」


パラパラパラ....

そう返答するとミネリアは読んでいた本を読み始めた。


「・・・」

「ミネリアさん、ありがとうございます」


「なにが?」


「あっ…私のこと、止めてもらって」


「・・・別に」

パラパラパラ....


感情のままに発言したり行動する私とは対照的なミネリア。

何も気にせずにキッカに聞いてしまった事に対し、空気の変わったあの時。

私の悪い所が出たと思った。


「・・・」


「・・・」

パラパラパラ....


けれど、この居た堪れない空気に耐えられなくコトリが口火を開いた。


「…ミネリアちゃん・・・なんの本を読んでいるの?」


「・・・なんでもいいでしょ」


「わ、私も本好きなんです!」

「ミネリアちゃんも好きって聞いたから、お話ししてみたいってずっと思っていたの!」


「・・・そう」


「そ、それはどんな本なんですか!?」


止まらないコトリの勢いに鬱陶しいと感じつつ、このままだとらちが明かないと思い仕方なく返答した。


「イザとレイの物語って本」

「この世界の図書室にあったやつ、読んでるの」


「へぇ〜!どんな内容の本なの!?」

「私、絵本を書くのが夢で、だから色んな本を読んでて・・・」


いきなりスイッチが入ったかの様にずっと話しかけてくるコトリ。

そんなコトリに対しミネリアが呆れた感じで答えた。


「・・・あのね、コトリさんもっと落ち着いたら?」


「あっ....」


「少しはさっきのキッカさんのこと、思い出してみたら?」

「感情の思うままに生きるのもいいけど、それだけじゃ子供のままだしこれから大変よ??」


「・・・ごめんなさい...」


「私は本、読んでいるでしょ?」

「そんな時に声かけられたらどう??」


「・・・そうですね...」


「一回落ち着きなさい」


「はい・・・」


怒られた。

いや、怒ってはいなさそうだけど、冷静に諭された。

私とは真逆のミネリアちゃん。


「・・・」


「・・・」


微妙な空気が流れる。

と、そんなところに。


「チース〜」

自由奔放なターニャが帰ってきた。


「・・・あれ?どっしたの??」

共有スペースにいる私たちの顔を何度も見て答えた。


「なんか変なタイミングだった・・・かな?」



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お読みくださいましてありがとうございます!

いかがでしたでしょうか?


まだまだこれからも執筆していきますので、面白い!や気になった!などがありましたら、

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