第17話 初配信

あぁ、緊張するのはいつぶりだろうか。


私は配信の待機画面を見ながらそう考える、最後に緊張したのがいつだったかを。




さて、時間だ。配信画面に移されたカウントダウンももう残り十秒になっている。




さぁ、始めようじゃないか。


デビュー配信を。




「はい、おはこんばんにちわ。クリエイトバーチャル所属の神無月時雨です。」




・きちゃ


・オオトリと聞いて。


・重大な告知があると聞いて。


・長男の配信と聞いて。 《kihiro》




「ママァ!!おっと、私としたことが取り乱してしまいました。」




・初手、ママァ!!


・さすが社会人。


・場を生きるのは慣れているご様子。


・だがここはネットの世界。




「本当はリスナーの皆様の意見でタグとか決めたかったんですけど。トゥイッターで投票されたものをタグなどにしていこうと思います。」




・それってリスナーの意見じゃない?


・www


・lol




「まず、リスナーのみんなの名前は。時雨の民です。ちなみに時雨とは十月という意味です。」



・終わるんじゃねぇぞ。



「コメ欄にカンタムのオルカおるやん。」




・オルカ


・そのネタが通じる人か。


・いや、コラで知った可能性が。




「カンタムは全作品見てますよ。」




・違った。


・普通に見てる人だった。




「さて次行くよ、ファンアートとr指定のやつのタグを言っていくよ。」




・マジですか 《しぐれ》


・ちょっと、ネキいるんだけど。


・草




「しぐれってあの同人誌作家ですよね。絵柄が好きです、お世話になってます。」




・告られた///《しぐれ》


・おい。


・あー。




「さて、気を取り直して。まず普通のファンアートタグは神無月アートでr指定のやつは闇堕ち神無月アートです。」




・よし。


・ヨシ《しぐれ》


・あー、やりやがった。




「さて最後は、えー。配信タグの発表だよ。配信タグは時雨の配信だよ、相変わらず安直だよね。」




・シンプルイズベスト


・永遠の配信


・ブラックそう。




「さて、公表しなきゃいけないことは公表したから配信終わるね。」




・え。


・ウソダドンドコドーン。


・オン●ゥル語やめろ。




さて、スイッチを入れていこうじゃないか。






ここからが私の配信の本番だ。




コメント欄は放送事故だとか言われてるけど計算なんだよね。




「な、なぜだ。なぜ配信が終わらない。」




   〜〜WARNING〜〜




「チックショウ、テガッレクスの乱入イベかよ。」




・流れが変わった


・さぁ、イッツアショウタイム 《ユウタ・H・ゴア=エル》


・ここからが本番ですわよ。《create&games社長》




『クリエイトバーチャル、二期生デビュー決定。構成メンバーはなんと全員女性で全員高校生"らしい"』




という字幕とともに4人の女性らしきシルエットが背景に表示された。




「はい、これにて。一期生のデビュー配信リレを終わります。お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。告知につきましては、クリエイトバーチャルの公式サイトやcreate&gamesの公式トゥイッターやクリエイトバーチャルの公式トゥイッターをご覧ください。」




そう言って、私は配信を切った。ちゃんと確認して配信が切れているか確認したから大丈夫なはずだ。




「ふぅ、疲れた。まさかメンタルが削れるとは。」




おっと、拡散しないとな。




その後、私はトゥイッターで公式のツイートを拡散してから寝た。


よほど疲れていたのだろう、一時間後に起こされるまでぐっすりだったそうだ。

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