第20話 一狩り行こうぜ!!2

私はクエストで速攻に二回自滅して、仲間を背水の陣に立たせると同時に自身の強化もできた。まぁ、その影響もあってか、例のモンスターが来るまでは何事もなくただ淡々と倒していた。


そう、あのモンスターが出るまでは。

幻想龍覚醒イリュージョナルの特殊固体、社内でもほぼ完璧に情報が隠されているモンスターでこの存在を知っているのは社長とごく一部のTA勢そしてディレクターとプログラマーなどのごく一部、故に麟も知らないのだ、社長はまぁどうなんだろう、あの人だったら宮下Dから情報聞いてそうだし風の噂で普通にどのゲームも得意だと聞いたことがある。


『おいおい、時雨のやつこんなの倒しているとか正気かよ。』

『いつかのノーモーション亜空間アタックを思い出す。』

『そういえば、時雨はどうしているんだ?』

『あいつ、太刀でずっとカウンター続けてます。』


私はこいつの動き方はすべて知っている、今は使えない本垢で散々倒しまくっているというのもあるがそもそもプログラムしたのが私ともう二人で作った訳だ。


で、あの二人は。うん、今頃フィナーレアップデートの準備だろうなあと二か月だし次の大型が今月だし。


vtuberになってなかったら援軍に行けるんだけどな。


・お前、俺よりバケモンじゃん。《霧崎機龍》

・俺は何を見せられているんだ。

・ねぇ、コラボしないか?《霧崎機龍》


「え?機龍さんいいんですか?」


・なんなら、俺が主催の16人コラボに参加しないかい?《霧崎機龍》

・サラッと呼んでる。

・そっか、このモンハンもクロスプラットフォームプレイ対応時に16人集会ができるようになったのか。


「えぇ、喜んで。」

『…』

『......』

『......』


もうほかのやつらは声を出す余裕もないようだ。


・もしかして、もしかしなくてもだけど、こいつの動き暗記してたりしないよね。

・んなわけねぇだろ、なぁ?

・そういえば、久遠以外全員攻撃してなくないか?


「おいユウタ、お前キャンプに引きこもってろ。」

『え?いいのか、じゃあそうさせてもらうぞ。』


・いや、それに乗るのかユウタは。

・ユウタはゆうただもの。

・草ァ《霧崎機龍》

・あれ?お兄ちゃん?《ホワダイ》


「あ。」


・え?

・どういうこと?《霧崎機龍》

・やっぱそうだよね、声も動きもアカウントも。《ホワダイ》


『どうした?』

「まずい、ホワダイに見つかった。」

『あ。』

『あぁ。』

『身バレ早すぎじゃね?いや、違うかイラストレーターさんが同じだからそっちなのか。』

「あ、お前。はぁ、えっい。」


そんな掛け声と同時に私は最後のカウンターを決める。


クエストを達成しました。帰還まで60秒。


・おめ。

・どういうことだよ!?《霧崎機龍》

・一人だけで戦っていたような希ガス。


「ふぅ、これで全装備製作できる。」


・欲望丸出し。

・は?お前何回こいつと討伐してるの?《霧崎機龍》


「武器十四種と五部位なので十九回ですかね。」


・ば、化け物ダァ。《霧崎機龍》

・お兄ちゃん、部屋に凸ってもいいよね?《ホワダイ》

・妹もよう見とる。


『あーあ、ついにバレちゃったか。』

『もともと時間の問題だって話していたもんな。』

『家凸してもいいですか?』

「やめろ、零のそれはシャレにならない。」

『そういえば、なんでお前はこのクエストの出し方とか知っているんだ?』


・確かに。

・それもそうだ。

・俺は偶々だ。《霧崎機龍》


「これって言ってもいいんですかね、前世に関係あることって。」

『さぁ?』

『しらん。』

『いえばええじゃないか。』

「はいじゃあ、言いますよ、このモンスターの動きをプログラムしたの私あと二人だったわけですよ、だからすべての動きを知っているわけです。どの攻撃がどのダメージかもすべて。」

『そういえば、君は宮下Dに引っこ抜かれたんだっけ?』

「TAとバレましてね。」

『彼らしい。』

「おかげで本垢が使えませんよ。未公開情報とかいろいろ入ってますから。」

『これが裏垢?え?』

『噓だよな、なぁ、噓と言ってくれよ。』


・化け物ダァ

・ウソダドンドコドン

・チョット16人コラボに呼ぶのが怖くなってきた。《霧崎機龍》


「じゃあ、そろそろ配信やめるよ。」

『そうだな。』

『誰かのせいでめっちゃ集中力使ったんですけど。』

『そうそう、誰かのせいでさ。』

「ということで、Thanks for watching this far.」


そう英語で言って配信を切った、きちんと切ったかも忘れずにだ。


『終わったな。』

「えぇ、終わりましたね。いろいろと。」

『今から行ってあげようか?』

「いや、遠慮しとく。それと、麗華、入ってきていいぞ。」

「お兄ちゃん。なんで私に言わずにvtuberになったのさ。」

「はは、文句なら画面の向こうの社長に言ってくれ。あいつが黒幕だ。」

『人聞きの悪い。元はと言えば宮下Dが…』


と、そこで私は何故麗華がここに来たのか気になった。

「そういえば、麗華何かあったの?」

「お母さんが帰ってくるって。」

「そうかい。あ、俺はもう通話から抜けるね。飯作りたいから。」


私は時計を見てそう言う。


『分かったよ。』

「じゃあ。」


そう言って私は通話から抜けた。


「さて麗華、私の身バレどう責任取ってもらおうか。」

「ヒェッ。」


私は悪い笑顔を浮かべてそう言うと、麗華がビビッて一方後退る。


「なんて噓だよ。」


そして、今家にある材料を思い浮かべながら。


「今日の夕食は台湾ラーメンかな辛めの。」

「それだけはご勘弁を。」


そう、麗華は辛い物が大の苦手なのである、因みに私と両親は大好きだ、母親がどうだったかあまり覚えていないが確かに好物だった気がする。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る